抗がん剤の副作用ってどんな感じ?

 抗がん剤の副作用は何かと問われれば、嘔吐、脱毛なんかがすぐに思いつくところだと思います。副作用をどう感じるかは、抗がん剤の種類はもちろん個人差も大きいです。ここでは私の経験則に基いて書いていくことをご承知下さいね。

 私は自己紹介でも述べた通り、FEC4回とWPTX12回を投与しました。それぞれ細かくあげると違いはあるのですが、ざっくり箇条書きにします。

見た目に関係すること
1.脱毛
2.皮膚の黒ずみ、シミが増える
3.爪が割れる、爪の表面に凹凸ができる、爪の色が黒くなる

不快だったこと
4.味覚異常
5.臭覚異常
6.吐き気(何となく気持ち悪い程度)
7.手先足先の痺れ
8.浮腫み
9.口内炎
10.便秘

しんどいと感じたこと
11.全身の倦怠感、疲労感
12.関節痛

 見た目に関係すること、特に毛がごそっと抜け落ちる瞬間は思わず涙してしまうくらい悲しかったのですが、まあそれも一瞬でした。一旦禿げてしまうと肝が座ってきます。髪を乾かしたりセットする必要がなく、美容院に行く時間も手間もお金もかからずで、意外と楽に感じました。ウイッグは決して快適な物ではありませんでしたが、安くて可愛いファッション性の高いもので遊ぶこともできましたし、またいずれ生えてくると思えば、そこまで悲観的にならず過ごすことが出来ました。

 それより自分の生活や精神状態に直結してダメージを与えてきたのは最後の、しんどいと感じたこと、です。不快だったあれこれもそれぞれに嫌なものでしたが、最後の二つだけは乗り切るのが大変でした。いずれも抗がん剤の最も憂慮すべき副作用である骨髄抑制から起こる痛みであったり怠さです。

 一昔前はこれに加え嘔吐があったのだろうと思いますが、今は良いお薬があるおかげで「吐いてしまって食べられない。」というケースをあまり聞いたことがありません。私は食べつわりみたいになり、かえって体重が増えました。(ただ、お酒は飲める状態ではありませんでしたが。)

 抗がん剤は投与するたび蓄積されていくので、回数を重ねるごとに、より副作用を強く感じます。私はただただベッドの上に横たわり、時間が過ぎて行くのをじっと堪える日々でした。最短でも2つの抗がん剤をこなすのに6ヶ月。私は白血球の減少で投与が延期したこともあり、正味7ヶ月かかりました。

 その決して短くない時間闘ってきた怠さと痛み。例えるならそう、「くしゃみ鼻水など、風邪のような症状のないインフルエンザ」です。

 インフルエンザっていきなり高熱が出て、関節痛がきて、怠さがきて、後から風邪の症状が出るパターンも多いですよね。さらに、私が最初に投与したFECは骨髄抑制の副作用が顕著に現れるため、ジーラスタという好中球を増やすお薬をセットで注射するパターンが多いのですが、ジーラスタの副作用に発熱や寒気があるんです。まさにインフルエンザみたいですよね。

 って実は、投与していた当時もこれはインフルだと強く感じ呟きもしたのに、時の流れと共に忘れ去ってしまっていたのを、先週土曜日インフルエンザAと診断され、今度は「あ、この辛さって、これって、FEC!!!」と逆視点から思い出しただけなんです。そこは突っ込まないで下さい。

 新薬のおかげでインフルは3日目にして36℃台まで下がりました。風邪の症状は残ってて完全復活ではないですが、お陰様でこれを書けるくらい頭が働いてきました。

 そして、今回インフルになって胸に浮かんできたのは、よくこの辛い状態を乗り切ったなあ、自分はよく頑張ったんだなという労いの気持ちです。常にインフルの高熱を出しているMAXの状況ではなかったし、波もありましたが、抗がん剤を投与していた7ヶ月はやはり短くなかった。

 最後に、これは副作用ではないけれど、抗がん剤含め癌治療で1番しんどいと思うことを挙げておきますね。

13.独りで病と闘うこと。


 この拙い文章を目に止めて下さったどなたかが、病と闘わねばならぬ時、どうかお独りではありませんように。そして私はこれから、闘わねばならない誰かのため共にあることを目指そうと、思いを強くしました。

 日々できることを少しずつ、前向きに。

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