映画「インターステラー」感想

映画というものを本当に久々に鑑賞した。
何となくだけど映像化されたものは自分の解釈が入りにくく、完成された世界観を楽しむだけになるようで本よりも面白みに欠けると思い込んでいたからなのか、無意識のうちに遠ざけていたように感じる。

友人からのごり押し作品だったので観てみたけれど、”映画の良さ”
を実感、いやもっと過剰な表現が合ってるなあ、”痛感”(もっとひしひしと)した。

読書の良さは自分の解釈をもって世界観を作り上げられることが一つあると思う。
どこまでも感性を広げて作品を味わうときは至福だ。
というか、どうしても自分の知っている感情にしか主人公の心情を当てはめられないだけなのだけど。

それに対して映画は(映像作品は)役者がそれぞれに感情を表現する。
喜怒哀楽も彼らはそれぞれ全く違うように表現するし、その表現は私の人生では味わったことのない感情なのだろうと思うことがこの映画を観てたびたび感じた。

この作品で「こんな気持ちが存在するのか、、、」と発見した感情は
”孤独”だ。
孤独は「寂しい」「ひとり」「泣きたい」「誰かそばにいてほしい」
そんな自分の中の不足感を満たしたいっていう感情だと思っていた。

この作品から”孤独”に対して別の感情を抱くようになった。

内容の感想全く書いてないな笑
簡単に要約すると、


かつてNASAの宇宙飛行士だったクーパー(息子と娘が一人ずついる)は諸事情でパイロットをやめて農業をしていた。
しかし、彼は運命に導かれNASAの極秘プロジェクトを意図せずに知ってしまう。
それは「地球の寿命はもう幾分もないので移住できる星を探しに行く」というものだった。

クーパーは腕の良いパイロットでそのプロジェクトのパイロットにスカウトされる。
最愛の子供たちを置いて帰れるかもわからない宇宙に旅立つことに迷うも、彼は宇宙に行くことを決意する。
娘は父親がいなくなることが悲しすぎて最後の挨拶でもまともに話せなかったままクーパーは宇宙に出発してしまう。

4人の仲間と宇宙船に乗り込むわけだが、計画通りにいかないことがたびたび重なり仲間は2人(クーパーとアメリア)に減る。
人類の運命を託されていると認識しながらも思うのは最愛の家族のことだ。

”生きたい、会いたい、”

ただひたすらに想って、人知を超えた宇宙というフィールドで意味を成すかもわからない任務を遂行し続けるしかない…。




ネタバレはこのくらいにします。

宇宙という他の生き物は何もいないし次元さえ自分たちが認識している三次元、四次元を遥かに超える事象を前にして、「絶望」以外何を感じれば良いのだろう。
最愛の家族を置いてきたことに対して「後悔」と「悲しみ」「寂しさ」以外何を感じられるだろう。

私の乏しい想像力では計り知れない”孤独”がそこにはあった。

宇宙では時間の流れが違う。とある星での1時間は地球での7年分になることもある。
1時間調査するだけで家族は7年歳をとる。愛する娘はその3時間のうちに自分の年齢を超える。寿命が近づく。
会える可能性のあるタイムリミットが近づく。

宇宙船が故障する。

燃料がわずかになる。次の星に行くか、地球に戻るかどちらかしか選べない。

”生きたい、会いたい、”

感情を抑えられずに、それでも戻らないことを決めるクーパーとアメリアは何を思うのだろう。

私は彼らの心情に一番近い言葉を”孤独”と表現するけれど、それは私が知っているものではないと思う。

「恐怖」「後悔」「寂しさ」
と同時に強烈に受け取った
「愛している」「会いたい」「生きたい」「戻りたい」
「それが叶わない」

彼らが感じた”孤独”は命の内側から溢れ出す「渇望」に近いものだと思う。

周りに支えてくれる人、頼れる人、話を聞いてくれる人がいる(そんな存在に既になっているかは置いておいて、周りに人はいる)にも関わらず外部から無条件に降り注がれる愛情を求めて勝手に”孤独”を感じているように思い込むものとは全く違う感情。

自分からどうしようもなく求めているのにそれが叶わない絶望の渦中にいることは認識しているのに、それでも求めずにはいられない。
そんな”孤独”があることを知った。

私は”孤独”にめっぽう弱い性分だ。
誰かそばにいてほしい。
自分の中に不足感を見出すことに慣れてしまっていたのかもしれない。
というよりそんな状態になることを無意識のうちに望んでいたのだろうと気がついてしまった。

私の感じていた感情も、この作品から受け取った感情も”孤独”という表現に変わりなく、どちらが正解も不正解もないと思っている。
ただ一つ、今私たちが置かれている状況で感じられる”孤独”は自分自身が作り出した不足感からやってくるもので自分の命の底から「愛」をもって渇望した時にはそれはもう”孤独”ではなくなるのではないか、と思うのです。





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