完璧主義をこじらせたら、生理が来なくなった話。

土曜日の朝、早起きをして電車に乗り込んだ。
向かうはレディースクリニック。
先月、今月と立て続けに10日以上、生理が遅れているのが気になっていた。

初診にも関わらず、待ち時間なく通してもらえ診察はスムーズに終了。結果は、ホルモンバランスの崩れによる遅れだった。卵さんの成長スピードが、ストレスなどの影響によりゆっくりになり、生理周期に影響が出ているらしい。

むかしから完璧主義なところがある。
マルチタスクで何事もそつなくこなせる人のそれではなく、不器用なわりに目標を高く設定してしまう、良くないタイプのほう。結果、うまくいかず自己嫌悪に陥るからさらにタチが悪い。

「いまの自分にはこのレベルが精いっぱいだから。ムリなく達成できる目標に切り替えよう」とはならず、毎回、お決まりのルーティンで疲れてしまうのがオチ。

そんなわたしにとって生理は、このどうしようもない負の連鎖を断ち切る『救いの免罪符』だった。だれに対するものでもなく、自分に厳しすぎる自分への言い訳。

生理が始まったらまず、頑張ることを手放す。

「今日は生理だから、何が起きても、何ができなくても仕方がない」
と、自分を甘やかすことに全力を注ぐ。

1日くらい掃除をサボったことろで、しなないし、
明日つける下着があるなら、今日の洗濯はお休み。
夕飯はスーパーのお惣菜に、即席みそ汁で十分。

あたたかい部屋でゴロゴロしながら、大好きなアイドルのライブ映像を大音量で流しながら口ずさむ。

会社へは出社するだけで満点だし、イレギュラー対応は元気な人にお願いすればいい。定時で帰る、これ鉄則。

・・・と、生理をひとつのきっかけに、ズタボロになっていた自己肯定感を癒し、バランスを取り直すのだが、今回はそうはいかなかった。完璧主義が暴走した結果、ストレスが蓄積。切り替えの目印である生理が来なくなってしまったのだ。困った。

さらに困ったのは、原因であるストレスの蓄積に対して「自覚」がないこと。これがかなり、厄介だった。

本業にこそ不満を感じているものの、それ以外の生活には大満足していた。(しかも来月には退職することが確定している、よく頑張ったぞわたし)

退勤して家に帰る。そこから初めてわたしの1日がスタートする。
掃除、洗濯、部屋の片づけ。全部楽しくて、負担には思っていない。彼の帰宅に合わせてあたたかいご飯を作り、一緒に食べている時間がなによりも幸せだ。

空いた時間は、副業に充てる。ここ1年間、やりたいと願い続けた仕事をもらえるようになった。そのためにパソコンも新調したし、Wi-Fiとの相性もバツグンで言うことなし。この生活のどこにストレスが溜まるのだ。贅沢な悩みを抱える自分にまた、嫌気がさす。

クリニックから帰宅すると、彼があたたかいコーヒーを淹れ、ふたりで少し話をした。(先に記しておくと、平日は定時で上がれるわたしが家事を、週末は彼が担当してくれているので、そこに不満はない。)

「負担に思っていないとはいえ、『やるべきこと』だけで頭がいっぱいになると、やっぱりしんどいよ。ご飯食べてても、お風呂入ってても、次はこれ、その次はあれ、って。いまだって、洗濯機が止まったのが気になって仕方ないでしょ?」

図星だった。帰宅してコーヒーをいただく前に回した洗濯が終わったようで、彼との会話中に電子音が鳴った。すぐ干さなきゃ、でも今はふたりで話す時間だしな…という気持ちは丸見えだったらしい。普段のわたしは、洗濯を回しながら、掃除の順序を決め、クイックルワイパーを片手に、冷蔵庫の中身を思い返しながら、今夜が締め切りの原稿に思いをはせる『容量重視オンナ』なのだ。自分でも呆れる。

むかしから観察力があるといわれる。きっと、集中力がないの言い換えだろうけど。

たとえば、電車に乗っているとき。
目に映る人や、モノの背景を想像する癖がある。
(文章を書く上では役立つ癖だけど)都会の満員電車はスマホ並みに情報量が多くて、5.6分、乗車しただけで、どっと疲れてしまう。

少し前、SNSで見かけた「脳内で自分の独り言がうるさくて仕方がない」という嘆きに全力で共感した。頭というか、心というか、とにかく登場自分つは自分だけなのに、大阪のおばちゃんの井戸端会議レベルで話題に富んでいる。あれといえばこれ、これといえばあれ、というように数珠つなぎに話が尽きない。ひとりマジカルバナナが得意すぎる。

なんというか、情報収集力と記憶力に対して、処理能力が追い付かなくて、勝手にしんどくなる節がある。

彼との会話に話を戻そう。

「夢でも仕事してるとき、あるでしょう?あれは脳が休んでいない典型的な証拠。常に仕事のことが頭にあるから、寝ても覚めても浮かんでしまうんやと思うよ。」

それはそう、めっちゃそう。

「僕が最近、寝る前にスマホゲームしてるのは、その傾向を防ぐため。頭の真ん中にあるものを、仕事と関係ないものに置き換える作業をすることで、寝つきも寝起きもよくなったよ」

普段、携帯に執着しないかが、スマホゲームにはまっていることに気が付いてはいた。ただ、明日も仕事なのに、なんで早くスマホを置いて休まないのか、理解できなかったし、なんならちょっと不満だった。納得はしたものの、取り入れられる自信はない。

「切り替えるとか、めっちゃ苦手分野やねん。違うことしてても不意によぎって、全部持っていかれる」

「別に無理に切り替えなくていいよ。なんというか、真ん中にあるものを横へどかして、関係ないものを入れるスペースを持つイメージ。少しずつやっていけば、リフレッシュできる癖がついて、かえって効率がよくなるんじゃないかな」

なるほど。ないキャパを広げるんじゃなくて、コントロールするのね。

仕事の代わりに入れるのは、自分の好きなこと。
仕事からできるだけ距離のあるもの…

ふと本棚に目をやると、発売日が待ち遠しくて仕方なかった本たちが、
ページをめくられることなく、並んでいるのが見えた。
『やるべきこと』に追われて、『好きなこと』へ費やす時間の優先順位が低くなっていることに気が付き、少しむなしくなる。

最近読んだ岸田奈美さんの記事を思い出した。
好きなことをするにも「疲労」はつきもので、元気になるためには「好きなこと」よりも、まずは「回復」を優先するほうがいい、という話がとても印象に残っている。(有料会員部分のお話になるので引用はできないが、共感の嵐、学びの宝庫だったので、未登録の方はぜひに)

やるべきことをきちんとこなして、好きなことをする生活は、
理想的で、かっこよくて、めちゃくちゃ憧れる。
努力してでも手に入れたいし、なんならその努力は苦じゃない、楽しい。

でも、できない自分が現れるたびに責めていたら、疲れが溜まって生理がこなくなった。なんて近況をダラダラを書き進めていたら2500字近くになったので、最後にこれだけ。

完璧主義を良い方向へむけるためにも、たまには余計な関係ないもので、頭を埋め尽くすことも大事だったりする。

好きなことを好きで続けるためにも、自分を意識的に「回復」させてあげることを忘れずに。

休むことはダメなことじゃない。
タチの悪い完璧主義仲間のあなたへ。

一緒にほどよく、がんばりましょう~



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