見出し画像

タイ人の旅行代理店社長が、ユニークな日本ツアーを提案してきた。

コロナでしばらく旅の機会がないとはいえ、改めて近年のインバウンド需要の伸びLCCの普及を振り返ると、「海外」はかつてないほど私たちに身近になり、また、日本も世界の人たちにとってより身近な国になりました。

日本のイメージも昔の「忍者、神風、富士山、芸者」から「ハイテク、自動車、ゲーム」に変化し、今ではラーメン、和食、アニメより生活に根差した事柄になり、訪日回数が多い外国人観光客の中には、日本文化に対して日本人顔負けの知識を持つ人もいます。

また、旅行情報が充実した結果、日本人も台湾ならスイーツ韓国ならアイドルタイならお寺巡りベトナムなら遊覧船という形で、より具体的に特定されたテーマでその国を訪れるようになり、世界中の観光地が「外国人から見たわが地元のテーマパーク的な価値」を模索しています。




テーマパークを「特定の目的に沿って時空間を過ごす場所」だと考えてみると、その代表であるディズニーランド、USJは、好きなキャラクターがいる映画の世界の中で、自分が主人公や登場人物になる疑似体験を楽しむテーマパークです。

他にも、水族館動物園は生き物や大自然と触れ合うことをテーマにしたパーク、野球場サッカー場は一体感、スリル、感動を味わうテーマパーク、大学は挑戦、勉強、成長をテーマにした「知のパーク」だと考えることもできます。

そう考えてみると、日本という国は外国人にとって実に多種多様な切り口からテーマパークにできる国で、日本が外貨を稼ぐための観光資源や特産品、または輸出商品を考える手がかりを得るため、外国人から「新しいテーマ」のヒントをもらうことは、とても有意義な情報収集の一つです。




コロナの発生前、タイで旅行事業を手掛ける友人から、新しい訪日ツアー提案を受けました。

彼は「仏教専門ツアー」を20年以上手掛けており、インド、ネパール、ミャンマー、ラオス、カンボジア、スリランカ仏教遺跡に主にタイ人の僧侶、教職員を案内するオリジナル旅行商品を販売し、時には添乗もしています。

2013年に訪日ビザが免除されてからは、タイ人観光客は日本の観光地の大事なお客様となっており、特に佐賀、鎌倉、北海道には局地的に大きな経済効果が生まれた場所もあります。

そして、彼の主要客層であるタイ人僧侶、教職員からも「日本ツアーを企画してほしい」というニーズが出てきたそうです。

「お釈迦様の教えが到達した東の果てを見たい」と。




「仏教国ならではのテーマ」面白いと思った私は、日本では仏教が「生活即信仰」という禅的な受容をされたこと、明治期に廃仏毀釈が実施されたこと、仏教的な修行が学校や企業に存在しないこと、仏教が政治や教育に影響を与えないことを彼に説明したところ、

彼は「だから面白い」と言い、宗教的な外観が薄い日本の人々が、節制、慎み、共生といった仏教的価値観をより強く反映した行動を見せる秘密こそ、ツアーで迫りたいテーマだと話してくれました。

かねがね、「日本最高の観光資源は日本人」だと考えてきた私は、彼に日本最古の「旅行業者」が平安時代に寺社仏閣を案内した「御師」だったこと、井上靖の仏教文学の名作「天平の甍」の内容、西日本の仏教史跡について話したところ、「それはタイでは誰も知らない。ぜひやろう」と言ってくれました。

新たな「テーマ」日タイ心をつなぐツアー

コロナが落ち着いたら、ぜひ企画したいところです。


▼海外ビジネス(輸出・物流・通関・検査証明・商品企画等)に関するアドバイザー・サポート業務を行っています



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?