見出し画像

ツーリズムを超えた新たな時代の価値創造を。nextender発足にかけた思い

JTBで新たに立ち上がったイノベーション創発プロジェクト「nextender(ネクステンダー)」。社会のさまざまな共創パートナーとともに、起業家輩出や新しい事業の創造を目指すプロジェクトです。

これまでもさまざまな新規事業開発やイノベーションに取り組んできたJTBが、なぜこのタイミングで「nextender」を立ち上げたのか。そして、これからどんな未来を描くのか。
 
「nextender」の動向をお伝えするnoteのマガジン記事第一弾として、プロジェクトマネージャーの菊谷と、本プロジェクトのパートナーとしてコンセプトやクリエイティブ制作に携わるDroga5 Tokyo(ドロガ ファイブ トウキョウ)の小野さんに、社会とのさらなる共創を目指して社員全員がチャレンジできる環境づくりへの意気込みを語ってもらいました。

JTB 菊谷佐知子(きくや さちこ)
入社後、店頭営業を6年経験。旅行好きが高じて、一度会社を退職し1年間ヨーロッパを中心に旅行をする。その後、JTBに再び入社し、ビジネストラベルや教育旅行などの分野での法人営業や、メーカーとの共創事業を担当。2023年4月より現職。
Droga5 Tokyo 小野恵央(おの よしなか)
Droga5 Tokyo, Part of Accenture Song クリエイティブ・ディレクター:新卒から14年間、電通にてクリエイティブディレクター・アートディレクターとして活動し、ブランディングに携わる仕事を数多く経験。その後は事業会社に転職し、CCOとして2年の経験を積んだのち、Droga5 Tokyoにジョイン。

人を喜ばせる力はイノベーションの原動力になる


—— 最初に、nextenderが生まれた経緯について教えてください。

 
菊谷:直近の数年間はツーリズム産業全体がコロナの影響を受け、とても苦しい時期にありました。交流の在り方や価値観が大きく様変わりするなかで、自社の存在意義や提供価値を改めて自問自答し、複雑な思いを抱きながら何とか危機を乗り越えてきました。社員一人ひとりはもちろん、業界や社会全体として、新しいことへの挑戦欲求が高まっていると感じます。
 
このような時期を乗り越えた今、変化に対応し、挑戦をダイナミックに後押しする体制づくりが欠かせないと、より実効的な事業創発の仕組みを構築することにしました。事業開発のワークショップやコンテスト実施にとどまらず、教育やコミュニティ形成なども一体化させました。挑戦を後押しするためのカルチャー改革にも取り組んでいきます。これにより、学び、挑戦し、失敗してもほかの人の学びになったり、またさらにチャレンジしたりすることができる。そんな学びと挑戦のサイクルを生み出していきます。

これからもJTBはさまざまな交流を生み出すことを通して、世界に新しい価値を届けていきたい。その軸は変わりません。JTBの持つ経験やネットワークなどに魅力を感じていただける社外の多様な方々と、共創する仕組みを作りたいと思い、nextenderを始動することにしました。
 

—— 発足にあたって、コンセプト策定やビジュアル制作をDroga5とともに行ったそうですね。

菊谷:具体的なアクションプランを書き出すなかで、プロジェクトの目的や既存のイノベーションに関する取り組みとの違いをわかりやすく伝えるにはどうしたらいいのかと悩み、Droga5さんにご相談しました。

小野:2023年の6月にお声がけいただいて、急ピッチで準備を進めてきました。Droga5は、企業変革にクリエイティブで関わっていくことをメインの仕事として掲げているので、このプロジェクトはまさにご一緒したい領域でした。
 
 
—— どのようなコンセプトを策定しましたか?

小野:Droga5は常にブランドの存在意義を中心に課題解決を考えています。今回のケースではJTBらしさとは何か、JTBだからこそできるイノベーションとは何か、それを可能にするJTBの潜在的能力は何かを探っていきました。社員の方と対話するなかで浮かび上がってきたのが、「Enabler」「Hospitality-centric」という2つの力です。

「Enabler」は、イノベーションを起こすためのつなぎ役のようなイメージ。「Hospitality-centric」は、特定のプロダクトでもテクノロジーでもなく、人や社会の喜びを中心にイノベーションを考える想像力があることを指しています。
JTBは旅行という事業に深く関わるなかで、多様なお客様とのネットワーク、さまざまな条件のなかで最適なもの同士を結び付けてベストな提案を作る企画力、そして何より顧客のニーズを洞察し実行するホスピタリティを培ってきていると思いました。
イノベーションと聞くと新しいテクノロジーやプロダクトを想像してしまいますが、JTBはすでに世の中にある事柄を組み合わせて、社会へ新しい価値を生み出すことに長けていると感じたんです。そこで、「Enabler」と「Hospitality-centric」の力で、人や地域、会社などさまざまなプレイヤーを結びつけてイノベーションを起こすというコンセプトを策定しました。

菊谷:対話を重ねるなかで「Enabler」と「Hospitality-centric」という表現を出していただいたのですが、すごく私たちのことを言い当てていると感じました。社内の関係者と話すときも、この2つの言葉をもとに説明すると、すっと理解してもらえたんです。

JTBの社員は割と真面目に「どうしたらこのお客様に喜んでもらえるだろうか」と真剣に考える力を身につけていると思います。そういった力がちゃんとイノベーションにつながるものなんだということを気づかせていただきました。

「JTBの可能性」を拡張するキービジュアル

—— nextenderというプロジェクト名にはどんな意味が込められていますか?

菊谷:短い言葉ですが、ここには色々な意味が込められています。1つは「nex」。つなぐという意味です。 先ほどお話ししたような、さまざまなステークホルダーや価値同士をつなぐことのできる、JTBのポテンシャルを表しています。
 
2つ目に、拡張性を意味する「extend」。これまでの旅行業から新たな事業領域に拡張していくことや、JTBの取り組みにとどまらずさまざまなパートナーとともに拡張性のあるイノベーションを起こしていくことをイメージしています。
 
最後が「next」。これからのJTBの軸となるようなビジネスを創出していくことを表現しています。これらの言葉に加えて、事業を起こせる“人財”を育てていきたいという思いから、人を表現する「er」をつけました。
 
 
—— キービジュアルからも、未来につながる拡張性を感じます。 

新たに作成したnextenderのWebサイトでは、イノベーションの種をイメージした球体が踊る

小野:今回はカラフルな球体のあいだに複数のラインが通ったキービジュアルを制作しました。カラフルな球体は、世界中に散らばるイノベーションの種をイメージしています。JTBグループは2023年春からリブランディングに取り組まれています。コーポレートロゴの背景色として地球からもらった12色のグラデーション(※)を設定されていますので、それにあわせてカラフルなグラデーションを使用しています。 
球体のあいだを通るラインは人のシルエットをしていて、球体同士をつなぐことや、イノベーションを推進していく人をイメージしています。また、背景には白い余白部分があるのですが、これは拡張性を表現しています。これらをベースに、球体の数やラインの数、余白の広さなどを変えて、複数のビジュアルを制作しました。

※12色のグラデーションは、JTBの事業ドメインである「交流創造事業」や人財の多様性を表現している

菊谷:コンセプトやビジュアルを可視化していただいて、自分たちのやりたいことがクリアになっていく感覚がありました。いい意味でこれまでのJTBとは違ったデザインが新鮮だと感じます。

小野:大前提として、社内外の方に楽しんでプロジェクトに取り組んでいただきたいという思いがあるので、全体の印象としてイノベーション感は意識しつつも、華やかで柔らかな印象にすることで、ハードルが高く感じないように配慮しています。

全社員がイノベーションに取り組める体系的なプログラム

—— JTBではこれまでも事業開発やイノベーションのための取り組みを行ってきました。nextenderと既存事業の取り組みとの違いはどこにあるのでしょうか?
 
菊谷:nextenderは全てが新しい取り組みというわけではありません。これまでやってきた取り組みと新しい取り組みをつなぎ合わせて、体系化したのがnextenderです。

「CHALLENGE」は実践の場です。アイデアだけがある状態から、今すぐ起業したい人まで、気軽に取り組めるよう3段階のプログラムにしました。なかでも今回新しく打ち出すのが「Venture Builder(ベンチャービルダー)」です。イノベーション創発に必要な知見と経験をもったビジネスプロデューサー、エンジニア、デザイナーなど多様な外部サポーターとチームアップする仕組みを整え、開発資金も提供し、挑戦者を強力にバックアップします。最大1年半をかけて、会社設立と起業家を生み出すことを目指します。
 
そして、「KNOWLEDGE」では、事業開発を学ぶ機会や、興味関心のある人同士がつながり合えるコミュニティ、メンバーとして事業開発プロジェクトに関われるマッチング機能を提供します。チャレンジする人はもちろん、チャレンジにハードルを感じる人も、イノベーションに気軽に関われる場となっています。
 
 
—— さまざまなレベルを設けることで、誰もが参加できるようにしているのですね。
 
菊谷:新しいことに挑戦する人が1人でも増えることを願って、関わり方のバリエーションをできるだけ広く用意しています。もちろん、JTBが持っている資産や外部の専門家の力を使って、本気で事業化や独立を目指す方も全力でサポートします。
 
小野:「CHALLENGE」だと自信がないという方でも、「KNOWLEDGE」なら参加できるかもしれません。事業を起こしたい方に対して、自分の持っている知見を伝えたり、誰かを紹介したりすることでも、十分イノベーションに貢献したことになります。サポーターの立場でもいいので、社員全員に関わっていただけたらいいなと思っています。
 
 
—— JTB社内だけではなく、社外の人でも参加ができるのでしょうか?

菊谷:事業開発を進めていくなかで、JTBグループだけで完結できることは多くありません。ですので、今後も社会のさまざまな共創パートナーと一緒に取り組んでいきたいと考えています。実際に会社設立を目指す新設プログラムの「ベンチャービルダー」では、今後、社外からも応募できる仕組みを整える計画です。

ツーリズム産業そのものをアップデートする取り組みを目指して

—— 今後、nextenderを社内外に浸透させていくにあたって、どんなことを意識したいですか?
 
菊谷:良いイノベーションをたくさん生み出すには、それと同じくらい失敗も必要だと思います。なので、失敗を恐れずどんどんチャレンジできるようなカルチャーを会社全体で醸成していきたいなと思います。
もちろん闇雲に飛び込んで失敗するのはよくないのですが、志を持って飛び込んで、仮説検証をして失敗した時にそこから得られるものはすごく大きいはず。「そんな失敗したの?すごいね」と言い合えるようなカルチャーを作っていきたいです。
 
 
—— 社内はもちろん、社会に対しても影響のあるプロジェクトになりそうです。社会においてどんな役割を担う取り組みにしていきたいですか?

菊谷:ツーリズム産業はすそ野が広く、関わる人の多い産業です。旅行で訪れる人だけでなく旅行者を受け入れる地域の方にも感動と喜びをもたらす、大きな可能性を秘めています。そのツーリズムが新しくなっていく、新しい価値を作っていくことは、社会に対しても大きな影響を与えると思います。
そしてこれは今年度から取り組んでいるリブランディングともつながっています。nextenderという取り組みやJTBグループ各社が、ツーリズムそのものをアップデートしていくような存在として、社会に貢献していけたらいいなと考えています。
 
小野:JTBはさまざまなステークホルダーやモノやコトを結び付けて“世界がまだ気づいていない関係”を編み出せる企業だと思います。だからこそ、一社だけではなく、周囲との関係性を持ってイノベーションを起こしていけると思いますし、きっと周囲にも良いインパクトを残していただけるだろうと期待しています。
 
 
—— では最後に、nextenderに興味を持った方に向けてメッセージをお願いします。
 
菊谷:先ほどもお話しした通り、JTBグループだけで完結できることは多くありません。これまでJTBが110年かけて培ってきたつなぎ合わせる力や、グローバルネットワークなど、JTBがもつ経験や資産をもっと社会に還元したいと思い、nextenderを始動しました。だからこそ、社内外の方々と一緒に、このプロジェクトを通してツーリズムやホスピタリティに関わる産業全体を盛り上げていきたいと思います。興味を持っていただけた方にはぜひ、今後もnextenderの動向をチェックいただけると嬉しく思います。
 
※イノベーション創発プロジェクト「nextender」詳細はこちら

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!