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はじめてのTVCM~ROASが2.8倍に!~

こんにちは。FUNDINNOの向井です。

最近よく、TVCMはどうですか?とお話をいただきますのでnoteにまとめてみました。TVCMをやると決めてから、実行~運用ぐらいまでのお話をしていきたいと思います。少しでも皆さんのお役にたてれば幸いです。

・なんのためにやるのか
・関係者や用語の整理
・まずはこれだけやろう
・CMは計測できる
・どう評価するのか


◆何のためにやるのか◆

2019年にデジタル広告がTVCMの出稿量を逆転したという話がでました。電通さんのサイトに日本の広告費用についてのまとめがでています。

TVは見なくなった、広告出稿も落ちている、だからといってTVCMが効果がないかというとそんなことはありません。やはりマス広告としてのインパクトは絶大です。TVCMは多くの方にみていただけるチャネルである事には変わりありません。そして今は各種ツールが出てきていますので、測定ができるという事で、魅力的なチャネルであることは変わりないと考えています。

しかし、自社でTVCMをやろうとする場合何が一番難しいか。

社内の意思決定

だと思います。
実際は、クリエイティブも最小限、地方への出稿という事で予算を抑えた形でスタートできます(このやり方、おススメです)。ですが、それはあくまで大型出稿を控えたテストということになりますので、今まで放出したことないような広告予算を短期間で使うことになるので、慎重になって当然です。

私たちは定期的に経営合宿を行っていて、ここで大きな意思決定をするようにしています。3か月という中期の方向性を決めるわけです。この意思決定機関は経営陣の中で重要な共通言語になっており、私たちが自信をもっておススメできる、数少ない仕組みです。私たちはここで決めました。資金調達後、ここしかないというタイミングだったと思います。※その後出稿までの2か月弱は、時間との闘いでした(汗)

ちなみにこのTVCMを実施するかどうかの議論のエピソード、以下の書籍の中で少し触れられていますので、よろしかったら読んでみてください。

ちなみに当社の場合は、TVCMを始める意思決定は「経営戦略の一環」でした。今は「マーケティング」目的で実施しています。

「経営戦略の一環」というのは、私たちにとっては、TVCMを実施することにより、認知と信頼を獲得するというものです。「認知」と「信頼」かー。でたビッグワードと思われるかもしれませんが、これ、当社にとっては死活問題でした。
私たちの業態だと広告を出したくても出せないという事が普通にあるんです。「クラウドファンディング」や「投資」という業態だと広告審査が厳しいのです。またこういった広告出稿などでは、「前例」が重要になってくるので、「前例」がないといつまでも先に進みません。だれかと「前例」をつくる必要がありました。
そんな時に、私たちの取り組みに興味を持ってくださり、以前から企画をご一緒させていただいた、ある局の方が手を差し伸べてくれました。この方たちが社内を通すためにも、ある程度まとまった金額を私たちで用意して、なんとか審査を突破していただきました。同タイミングで代理店の方が、一気に横展開してくださり、各局の審査を突破。晴れてマスメディアで広告出稿をすることができるようになったのです。ガラガラと音をたて、私たちを囲っていた壁が崩れ去っていった瞬間でした。

その後CMを出稿して

・認知の向上
・広告戦略の自由度の向上
・採用
・取引先様およびパートナー様との面談の増加

に繋がりました。

実際TVCMを実施する事によって、FUNDINNOの認知度は高まりました。
例の一つとしてグーグルトレンドの結果を以下に貼り付けました。右に行くほどグラフが高くなります。2019年度比でみると3~4倍程度でしょうか。

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上述した効果は、よい循環を生み出しました。その循環の結果、次のファイナンスにおいて、投資家の皆様にもよい情報をお伝えできて、ご出資にもつながっていったと考えています。

当社のファイナンスのプレスリリースについてまとめたnoteはこちら。

~ここまでのまとめ~
・TVCMをやるには、目的を明確にして、全社で意思決定をした方がよい。
・初めてのTVCMは単なる広告出稿にあらず。戦略の一手である。
・広告の審査がある。TVCMはやりたいと言ってもやれない可能性がある。

◆関係者の整理◆

この先、マーケっぽい話をしていくのですが、その前に少しだけ整理を。TVCMを実施するためには、様々なパートナーさんの協力が必要です。

①テレビ局
②テレビ局から番組を買い付ける人(広告代理店)
③どの番組がよいかプランニングしてくれる広告代理店
④クリエイティブ制作してくれるチーム

①は言わずもがなです。
ただテレビという公共性が高いメディアに広告を出すには、上述した審査、すなわち

業態考査
クリエイティブ考査

が必要です。
前者が会社の事業として問題ないか、後者がTVCMの素材として問題ないかというのをチェックしていただきます。私たちのような金融商品を扱う業者は特にチェックが厳しいです。クリエイティブも、誇大広告ではないか、などチェックをします。(「儲かります!」とか「全部タダ!」みたいな広告は嫌ですし、当然NGです)

②の方は③の代理店の方が会話するので、出稿側としては接点がないことが多いですが、非常に重要な役目です。
簡単に言うと価格交渉や、出稿したい番組の確保を行います。
ちなみに出稿方法は、「スポット」「タイム」というものがあります。

・「スポット」は15秒CMで、不特定の番組に対して出稿します。
・「タイム」は、この番組は○○の提供でお送りします、というあれですね。30秒流すことができます。

③の人とは、誰に何を伝えてどうアクションしたもらいたいかを決めます。それに基づいて④でふさわしいクリエイティブを作成します。

関係者多いですよね。審査もそうですがお作法も多いです。言葉も固有名詞なのか一般名詞かわからなくなります。「クリエイティブ」の事をいつの間にか「素材」と呼ぶようになったりします。また全国ネットのTV局ですが、タイムで出稿するときに、番組を制作している局がキー局でない場合は、クリエイティブをその局に「送稿」します。解説している間に「送稿」という新しい言葉も出てきました。このあたりは広告代理店さんに教えていただくとよいと思います。


◆まずはこれだけやろう◆

さていよいよ出稿する訳ですが、改めて基本に忠実にです。

・TVCMを実施する目的を決める
・見てもらいたいお客さまを決める
・お客さまに何をしてもらいたいかを決める

これは、もう普通のマーケティングです。いつも通りやればよいです。「M1」や「F1」、「視聴率」や「GRP」という言葉に惑わされる必要はないです。自社のユーザーを普段使っている言葉で広告代理店さんにお伝えしましょう。30代、女性、年収500万、みたいな感じです

またクリエイティブによってお客様の反応は大きく異なります。
たった15秒や30秒で伝えないといけない訳ですが、伝えられるメッセージは社名やサービス名以外に

せいぜい一言です。

その一言によってお客様に行動していただかないといけないのです。クリエイティブは2種類以上創ってテストをする、もしくはデジタル広告でテスト事おすすめします。私たちは8種類作りました。その中でチャンピオンがいます。8種作ってくださった代理店さん、制作会社さんに感謝です。

ターゲットにするお客さまを決めて、クリエイティブも決めたので、あとはどの番組に出稿するかです。最初は15秒のスポットCMを出稿する事になると思います。その時はM1、F1のデモグラだけでなく、商品とお客さまを一番わかっている自分たちで、リストアップされたテレビ番組を改めてみた方がよいです。その番組、自社のお客さま見てそうでしょうか?最終的にはCM出稿後にどの番組が良かったか判別して、番組を絞って効果を高めていきたいところです。

PTとSBという言葉があります。簡単に言うと、番組内か番組と番組の間のCMです。タイムにすれば、確実に番組内です。スポットCMだとSBになる可能性もあります。番組と番組の間、みなさんはTVをみていますか?

◆CMは計測できる◆

CMの効果測定は、デジタル広告程ではないかもしれませんが、非常に計測がしやすいです。何故なら放映時間が決まっているからです。その時間帯の検索やサイト来訪が増えればCMの効果であったと考えられます。
逆にPV増を目的にしているのに、PVが跳ねないのであれば、それは効果がないと言えます。認知目的で、後程の認知度調査であれば、必ずしもそうとはいいきれませんが、反応がなければ効果がないのです。例えば当社の例です。CMを出稿している時間に、しっかりお客さまが反応してくれています。

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問題はPVはあるけど、コンバージョン(CV)は・・・です。ここは、ある程度で社内できめる覚悟が必要です。TVCM直後に発生したCVをTVCMによる効果として計上して測定する、TVCM後1時間以内のCVを測定する。ミクロ的にはそれを相対評価として改善していくことがポイントだと思っています。

少しマクロの話をします。
みなさんCMみた直後にアクションしますか?しない方も沢山いらっしゃいますよね。その後思い出したようにそのサービスにアクセスしたり、デジタル広告をみてアクションする方もいらっしゃると思います。必ずしも、CM直後にアクションされる訳でなく、ある時ふと思い出してくれることがあるかと思います。

これ残存効果です。

上述した通り、CMを出稿したタイミングだけの効果測定では、もったいないです!以下は参考までに当社のROASです。残存効果を考えて、3か月平均、6か月平均のROASも出しました。CMは10月と1月に投下しています。(10月の方が出稿金額が多い)
roasは10月でガクっと下がりますが、徐々に上がっていくことがみて取れます。単月だとブレ幅が大きい、6か月だと緩やかすぎる。CMの残存効果が3か月程度とよく聞くのですが、このグラフをみると納得です。

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もう1つあります。
TVCM出稿する場合、全方位でマーケティングをするはずです。WEBサイトの改修であったり、デジタル広告であったり、タクシーやOOHやイベントを企画されると思います。TVCMという後方支援は、各前線でも大いに改善効果が見て取れます。
以下はデジタル広告のCPAです。CM出稿の10月と1月に効いているのがみて取れると思います。デジタルは単月の振れが大きいことから、即効性が高そうですね。3か月でみても安定して低いラインをキープできていそうです。

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そして、TVCMの費用対効果についてです。
TVCMの価格についてですが、基本的に視聴率が高い番組は価格が高いです。単純にGRP(視聴率×月の放映回数)単価であること、またタイムCMについては、局の目玉番組は高くなります。スポットCMは時期によって価格が変動しますし、バイイングする広告代理店さんの腕のみせどろこです。もっとも局の担当者と出稿側の関係性なども影響してきます。なおタイムは30秒なのでスポットの2倍ぐらいの価格で考えたいのですが、上述の通り冠番組などにはプレミアがつきます。

認知度あげていくには、GRPは大事です。ですが、私たちのお客様に届ける事が大事になるわけです。GRPが高いだけではダメなわけです。そうすると相性の良い番組をみつけていくことが大事になります。番組種類や時間帯や曜日という発見になるかもしれません。
よって費用対効果という点では、やはりGRP単価ではなく、CPAで見ていった方がよいと思います。少しくらいGRP単価上がっても、相性の良い番組に出稿していく方が、局側も代理店さんも出稿側の私たちもハッピーです。

TVCMはGRPが高いものがお値段も高いです。ですが視聴率が高くとも自社の商材に合うかどうか分かりません。また自社のWEBサイトのPVがアップしたといっても、単純にクリエイティブ(の俳優さん)が好きになっただけかもしれません。最後にはを見る必要があります。
TVCMによるCV増加方法の測定として、TVCM放映直後、放映期間の比較、TVCM放映エリアと放映していないエリアを見比べてみる、などができると思います。

大事なのは視聴率が高い番組が必ずしも自社にとって良いわけではないという事ですね。

私たちの取り組みですが、こちらで事例紹介して頂いています。


~TVCMまとめ~
・いつも通りのマーケティングを。業界用語にひるまない。
・クリエイティブに込められるメッセージは1つ。
・お客様に何をしてもらいたいのか。
・TVCMはマクロ、ミクロに測定。効果を最大限に理解しよう。

TVCMって面白いもの、結構ありませんか?TVCMはお客さまから頂いたお金を使って、会社でしびれる意思決定をして、沢山のパートナーの皆様に協力していただいて、実施するんです。
そして、TVCMって、お客様の時間に無理やり割り込んでみてもらうんです。

だったら、

とびっきり楽しくて面白いものつくって、
自分の大好きなサービスをお客さまに知ってもらって、
お客様に喜んでもらう、

そんな事をやってみたくないですか?
こんな事をできるマーケターって幸せだと思うんです。 


KPIとCPAとにらめっこして、「効果あるのか!」と言われ、その対策に身を粉にしている皆さんが、マーケティング活動に少しでも時間を使ってくれれば、ほんの少しでもお役にたてれば、幸いです。

日本クラウドキャピタルCMO
向井

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