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【23】がん治療費用保険とは?~『がん保険』のトリセツ~

前回は『がん標準治療費用保険とは?』というタイトルで、がんの標準治療に対応するタイプのがん保険について触れてみました。今回は、それよりももう少しカバーする範囲が広いタイプのがん保険について、一緒にみていきたいと思います。

最近、がん保険に加入したというあなたへ、お届けしたいおはなしです。

標準治療プラスアルファのがん保険

前回の、『がん標準治療費用保険』では、具体的な治療に対してお金を払ってくれますが、あくまで健康保険が適用の治療に限ったものでした。

【画像】がん治療費用保険

今回の、『がん治療費用保険』は、上の『4つのがん療養』の上ふたつと、商品によって、左下までカバーするタイプです。ただし、右上の部分については、すべてというわけでなく『一定の条件を満たすもの』となっています。具体的に見ていくと、まず

がんで、手術を受けたら、40万円
がんで、放射線治療を受けたら、20万円
がんで、抗がん剤治療を受けたら、10万円
がんで、ホルモン剤治療を受けたら、10万円
3大治療のどれかを受けたら、10万円
がん治療を目的とした、通院をしたら、1回5千円

などといったものがあります。前回の『がん標準治療費用保険』と似ています。ただし、目立つところは一緒なのですが、『がん標準治療費用保険』と違うところは、必ずしも

健康保険が適用の治療

だけが対象ではないということです。手術や放射線は、先進医療の対象になっている治療にも対応していたり、抗がん剤は、承認前の『治験』段階のものも対象となっているものもあります。パンフレットの目立つところを見るだけでは、違いに気づかないかもしれません。また、文言に気づいても、一定の知識がなければ理解が難しいかもしれません。

※ちなみにこの『がん治療費用保険』という名称は、個別具体的な商品名を指しているのではなく、あくまで私が、がん保険を分類するために名付けたものです。

先進医療特約の登場

そして、この『がん治療費用保険』で象徴的なものが

先進医療特約

だと思います。お耳にされた方も多いかもしれません。医療保険、がん保険のCMでもよく耳にします。第8話『先進医療は夢の治療!?』で触れたように、先進医療は健康保険がきかない治療で、もし仮に受けるとなると、高額な治療費を、全額自己負担しなければなりません。でもこの特約があると、その実際にかかった金額を払ってもらえます。がん保険ごとに金額の上限は違いますが、最近は2,000万円を上限にしているところが多いです。

ちなみに、『特約』とは、オプションと思ってください。車と買う時に、カーナビもつけるかどうするかといった。自分のがん保険にプラスアルファでつけることができる(全部のがん保険ではありません)ものです。この先進医療特約、仮に自分のがん保険につけたとしても、毎月の負担は100円くらいです。負担も小さいのでつけている方は多いと思います。多くの方が、医療保険若しくはがん保険につけています。

なんでそんなに安く済むのか?これは、第12話『でも先進医療が受けられない・・・』でも触れました。ほとんどの人が、いざがんになってしまった時に、先進医療という選択肢に、到達することができないからです。ほとんど受ける人がいないから、保険会社は100円程度で『先進医療特約』を提供できるのです。

緩和ケアへも対応してくれる

その他、最近その意義も高まっている『緩和ケア』ですが、これに対してお金を出してくれるがん保険も出てきました。緩和ケアは、以前はがんでお亡くなりになる直前のケアというイメージでしたが、現在は早期の段階から、痛みや苦しさがあれば、それを取り除くため、いわゆる生活の質をおとさないために、がんを治す治療と同時に行われるようになっています。

緩和ケアは、がんの直接の治療ではないため、以前はがん保険の対象外でしたが、このあたりは最近の変化でしょう。ただし、緩和ケアも自分から主治医の先生へ積極的に申し出をしないと、気づいてもらえない場合もあるので、先進医療特約同様、宝の持ちぐされになる恐れがあります。

それから、これは前回と同様のことですが、一連の治療や緩和ケアが終わらないともらえる金額はわかりません。また、前回の『がん標準治療費用保険』と比べ、この『がん治療費用保険』は、保障の範囲が広いため、様々な治療に対し請求ができる可能性が高いことは良いことですが、治療が長期にわたった時は、何度も何度も請求手続きをしなければならないかもしれません。

つまり、病院での精算時の『立替払い』と、『つどつど請求』はどうしても避けられません。

大きな変化

最初の『がん入院費用保険』は、がん入院のみしか助けてくれませんでした。それでもその時代は良かったわけです。がん患者さんは基本的に、長期入院でしたから。それに比べて、最近のがん保険は、様々なことへ対応してくれる印象があります。パンフレットのボリュームも大きくなっています。

ただし、

今のがん保険は、今のがん治療に対応している

ということは、忘れてはなりません。3大治療に対して、がんの免疫療法は、第4の治療などと言われていますが、5年後、10年後のがん治療の常識は変わっている可能性があります。そして、最も大事なことは

がん保険は変わらない

ということです。

最近、最新のがん保険に加入した、あなたへ。

10年後、保険の契約者であるあなたが、それを知っていないと、万が一がんになってしまった時に、

がん保険が全く役に立たない

かもしれないということを、是非覚えておいていただきたいと思います。次回は『がん保障保険とは?』というタイトルで、今までの3つとは、少し雰囲気が違うタイプのがん保険に触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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