見出し画像

【22】がん標準治療費用保険とは?~『がん保険』のトリセツ~

前回は『がん入院費用保険とは?』というタイトルで、がんでの入院に対してお金を受け取れるタイプに触れてみました。今回は、4つのタイプのうちの2つ目『がん標準治療費用保険』について、一緒にみていきたいと思います。

まさに今、がん保険を比較しているあなたへ、お届けしたいおはなしです。

入院ではなく具体的な治療に対しての保障

国の入院の短期化政策や、治療技術の発達などで、がん治療も外来通院でのものが増えてきました。そうすると、『がんで入院』を前提としたがん保険は、役に立ちません。それにともない、がん保険も変化しました。

【画像】がん標準治療費用保険

具体的には、

がんで、手術を受けたら、40万円
がんで、放射線治療を受けたら、20万円
がんで、抗がん剤治療を受けたら、10万円

または、個別にではなく

3大治療のどれかを受けたら、10万円

といった、3大治療を受けたことに対してお金が支払われるがん保険が出てきました。また、『がんで入院』に対して、

がん治療を目的とした、通院をしたら、1回5千円

などといったものもあります。ただし、これらのがん保険は、すべて

健康保険の適用になる治療が前提

となり、上の『4つのがん療養』の左上の『標準治療(3大治療等)』をカバーします。自分で進んで選ばなければ、通常は健康保険適用の標準治療を受けることになりますが、標準治療をすべてやり尽くして、主治医の先生から

『もう治療の選択肢はありません』と言われたら、がん保険の出番も終わる

ことになります。

ただ実際には、標準治療をやり尽くしたからと言って、痛みがひどくて寝たきりというわけではありません。まだ治療をしたいと思って、健康保険がきかない自由診療に進む人もいます。治療費としては、その展開になった時が高額になってきて、その時にがん保険はもう機能せずということが起こり得るということは、認識しておいた方が良いかもしれません。

※ちなみにこの『がん標準治療費用保険』という名称は、個別具体的な商品名を指しているのではなく、あくまで私ががん保険を分類するために名付けたものです。

パンフレットに小さく書いてある注意点

さて、前回の『がん入院費用保険』は、『がんで入院したら1日1万円』といった形で、がん保険の商品ごとに違いはあまりありません。強いてあげれば、設定できる金額の上限(例えば2万円までなど)、支払日数の限度(がん保険は無制限というものが多いです)があるくらいです。

一方、先ほど確認したものの中で、まず3大治療に関して言うと、

設定できる金額(選べるもの、選べないものがある)
受け取れる回数(制限があるもの、ないものがある)

があります。さらに、『がんで通院したら・・・』というものに関しては、基本的には、

がんの治療を目的とする、『入院にともなう』通院

が前提となっているものがあるので、注意が必要です。私の母のがん保険はまさにこのタイプの通院保障がついていて、数年にわたって、ホルモン剤、抗がん剤、放射線で、かなりの回数の通院をしましたが、最初の手術後の通院以外は、受け取れませんでした。

また、細かいことを言うと、がん保険により

入院『後だけ』の通院か、入院『前後の』通院が対象か

と言った違いもあります。ケースによっては、手術前に通院で抗がん剤治療を行い、がんを小さくしてから手術を行うこともあります。あとは、対象期間と回数です。

入院前4か月、退院後6か月で何回まで支払います

といったしばりがあることが多く、これはがん保険ごとに違いますから、比較をする場合は要注意です。

『立替払い』と『つどつど請求』

前回の『がん入院費用保険』と同様、このタイプも基本的には事後請求で、病院での『立替払い』は必要となります。また、

手術を受けて、退院してから2か月後から、3週間に1回、抗がん剤治療で、4回通院、これを2セット

これは私の母が、乳がんで最初に受けた治療の流れですが、全部終了後(数か月後)に一括請求するのであれば、手続きは1回で済みます。ただし、受け取れるのはだいぶ後のことです。それでは困るということであれば、何度も請求する必要あり、それがストレスとなることがあります。

がん保険の請求をする際には、病院で診断書を出してもらう必要があります。しかも『保険会社所定の診断書』です。つまり一般的な診断書ではなく、保険会社が知りたいことを書いてもらう診断書なので、料金は通常よりも高いことが多いです(特注品ということです)。私も母のがん保険の請求の時に、診断書を出してもらいましたが、1回7千円くらいしました。

1回通院して5千円もらえるけど、その1回のために請求すると赤字になるという計算で、おのずと数か月待って一括請求するしかありません。また、病院にいくために交通費も別途かかる場合もあります。

ああなったらもらえる、こうしたらもらえるという保険は、聞こえのいいところもありますが、手続きが煩雑になることもあります。

保険の内容で治療選択が影響される?

さきほども少し触れましたが、このタイプのがん保険は、3大治療に対してお金を払ってもらえるもののため、上の『4つのがん療養』の左上以外では、お金がもらえない可能性が高いです。また、がんの治療において

3大治療以外が標準治療となったら

やはり使い物にならなくなってしまいます。

今まさにがん保険を比較しているあなたにお伝えしたいことは、はっきりと『この治療を受けたら』と書いてあるものは、時代の変化についていけなくなる可能性があることです。是非、がん保険選びの際の参考としていただければと思います。

次回は『がん治療費用保険とは?』というタイトルで、今回よりも少しカバーする範囲が広いがん保険に触れていきたいと思います。今回もお読みいただき、ありがとうございました。

⇩⇩⇩ 私の会社(株式会社ライフヴィジョン)のHPです


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?