ひとりで100kmマラソン(6):オーバー10の補給戦略(その他もろもろ篇)

BCAA補給:1時間あたり2000mgくらい

 BCAAの何たるかについては大塚製薬さんのサイトがよくまとまっているので(というかスポーツ業界にBCAAを売り込んでいるのが当の大塚製薬さんです)、くわしく知りたい方はそちらを見ていただくとして。
 ひとことで言えば、運動時に生じる筋肉への物理的・化学的なダメージを軽減してくれるとても都合のいい物質。それがBCAAです。アミノバリュー4000というBCAAがいっぱい入ったスポーツ飲料がありますので(当然ながら大塚製薬さんのプロダクトです)100kmマラソンのあいだはこれを摂りつづけます。筋肉痛や疲労感をやわらげてくれることを期待しています。
 摂取する頻度については明確には定められておらず、「運動30分前~運動中にBCAAを2,000mg以上」とふわっとした指針があるのみです。とりあえず1時間おきに摂ることにします。300mLずつ飲むことはすでに決めてありますから、摂取量は4000*300/500=2400(mg)。これで充分でしょう。

 こと医学的なおはなしにおいて、「個人の実感」というものはあまり役に立たない。重々承知しております。それでも敢えて申し上げますと、やっぱり効いている感じはするのです。
 ぼくの場合、30kmを超えたあたりからもも裏の筋肉(ハムストリングス、ハムなどと呼ばわると業界人っぽいのでおすすめです)が痛みはじめるのですが、BCAAを意識的に摂るようにしてからは痛み出すタイミングがやや遅くなってきた気がします。翌日の筋肉痛についてはもっと霊験あらたかで、以前は半日まともに動けなかったのがちょっと痛いくらいで済む。
 もちろんぼくひとりのからだで対照実験ができるはずもなし、まゆげに唾液を1.8Lくらい付けたうえで聞いていただきたいやつなのですが、効く気はしますよ。たぶん効いてると思う。効くんじゃないかな。

電解質補給:適当にスポドリ飲もうね

 電解質についても大塚製薬さんがまとめてくれています。助かりますね。
 ナトリウムイオン等の電解質は発汗によって失われます。補給しないままでいると低ナトリウム血症を引き起こしたりして大変危険です。しかしこれは水分補給を(真水でなく)スポーツドリンクにすることで簡単に解決できます。さっきのアミノバリュー4000やアクエリアスには電解質がしっかり含まれているので、それを飲むだけ。特に難しい話ではないのでした。
 ぼくに関してはここで話はおしまいなのですが、スポドリの味に抵抗があって水しか飲めない、という方も一定数いらっしゃいます。そういう人はどうしているのかというと、塩飴やタブレットなどで電解質を補給しているのだそうです。個人的にはランのさなかに飴ちゃん食べるほうが大変かなとも思いますが、こればかりは流儀の問題なのでいたしかたありません。汝の為したいように為すがよい、なのです。

おまけ:ファットアダプテーションのこと

 人間のからだは糖を多量に蓄積することはできません。脂肪ならできます。ならば脂肪をメインのエネルギー源にすればよかろう。ということで、ふつうは糖を優先的に消費するヒトの体質を変化させ、脂肪を優先的に消費するからだをつくろう、というなかなかすごい取り組みがありまして、これをファットアダプテーションといいます。いわゆる糖質制限やケトジェニックダイエットと重なり合う部分の多い考えかたです。
 己の意志でもって体質を一般的なヒトのそれから変えようとする野心的な試み自体は嫌いではありません。おれは人間をやめるぞ、というやつです。ただその高すぎる意識が祟ったのか、オカルトに堕ちた方も界隈には少なからず見受けられまして、なんだかなぁという印象はあります。
 ぼく自身はファットアダプテーションを採用しません。気ままに料理を楽しみ酒を喰らう現在の楽しい食生活をなげうってまで、ランに魂を捧げたいわけではないのです。これもまた、汝の為したいように為すがよい、です。

 補給食のおはなしはこれでおしまいです。次回はランニングウェア関係の話題を。本番まであと5日ですけど、いい感じに区切りがつくのでしょうかね……?

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