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浄土真宗法話「南無阿弥陀仏しか勝たん」

         講題「南無阿弥陀仏しか勝たん」 

                茨城県 水戸市 安楽寺 澤田 唯 師

こんにちは。息苦しい世の中ですけれども皆さま息されてますか?

「いま」「ここ」を生きる、私たちに向けられた教えが

仏教・浄土真宗の教えです。今日は5分間「南無阿弥陀仏」について

お話をいたします。

ここ最近は感染症の影響で、人と人が直接会うというのが難しいですね。

そのなかで寂しさを抱えられてる方もおられると思います。

私が一番感じるのはご葬儀のご縁です。

「若住職さん、亡くなった○○とは半年も会えなかったんです・・・」

そうゆうお話をたくさん聞かせていただきます。

親しい方が亡くなられただけでも寂しいのに

晩年そばにいてあげることができなかったって

その寂しさ、辛さというのもね

今は余計に感じてゆかなきゃならないんだなって思います。

私もね「自分が亡くなるならな」って思いますと

できることならばね、親しい方にそばにいていただいて

手でも握ってもらいながらね、「そばにいるよ」

「安心してね」って

そう言ってもらえたら、嬉しいなって思うんですけれども

でも今は・・・ね。なかなかそれが難しいみたいなんです

ひとりで抱えて、ひとりで亡くなってゆかなければならない

でもよくよく考えてみますと、私たちが亡くなるというときにはね

ひとりなのかもしれません。手に入れてきたお金も地位や名誉もね

人間関係もすべて置いていかなければならない

社長さんであっても、お孫さんが何人もおられる方であっても

みんな等しく、一人用のお棺の中に入っていかれます

この世の中で手に入れたものをすべて手放して

手放した分だけの寂しさをね抱えて、いのち終えてゆく

死に向かって生きてゆかなければならないのが

私たちのすがたなんじゃないでしょうか

そんな寂しさを抱えながら生きるしかないこの私たち

「そのあなたを決して見捨てない」「ひとりにはしない」

「そのあなたが大切ですよ」って言ってくださる仏さまが

おられるんですってお経典の中には説かれています

その仏さまのお名前を「阿弥陀如来」「阿弥陀さま」と申します

この仏さまは私たちの目で見ることはできません

だからこそ、私たちにわかるように「南無阿弥陀仏」という言葉となって

私たちのこの口から出てきてくださる

「なもあみだぶつ」「なもあみだぶつ」

「阿弥陀がここにいるよ」「ひとりじゃないよ」

そんな風にこの口から出てきてくださるのが「阿弥陀様」

「南無阿弥陀仏」という仏さまです

少し前ですけれども、このコロナのなかで

お母さんを亡くされた方がおられました

「若住職さん、うちのばあさんが亡くなったんだけれども、実は1年間も

会えなかったんだよ」そうお話しくださいました

「去年の2月に施設に入ったときにはインフルエンザ、そのあとには

新型コロナウイルス。4月も5月も6月も会えなくて7月になったらね

テレビ電話ができますよって言われたけれども、そのときは

ばあさん寝てたからできなかったんだ。9月、10月となっていったら

具合が悪くなった。病院に転院したけれども、病院ももちろん会えない

12月になったらな、電話がかかってきて具合悪いからきてくださいって

言われて、急いで行ったら10分間だけ面会できます。

面会したけれども、もう話もできない状態だった

それで昨日また電話がかかってきて

だいぶ具合悪いですって言われて向かったら

もう亡くなっていたんです。

いやうちのばあさんね、実は認知症も進んでたんだ

だからきっとコロナがね、とか言われても

わかってなかったと思う。わかってたのは

同居の息子が一度も見舞いに来ない、ということだけはわかってたと思う」

そう涙を流されながら話してくださいました

でもこの方ね話し続けられるんですね

「でもね、ことあるごとに念仏しなさい、ことあるごとに寺に行って

仏さんの話聞いてこいって、俺に言ってきたばあさんだから

きっと、阿弥陀さまがそばにいてくれるなあ

っていう思いのなかで亡くなっていけたんじゃないかな。

それだけはよかったな」そうおっしゃってくださる方がおられました

ああ、このお亡くなりになられた方は

決して手放してくださらない仏さまが「南無阿弥陀仏」といま

ご一緒してくださる、そんな人生を生きておられたんだな

そして残された方もね「南無阿弥陀仏」と仏さまが

ご一緒してくださる「そんな人生があるんだな」って

受け止めながら生きておられるんだなってありがたく感じさせていただく

ご縁がありました。

是非、「なもあみだぶつ」とお念仏申させていただきましょう

私が称えた「なもあみだぶつ」ですけれども

これが仏さまのはたらきそのものです

「阿弥陀がここにいるよ」「あなたはひとりじゃないんだよ」

「いつでも一緒だからね」そう言ってくださる優しい仏さまが

いま「南無阿弥陀仏」という言葉となられて

私たちの口から現れ出てくださいます

どうぞ「なもあみだぶつ」をご一緒にお称えさせていただきましょう

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・」



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