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米国オハイオ州フランクリン郡のツーリズム関係者と意見交換を行いました。

先日、米国オハイオ州フランクリン郡(*)のツーリズム関係者が東京滞在中にJSTA事務局に来訪され意見交換を行いましたので、内容を一部共有いたします。

*オハイオ州フランクリン郡は州都コロンバス市を郡庁所在地としており、日本企業も多く進出しています。


≪来訪メンバー所属先≫

フランクリン郡 行政委員会
 ① COO
 ② 経済開発局 局長
 ③ 政府関係・倫理ディレクター
 ④ 郡政委員事務所 政策担当部長
 ⑤ 郡政委員事務所 政策担当マネージャー

⑥ Experience Columbus(コロンバスのDMO) 社長・CEO
   ▶https://www.experiencecolumbus.com/
⑦ One Columbus オハイオ州海外企業誘致オフィス プロジェクト・コーディネーター
   ▶https://columbusregion.jp/


≪フランクリン郡でのスポーツツーリズムについて≫

▶フランクリン郡及びコロンバス市ではスポーツツーリズムによる経済効果に期待しており、郡と市の機関が協力しながらスポーツツーリズムを発展させていきたいと考えている。

▶フランクリン郡では郡内へのイベント誘致のため自由裁量予算を確保しており、誘致したイベントによる税収増や地域の経済効果への投資とみなしている。

▶アメリカでもスポーツイベントの誘致は競争率が高いため、スポーツコミッションに対してフランクリン郡が追加の資金援助を行い、スポーツイベントの誘致をサポートしている。


≪フランクリン郡でのスポーツへの取り組み≫

▶フランクリン郡は1970年代にコロンバス・クリッパーズ(マイナーリーグAAA)を買収し、球団オーナーとなった。チームと連携した地域への取組を継続して行っており、買収時から球団価値が大幅に上がった。非常に高い投資効果があったと感じている。

▶近年ではアマチュアを含む若年層のスポーツに対しても力を入れており、プロスポーツ以外の誘致も行っている。

▶アメリカではeスポーツが拡大しており、より大きな会場で大会が開催されるようになった。プレーヤーだけでなく観客も実際に会場に来て観戦しているため、今後の発展が見込まれている。


≪Experience Columbusについて≫

Experience Columbusは、コロンバス市のDMO(Destination Management Organization=観光地域づくり法人)で、コロンバス地域の観光、コンベンションサービス、イベント誘致等を統括する非営利団体です。また2002年には、スポーツに特化したスポーツコミッション「Greater Columbus Sports Commission」を設立しました。

▶コロンバス周辺エリアには年間約5千万人の来訪があり、域内での食事や買い物等直接的な経済効果は66億ドル、7.5万人の雇用を創出している。

▶Experience Columbusの予算のうち75%は域内のホテル宿泊税で構成されている(コロンバス市は宿泊税として4,860万ドル以上の収入があり、各組織・団体へ分配している)。

▶ツーリズムによって経済効果を上げることで地域への還元額や住民への恩恵が増えるため、地域住民からの理解や参画を促進するためのオンラインプログラムを提供している。


≪今後の課題について≫

▶オハイオ州の人口は増加しているが、フランクリン郡でも少子高齢化の問題が目前にあり、日本の少子高齢化問題にも関心がある(部活動の地域移行には関心を持っていました)。

▶オハイオ州ではまだ「スポーツベッティング」は浸透していないが、これから取り組む必要があると感じている。


おわりに


アメリカでは1979年に国内初のスポーツコミッション「Indiana Sports Corp」が設立されて以来、各地でスポーツコミッションが設立されています。今回の訪問を受けたフランクリン郡では2002年にコロンバス市に「Greater Columbus Sports Commission」が設立され、これまでにプロスポーツや大学スポーツを含め600件以上のスポーツイベント誘致に成功しています。市内には60を超えるスポーツ施設があり、45種以上のスポーツに対応が可能ですが、スポーツビジネスが巨大なマーケットとして確立されるアメリカでは施設数の多さだけで誘致が成功するわけではありません。Experience Columbusの取組のように、ツーリズムによって観光客が使用したお金をツーリズム施策に循環させる仕組みづくりや、ツーリズムの促進が地域住民にとってもメリットのあることだと理解させ、協力を得るための施策が重要となってくるのではないでしょうか。

今後は海外のスポーツコミッションの事例にも着目しながら、国内のスポーツツーリズムの発展に活かしていければと思います。

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