『最長片道切符の旅』を旅する day27 「あ、浜ノ瀬の坂本やがね」
松阪を出て紀伊半島をぐるっと一周する。紀勢本線は長くて退屈だ。御坊(ごぼう)でちょっと寄り道、紀州鉄道に乗ってくる。その後、和歌山市まで紀勢本線、和歌山駅前泊。
松阪0651(紀勢本線)0700 多気 0712(紀勢本線)1026 新宮 1113(紀勢本線)1412 紀伊田辺 1423(紀勢本線)1507 御坊 1525[紀州鉄道]1533(TAXI)御坊 1628(紀勢本線)1731 和歌山 1734(紀勢本線)1740 和歌山市 (写真)紀州鉄道 Tennen-Gas
朝、ホテルの隣の駅弁屋「あら竹」で駅弁「元祖特撰牛肉弁当」を買う。なんと昭和34年発売だと。ほかほか温かい。
朝の列車は高校生で混んでいるが三瀬谷駅でどっと降りた(現在は廃校)。車内が空いたのでゆっくり弁当を食べる。シンプルなおかずだが、さすがに肉がやわらかくてうまい。
梅ヶ谷(うめがたに)駅。駅前に神社がある。お遍路が数人降りていった。ここは荷坂峠を越える熊野古道の登山口になっているのだった。
新宮(しんぐう)で降りる。
徐福は紀元前の始皇帝の時代に日本に渡来したと「史記」に書かれているが、虚構の人物だとされている。が、日本全国に史跡が残っており、ここ新宮には墓石があるのだ。なんだか極彩色でこれは中国観光客用にしつらえたものであるようだ。
浮島森にも行ってみる。市内のど真ん中なのに、ここは国の天然記念物指定になっていて、徹底的な管理がなされていた。「中に入って地団駄を踏む」などは論外である。今はきれいな散策路が作られていて、地団駄を踏んでも揺れないようだ。周りは住宅街でスーパーやラーメン屋は見当たらない。散歩している人に聞いてみると「ああ、昔はスーパーの脇から入っとったからね」とのことであった。
しかし、さすがに先生、駅から歩いて5分以内のよいところだけを見て回っている。初代「乗り鉄」である。見物といえども駅からは離れないのである。
新宮駅で「めはり寿司」弁当を買う(現在は終売)。 車内で食べるにはちょうどいい量だ。
紀伊田辺まで5分から10分の特急通過待ちが多い。ピストル片手に自転車で走り回る少年たちがいる。昭和の風景のようだ。
紀勢本線は長くて退屈だなあ。日本三退屈路線はこの紀勢本線、飯田線、水郡線だと思う。
御坊(ごぼう)で降りる。ここには全長わずか2.7kmの紀州鉄道があるのだ。これは乗らずばなるまい。いやしかし、単線単車輌は揺れに揺れた。「学門」という駅があった(学問ではない)。終点西御坊へはわずか8分。駅から歩いて15分ほどの浜ノ瀬に行ってみる。
さて困ったことに帰りの電車は一時間も後だ。自転車のおじさんに帰り方を聞いてみた。「そうやなあ、バスも数少のうなったし、タクシー呼んでやろか」「あ、浜ノ瀬の坂本やがね、バックネット裏に一台回してや」ということで2分後にはタクシー到着、10分で御坊駅に帰り着いた。
タクシー運転手さんの話
「浜では地曳をやっとります。揚がるのはシラスやね。工場もあります。人口は2万6千人です。今なら人口5万はないと市にはなりまへん。人口3万の時に市になってその後はじり貧ですわ。紀州鉄道は東京の人が持っとるらしい。税金対策や云うてました。つい最近までは日本で一番短い鉄道いうてたんやけど、どこか他が出来て二番になってしもた。近くに麻雀パイ作っとる大洋化学ちゅうのがあって、ここは90%のシェアを持ってますけど、最近は麻雀もようやらんし。もうなーんにもありまへん」
(ちなみに日本最短の鉄道は、神戸高速鉄道の南北線。わずか0.4km、乗車時間1分)
和歌山市駅到着。やれやれ長かったなあ。駅前で「梅干し」と「みかん」を購入、自宅に送った。
「和歌山ラーメン」を食べる。ここでは「中華」というんだな。テーブルに「早寿司(なれ寿司)」と「ゆで玉子」が置いてある。食後に自己申告というのもおもしろい。
駅前のビジネスホテル泊。
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