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令和4年度全国大会・第1日

土木学会事務局です。
9月12日から始まる令和4年度土木学会全国大会について、一般の方も参加できるプログラムを中心にご紹介します。

初日の9月12日は、オンラインで土木学会の委員会が主催する研究討論会を開催します。研究討論会は、専門家が専門家に向けて専門的な内容の現状や今後を議論するもので、けして一般向けではありませんが、土木はこんなことをしているのかということを知っていただけたらと思います。
なおオンライン研究討論会は視聴のみの場合は申込み不要です。無料でどなたでも視聴できます。興味を惹いたテーマがありましたらぜひご参加(視聴)ください。

本記事は、記事公開日時点で確認した内容で構成しています。最新の情報は全国大会ホームページでご確認ください。

9/12(月)10時~12時

リスク情報を活用した原子力防災への取り組みに向けて
原子力土木委員会

原子力発電施設は、2011年の東日本大震災による重大な事故を契機とし、深層防護と呼ばれる防災を含む、「設計を超える領域」を考慮した安全性/リスクを評価する体系に移行している。その過程で耐震設計審査指針へ「残余のリスク」導入(2006年)、新規制基準に地震・津波設計の明記(2013年)、原子力災害対策指針に自然災害も含む地域防災計画の明記(2012年)が行われてきた。深層防護における最後の砦、防災について、指針には自然災害への対応に加え、その課題も明記されている。原子力防災に係る課題と対応の現状を把握し、原子力防災へのリスク情報の活用の一環として、原子力土木委員会の取り組むべき課題を議論する。

300年間の超長期暴露への期待と高耐久性な構造物を考える
複合構造委員会

主題:複合構造委員会では,令和3年度に「土木構造物の300年暴露プロジェクト」を検討し,複合構造を対象とし,300年間に向けた超長期暴露をスタートさせた.近年,我が国では社会インフラの老朽化が問題とされており,高度成長期に建設された構造物の更新が本格化されている.今後,建設業界は,持続可能な社会の実現と土木学会の提言「22世紀のものづくり」などを取り組み等,より長く使える構造物の構築と,その管理を考えなくてはならない.討論会では,このプロジェクトに関連した話題提供者を迎え,超長期暴露への期待と長く使える構造物について議論する.

新機能性マテリアルとしてのアルカリ活性材料(AAMs)の開発最前線(コンクリート委員会

ジオポリマーを含むアルカリ活性材料(AAMs)は、Si、Al、Ca成分を多く含む活性フィラーと水ガラスなどのアルカリシリカ溶液の縮重合反応による固化体である。セメント固化体と同等の基本性能を有することに加え,低炭素,有害物質固定,地盤環境改善,耐酸性、耐高温性などの点で優れる。また,活性フィラーにはフライアッシュ,高炉スラグ微粉末以外にも,火山堆積物やバイオマス灰なども使用でき,未利用資源の活用先としても期待できる。現在,国内外で社会実装に向けた研究開発が進行中である。本研究討論会では,AAMsの一層の普及促進を目的に,材料開発,適用先研究,社会実装のための道筋などについて討論を行う。

9/12(月)13:00~15:00

カーボンニュートラル時代に木材を地中利用する意義と展望(木材工学委員会

2050年カーボンニュートラルの実現に向け,木材利用の拡大や木材による炭素の長期・大量貯蔵を実現する技術開発が求められている.土構造物や建物の基礎,地震時の地盤の液状化対策や粘土地盤における軟弱地盤対策での木材の使用は木材を長期かつ大量に使用できる可能性を有し,木材を使用した様々な地盤技術の研究開発が進められている.この研究討論会では,木材を地中で使用することによる炭素貯蔵効果や木材を使用した各種の地盤技術の現状と課題を共有し,地中における木材利用の拡大に向けた方策について議論する.

岩盤力学におけるDX推進を如何に進めるか
岩盤力学委員会

土木部門においては、少子高齢化、安全、合理化などの視点から、DXが推進されている。岩盤プロジェクトにおいても同様な取組みが進んでいるが、岩盤分野でのDX推進上の課題は、岩盤が自然の材料であり性状が多岐に渡る点と言えよう。従来まで地質技術者などの専門性の高いエンジニアの知見に負うところが大きい。
岩盤力学委員会では、岩盤力学DX活用小委員会を立上げ、手始めにトンネルの切羽評価に関する検討に着手しているが、今後は様々な岩盤プロジェクトにおけるDX推進に向けた取組みを行うべきと考えている。将来に向け、どのような取組みが期待されるか討論していきたい。

「日本のインフラの実力?-体力とオリジナリティ-」第1部(インフラ体力診断小委員会・土木学会誌編集委員会)

昨年の研究討論会では、「インフラの体力診断」に関して、高速道路、治水、コンテナ港湾に関して診断結果を解説し、診断の意義、政策展開等に関して討論した。本年度は2部構成とし、第1部では「インフラの体力診断」に関して、主として「下水道」、「地域公共交通」、「都市鉄道」のテーマについて評価を解説するとともに、討論する。

9/12(月)15:30~17:30

VUCA時代の土木計画学(土木計画学研究委員会

モータリゼーション、公害問題,渋滞問題といった明瞭な政策アジェンダが山積していた時代から,先行きが不透明で政策アジェンダそのものの共有が難しい時代へと移りつつある中,長期の国土・インフラ計画の指針となる将来像(ビッグ・ピクチャー)に関する熟議を行い,社会が共感できる国土ビジョンを提示することが求められています.
このたび,将来の予測が困難になっていることを示唆するVUCA(Volatility:変動性,Uncertainty:不確実性,Complexity:複雑性,Ambiguity:曖昧性)をキーワードに,VUCA時代の国土ビジョン策定における土木計画学の役割について議論する幹事会セッションを立ち上げるに至りました.ご関心の方の投稿およびセッションへの参加をお願いいたします.

シールドDBおよびシールドBIM/CIMモデルの連携と将来展望(トンネル工学委員会 シールドDB部会)

トンネル工学委員会シールドトンネルデータベース運営部会(シールドDB部会)は、2012年4月からシールドDBへのデータ登録と利用を推進している。一方、2018年7月から2年間、同部会の下に設置されたシールドDB連携検討分科会は、日本建設情報総合センター(JACIC)社会基盤情報標準化委員会シールドトンネルデータ連携標準化検討小委員会と連携して、シールドDBと連携した3次元モデルの作成、同モデルへの形状・属性情報の蓄積手法を開発し、「シールドDBとBIM/CIMモデルのデータ連携ガイドライン」を策定した。本討論会では、これらの成果を紹介するとともに、シールドDBの現状とその役割について展望する。

「日本のインフラの実力?-体力とオリジナリティ-」第2部(インフラ体力診断小委員会土木学会誌編集委員会

第1部に引き続き、第2部「日本のインフラのオリジナリティ」に関して、土木学会誌で連載した中から代表的な技術・システムを解説するとともに、討論する。

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国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/