令和4年度全国大会・第3日(研究討論会)
土木学会事務局です。
9月12日から始まる令和4年度土木学会全国大会について、一般の方も参加できるプログラムを中心にご紹介をしています。
三日目の9月14日からは、現地京都での開催です。京都国際会館を会場として様々な行事・イベントが開催されます。
メインホールを中心に対面形式で行われる本体行事と、会館内では並行して対面・オンライン併用のハイブリッド形式で研究討論会を開催します。
この記事では、研究討論会を紹介します。専門的な内容について現状や今後を議論するものですが、土木はこんなことをしているのかということを知っていただけたらと思います。
なお京都国際会館の行事は会員以外の方も無料で参加いただけますが、国際会館の入場に当たっては事前登録が必要ですのでご注意ください。
また本記事は、記事公開日時点で確認した内容で構成しています。最新の情報は全国大会ホームページでご確認ください。
9/14(水)9時30分~11時30分
チームワーク力の育成と数理・データサイエンス教育の実態調査(教育企画・人材育成委員会)
土木技術者の質保証調査小委員会では,チームワーク力の育成と数理・データサイエンス教育,ならびに技術者教育における質保証の必要性などについて,R4年4月に土木分野の高等教育機関を対象として,アンケート調査を実施した.技術者教育の質保証を念頭に,チームワーク力の育成や数理・データサイエンス教育の実態について調査結果を整理した.研究討論会では,不確実性の高まる社会おける高等教育機関での教育のあり方をアンケート結果に基づいて議論する.さらに,コロナウィルス感染拡大状況下でのオンライン教育の現状と問題点などについても検討する.
土木分野におけるデジタルツインの活用拡大に向けて
(建設用ロボット委員会)
日本政府はSociety5.0を掲げ、様々な分野におけるデジタル化の推進を表明しています。一方で新型コロナウィルスによる感染症の世界的な広がりは、日本のデジタル化が意外と遅れていることを浮き彫りにしました。日本では今まで以上にデジタル技術の普及に向けた取り組みを加速させていくことになります。
本討論会では、Society5.0のキーテクノロジーとなるデジタルツインをテーマとし、先行して取り組まれている都市モデルや施工現場のデジタルツインについて話題提供いただき、今後の建設ロボットなどへの活用に向けたデジタルツインの在り方について議論していく。
波動と地盤の相互作用実験の理論と応用 ―相似則と数値計算(海岸工学委員会)
海岸工学委員会地盤材料の研究会(旧:地盤材料小委員会)では,水理模型実験における地盤材料の取り扱いに着目し,水理学および地盤工学のそれぞれのアプローチから,実験手法や相似則などについて議論を行い,成果を出版物「水理模型実験の理論と応用 ―波動と地盤の相互作用の解明を目指して―」(土木学会)としてまとめている.この中で、まだ解決できない課題も明らかになり,一つに,模型実験において現象の進行速度や平衡に至るまでの時間が合わないなど時間の相似性の問題がある。そこで今回の研究討論会では,数値解析による課題解決も念頭に,砂の相似則を中心に数値計算の理論やアルゴリズムにも焦点をあてこの課題について討論する。
9/14(水)12時30分~14時30分
鋼橋の塗替え塗装 ―防食性能と美観を考えた鋼橋塗装に向けてー(鋼構造委員会)
鋼構造物の塗装は,鋼材の防食と構造物の美観の維持のために重要な役割を果たしている。本来,鋼材を防食する上で重要視されるべき部位,構造物の美観を維持するべき部位では塗膜の役割は異なる。そのため,構造物を安全かつ経済的に長寿命化していくためには,美観の問題が小さい部位については,腐食をある程度許容することも考えられる。このような観点を踏まえ,特に鋼橋の塗膜の耐久・防食性能に及ぼす影響の大きい素地調整に焦点をあて,構造上重要な部位,維持管理困難部位や美観が必要とされる部位の塗替え塗装について,現状や課題,最新動向を,専門家をまじえて議論する研究討論会を企画した。
ポストコロナの学び方 ~リモートと対面でのコミュニケーション~(継続教育実施委員会)
2020年度から続くコロナ禍を経て、大学や職場での学びやコミュニケーションの方法・手段が変化しており、継続教育のあり方も大きく変わりつつある。オンライン会議等のツールの有効活用・スキル向上が進んだ一方、対面でのコミュニケーションの重要性も、ポストコロナを見据えて再認識する必要がある。本討論会は、学生時代をリモート授業主体で過ごした若年技術者や、大学教育、企業内教育に携わる方、土木学会関係者等を交えて討論し、ポストコロナ時代の学び方について考える機会としたい。
中間貯蔵施設等の除染廃棄物対策技術に関する最近までの取り組み状況(エネルギー委員会)
2011年3月に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所(以下、1F)事故から約11年が経過した。その後、1Fの内部では廃止措置に向けて、使用済み燃料や燃料デブリの取り出し等の取組みが進められてきている。一方、1F周辺区域では福島県内における除染廃棄物対策として中心的な役割を担う中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入が進展している。本研究討論会では、最近までの除染廃棄物対策への取り組み状況と土木技術分野での対応状況等についての話題提供ならびに討論を行っていただく。
「BIM/CIMにより、土木を再発明※する」(どうなってる?2030年の土木分野)(土木情報学委員会)
「出来そうだ」「便利そう」の共感を今後の課題解決に向けた原動力とするため、BIM/CIM導入による、明るい将来像やそこに至る道筋について討論する。
9/14(水)15時~17時
新たな社会における市民合意形成の多様な変化と今後のあり方(コンサルタント委員会)
近年の官民連携による地方創生の取り組み、IoT・ビッグデータ・AI等のICTを活用した超スマート社会への対応、新型コロナ蔓延の影響によるニューノーマルな社会への対応等、新たな社会変化に対応したまちづくりが求められている。
市民合意形成においても、最新のデジタルツールを活用した手法、エリマネ団体やシビックテック等の市民主体の取り組み、さらには、スペキュラティブ・デザインのような将来を思考するプロセスの変化等、手法、主体、思考などの変化への対応が求められていくと考えられる。本研究討論会では、このような状況を踏まえ、対応すべき課題を整理して、今後の市民合意形成のあり方について、議論を深めてみたい。
インフラマネジメント技術の国際展開-産官学連携と学会の役割(インフラメンテナンス総合委員会)
現在,インフラマネジメント分野では技術の社会実装に関する活動が精力的に行われているが,海外市場の大きさを考えると,国外を視野に入れることが重要である.SIPインフラで構築したJICAとの協定が土木学会に引き継がれ,海外展開に関する研究助成が新たに立ち上がる等,土木学会の国際活動は益々活発になるものと予想されるが,海外は技術レベルや文化が日本とは異なることに加えて,新型コロナや政情不安による活動の制限等のリスクがある.本討論会では,海外展開を行っている産官学の代表者に登壇いただき,課題と方策,リスク管理,ポストコロナを見据えた海外展開のあるべき姿等を議論し,産官学の連携と情報共有を図る.
土木構造物共通示方書の役割 - 2023年度改訂の方向性 -
(構造工学委員会)
土木学会土木構造物共通示方書の改訂作業が進んでおり2023年度に発刊予定である。土木学会では構造物の計画,設計,施工,維持管理に関して示方書や設計指針等が発行されているが,それに共通的な事項と技術者の役割と責任が構造物共通示方書に示されている。
2023年度の改訂版発行に向けて作業が続いており,本研究討論会ではこの改訂内容の報告とともに,分野横断的に構造物を扱う共通示方書の役割や今後の方向性について議論する。
パンデミックを経て見えてきた建設現場での課題と今後の方向性(建設マネジメント委員会)
新型コロナによるパンデミックは世界の経済、社会活動に新たな脅威と甚大な影響を与えており、我が国でも最大限の対応を講じているところである。建設マネジメント委員会パンデミック対応検討特別小委員会では建設現場でのコロナクライシスへの対応をレビューし、コロナ禍における建設マネジメントのあり方について研究活動を行っている。本研究討論会ではパンデミック小委の研究成果について報告すると共に、これからのコロナ時代におけるDX推進や新たなパンデミックに向けた事業継続への課題や対応方針、またこれからの建設生産システムの変革を牽引する人材のあり方などについて研究討論を行うものである。
全日程のプログラムは、こちらのnoteでもまとめています。
国内有数の工学系団体である土木学会は、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」ことを目指し、さまざまな活動を展開しています。 http://www.jsce.or.jp/