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土木学会『論説・オピニオン』

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土木学会では、会員だけでなく広く一般社会に、土木に関わる多様な考え・判断を紹介し、議論を重ねる契機とすることを目的に、社会に対する土木技術者の責務として、社会基盤整備のあり方・重…
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2020年12月の記事一覧

文系的知識習得の勧め

戸塚奈津子 論説委員 アジア開発銀行 中央・西アジア局 20数年間、途上国の開発援助のインフラ業務に携わる中で、土木技術者が経済、国際情勢、法律、社会学、歴史などのエンジニアリング以外の情報に広く目を向け、文系の知識、興味を持つことの重要性を強く感じてきた。社会配慮は言うまでもなく、インフラ整備は経済との関係無しに論ずることはできないし、開発援助の動向は世界経済と政治に影響されることもある。判断を誤らぬよう、「PPP」と小さな政府、「質の高いインフラ」と援助新興国の動向、な

スーパーシティ実現のために土木技術者のあるべき姿

手塚 広明 論説委員 前田建設工業株式会社 執行役員 経営革新本部副本部長 1.スーパーシティとは「改正国家戦略特区法」、いわゆるスーパーシティ法が2020年5月の通常国会で成立した。 政府は自治体を選定し、2030年頃までに一気に実現を目指している。従来の「スマートシティ」は、エネルギー・交通などの個別分野のIoT等で取得したデータ収集・分析による個別分野の効率化から開始し、その分野を徐々に広げていく。一方、「スーパーシティ」は、一気に分野横断的にデータ収集・分析し、様