生活音がうるさすぎて〇〇〇された話

大学生の頃、2年生から6年生までの間は家賃が2万7千円の家に住んでいた。木造で築30年。自分が卒業するころには築35年である。とても古い家であったので、外で原付が走る音や、キャリーバッグを引く音すら部屋の中に響いてきた。

家の中も同様であったが、不思議と隣の部屋の音は全く聞こえなかった。床が薄いのか、下の部屋の音はよく聞こえてきた。

自分が越して来てすぐ、気づいたことであるが、休みの日になると下の階の住人が何かに向かってひたすら話しかけている。しかも説明口調。何を話しているかまでは分からなかったが、日曜の安眠を妨げるには十分な声量であった。2015年当時は、Youtuberもそこそこ存在していたが今よりYoutubeをやっている人は少なかったはずである。友達にニコ生主がいたこともあって、自分は下の住民を長い間ニコ生主と呼んでいた（というか今もそうじゃないかと思っている）。

ニコ生主が頭角を現し始めたのはその1年後である。とある夏の日、自分は大学のテスト期間に入っており、イヤホンをしながら作業をしていた時のことであった。音楽を流しているはずなのに、AVのような音が聞こえる。俺のiPod Classicにはそんな動画は入っていなかった。慌ててイヤホンを外してみると、どうやら音源は下の階のようだった。

イヤホンを外して耳をすましてみると、女性の喘ぎ声が聞こえてくる。いやいや、まさか。床に耳を付けて聞いてみる。音が大きくなった！ニコ生主は彼女を家に招いていたのである。しかもこのアパート、床がすこぶる薄い。耳を床につけると、行為中の会話までおぼろげに聞こえてくるのである。何それ興奮ｓ・・・ではない。この女性、行為中の声がとても大きい。床を介してイヤホンを貫通してくるだけのことはある。テスト勉強中の自分にとっては地獄である。いろいろな意味で集中が出来ない。試しに外に出てみたら、外まで筒抜けだった。でかすぎだろ、声。

とはいえ、自分も部屋の中に友人を招いては飲み会やら麻雀やらをしており、歩くとドスンという音が鳴り響いていたことを考えると、そんなことでは腹を立てられない。むしろお世話になｔｔいや、うるさいという意味では持ちつ持たれつの関係が出来ていると俺は考えていた。何せ2万7千円の家なのだ。多少は仕方ないのだろう（2階の立場で言うことではないのだが・・・）。

自分が勝手に心を通わせていた（騒音的な意味で）ニコ生主は、自分が5年になったあたりで引っ越してしまった。卒業だろうか。新たに引っ越して来た人は素性が分からないが、こいつとバトルが始まることになる。

ニコ生主の厚意に甘えすぎており、下の階の住人が変わったことに気づいていながら同じような生活音を鳴らしていたある日、事件は起こった。大学5年のカリキュラムは現地実習である。自分は毎日原付で20分のところに通っていた。9時までに現地に行かなければならない中、俺は8時35分に家を出た。ギリギリである。急いで鍵をかけて、鍵をか・・鍵・・・？

鍵が閉まらない。

よく見ると、鍵穴及びその周辺に白い液体がべったりとついている。鍵にも同じようについている。

ボンドであった。

鍵穴にボンドを詰められていたのである。鍵が回らない・・・。
自分は実習先に電話をした。鍵を閉められないなら今日は行くことは出来ない。ひとまず管理会社に電話をして、鍵が閉められない旨を伝えたところ、すぐに鍵を交換してくれるらしい。16000円は自費で負担らしい。ああ、そうなのｎ・・・まじかよ。自分は泣く泣く16000円を支払った。自分が良く打っていた点4の雀荘や、いわゆる金（緑だったけど）がある点5の雀荘でも1日でそんなに負けることはない。自分の口座残高に驚きながら、実習先に明日は行きますと告げる。怖いけど鍵が変わったならとりあえず外出は出来る。あまりさぼると行きたくなくなってくるので、次の日から復帰できたのは大きかった。しばらくは実習後に雀荘に通った。何となく、俺の生活音のうるささが下の住人を怒らせているのではないかと察していたからである。

雀荘に行って深夜に帰ると、夜間うるさい自分はいない。そう思って意図的に遅く帰るようにしていた。そんな生活を続けていたある日、家に帰ると衝撃的な現実が自分に降りかかってきた。

またボンドが塗られている・・・

自分はビビりまくった。詰めたやつが家のそばにいて、俺の動向を見て刺しに来るんじゃないかとすら思っていた（ちなみに卒業までずっとびくびくしていた）。さすがにその場で110に電話した。後にも先にも110に電話したのはこの時だけしかない。

俺の家に来てくれた警官は、この現状を見るなり

「誰かに恨まれてない？」

と聞いて来た。
わかるうー！！！と思いながら応対して、今回は鍵穴の中まではボンドが入っていなかったので、はがしたら入れた。

次の日さすがに被害届を出しに近くの交番に行った。普段は闇夜から原付の一時停止無視を取り締まるゴミ交番だと思っていたので、普段の3倍増しくらいに頼りに思えた。

この話を書いていて、いくら個人のプライベートは尊重されるべきだとはいえ犯人が明確に分かっているのに素性を明らかにしてくれない管理会社に少しだけ怒りを覚えた。俺の16000円・・・

自分の中では犯人は下の住人だと確定しているが、管理会社としては何も言えない事情は分かる。分かるがしかし犯罪行為は良くないのではないだろうか。今となってはやり場のない怒りだが、当時に戻ったら刺されてもいいから下の住人に直談判してもよかったかもしれない。

どうしてこんな話を今書いているかというと、最近自分のアパートで騒音騒ぎが起きていたからだ。どうも子供が二階でドタバタしまくったせいで一階の住人がうるさすぎてストレスになり、ノイローゼ気味になっているとのことであった。

その住人の上の階には自分が住んでいる。

つい一昨日、自分の郵便受けに手紙が入っていた。土日、日中に子供の走り回る音がうるさい、どうにかして欲しいというような内容だった。

そんなはずはない。俺は管理会社に直談判することにした。今日話して管理会社にもわかってもらった。それは俺ではない。

どうしてかというと、土日の午後、日中は自分は基本的に家にいないからである。というか子供すらいない。

土日の午後なんて、町田にいるか都内の雀荘にいるかのどちらかである。下の住人の主張とは全くかぶらない時間帯に自分は家にいる。夜に酔っぱらってドスドス足音がするというなら謹んで退去でも何でも受け入れるが、子供が走り回っているなんて自分に知る由もない（自分≒子供で、俺が酔った勢いで走り回っているというのなら別だが）。

今日管理会社に電話して、俺のスケジュールのありのままを話したら納得してくれた。下の住人にもいずれ話が伝わる事であろう。

俺はボンド3回目かと思ってひやひやしたけどな！

くれぐれも近隣トラブルの時は隣人に直談判しないように。ボンドを詰めるなんてもってのほか！管理会社に連絡して対応するのが一番である。

町田に通っていてこれほど良かったと思ったことはない。今年の7月からつけていた収支表を見ても土日の日中はほとんど雀荘にいた。

記事を書いているとなぜか怒りの感情につつまれてきたのでそろそろ締めようと思う。自分が悪いところもあるかもしれないが、犯罪行為に手を染めてしまうと生活音がうるさい俺以下の存在になってしまう。くれぐれもクレームは管理会社に投げつけてほしい。

我慢できなくなっても、ボンドは本当にやめてくださいお願いします・・・