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【オンライン講義】あなたの犠牲の限界は

日本が、他の国の窮状を助けることができるとき、あなたの払う犠牲の限界はどれくらいでしょうか?

今回は、第4回と同様にひとつの事実を、いくつかの視点から考えることで、あなたの決断について聞いてみたいと思います。

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第8回 あなたの犠牲の限界は

日本が、この国の窮状を救うことができるとして、あなたはどうするでしょうか。今回の舞台は、ニジェール共和国(ニジェールと略します)、西アフリカのサハラ砂漠南縁にある内陸国です。人口は2300万人ですので、ちょうど台湾と同じくらいの人口になります。

国土の南部以外の3分の2をサハラ砂漠が占めており、首都ニアメを含む雨季のある南部に人口が集中しています。いくつかの部族がおり、それぞれ言語が異なるため、公用語はフランス語です。ニジェールは、たいへん貧しい国で、国連開発計画が2018年に発表した人間開発報告書において最下位に位置しており、1日、1.25ドル未満で生活する人が全人口の4割強を占めています。識字率は29%に過ぎず、児童労働が大きな課題になっています。

この国には、産業と言って良いものは、ひとつしかありません。その産業が、うまく行かなくなり、ニジェールは窮地に立っています。その窮地を日本が救うことができるかもしれません。いくつかの視点から、その事実について考え、あなたの決断を下してください。

あなたの決断は、一体、どのようなものでしょうか。ハリウッド映画のように、悪者を倒してすべてが解決するほど、世の中は単純ではありません。誰もが悩みつつ、最善の選択をしたいと考えています。科学技術は、その解決のために、大きな役割を果たしています。しかし、解決方法は、ときとして見えないゴリラなのかもしれません。知識を得て、熟慮し、決断するために、学び続けること、他者とコミュニケーションをとることが、あなたにゴリラを発見させる手助けをしてくれます。ぜひ、今回考えたことを他の人と話し合ってみてください。

参考

1 Niger International Labor Organization
2 Niger Africa Energy Portal
3 Niger uranium mine closure: hundreds of jobs cut, concerns for environment RFI
4 鉱山における児童労働撤廃に向けた取り組み 国際労働機関
5 ニジェール基礎データ 外務省
6 ニジェール 独立行政法人国際協力機構
7 緑と平和のサヘルを再び 独立行政法人国際協力機構
8 世界の工業の趨勢2015:ニジェール 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
9 ニジェールに火力発電所、中国企業が建設 アジア経済ニュース 2017年04月06日

いつもより,少しだけ科学について考えて『白衣=科学』のステレオタイプを変えましょう。科学はあなたの身近にありますよ。 本サイトは,愛媛大学教育学部理科教育専攻の大橋淳史が運営者として,科学教育などについての話題を提供します。博士(理学)/准教授/科学教育