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POTA Rover Lionへの道

先日は1日で10箇所の公園をアクティベートしてPOTA Rover Rhinoアワードを獲得しましたが、Roverアワードの最上位は30箇所で得られるRover Lionです。今回はRover Lion獲得を目指してPOTA初心者が計画を練ります。

24/09/19追記: 実際に計画を09/15-16に実行した時の記録はこちら;


Rover Lion以前

私がPOTAを開始したのは今年 (2024年) の06/01です。準備不足と知識不足と忘れ物とで散々なデビュー戦でした。

それから機材を拡充し、FT8にも慣れ、POTA運用の経験を積み、ノウハウも多少は身に付けて、3ヶ月目にはRoverアワードに挑戦しました。

Rover Rhino

このRover Rhinoですが、09:00からQSOを開始して、当初予定していた9箇所目の公園に到着したのが17:00でした。8時間で8箇所アクティベートできたということは、概算で一つの公園をアクティベートするのに1時間掛かったということになります。

つまり、同じペースで30公園をアクティベートしてRover Lionを獲得するには30時間必要ということになります。普通に考えると24時間での獲得は不可能です。

アクティベートに必要な10QSOに掛かった時間は10〜20分、平均15分として、設営と撤収に3分ずつで約20分。つまり概算で公園間の移動に40分掛かっていることになります。

逆に言えば、この移動時間を短縮することができれば、Rover Lion獲得の目が見えてくるという算段です。

究極的には2-ferや3-ferのような公園で運用することで、移動時間がゼロになります。次善の策は、公園が密集している地域で運用することです。

この両者を満たすのが東京都内で、実際にRover Lionを獲得されているアクティベータが複数いらっしゃるようです。おそらく同じように都内で運用すればRover Lionは獲得できるのでしょうが、私は神戸在住なのでおいそれとは実行できません。

東京、特にその湾岸部に対象の公園が集中している

Rover Warthog

順番が逆になりましたが、Rover Rhino獲得の後に、5公園をアクティべートしてRover Warthongを獲得しました。

この運用時の記録から、近接した公園間ならどの程度の時間でアクティベートできるのか計測してみました。

つまり、非常に粗く言えば、今回と同じ程度に近接した公園で、10QSO成立で運用を切り上げれば、30分で1アクティベートできることになります。

POTA Rover Warthog (24/09/08)

10QSOに掛かった平均時間は12分なので、移動時間が半分以上を占めます。Rover運用では移動時間が大きなファクターであることを再確認できました。


運用地の検討

地方でもRover Lionを獲得できないか、pota.appのMapを眺めて検討してみました。

比較のために、この節の地図の縮尺は前掲の東京のものに合わせています。

関西

奈良・京都・大阪にまんべんなく存在

まずは私の地元である神戸・兵庫と言いたいところですが、淡路島北端に集中している他は微妙です。大阪方面に目を向けると、生駒山地を囲むように三府県にまたがってそれなりの数が存在しているようです。一応は集中しているものの、東京に比べるとバラついている感じです。移動に車は必須でしょうから、市街地の駐車場事情も気になります。

北陸

4つのエリアに集中して存在

北陸の富山と金沢がいい感じです。前者は神通川下流域と富山新港、後者は金沢の港湾周辺と金沢城周辺に、それぞれ集中しています。この二つの都市間は高速道を使えば1時間ほどで移動できますので、多少のロスはあっても致命的ではなさそうです。

四国

海沿いの市街域の他、山脈沿いに並ぶ

香川の海沿い、徳島市周辺に比較的集まっている他、讃岐山脈の南北に山脈に沿って公園が並んでいます。これらを一筆書きの要領で東西に何往復かすることで、30公園を巡ることができそうです。

検討

関西、四国ともに密集度に欠けており、移動に掛かる時間の割合が大きくなりそうです。現実的な結論として、24時間で回り切るには密集度の高いポイントのある北陸しかなさそうです。


運用する公園の検討

各公園/駐車場の営業時間と、モービル運用時に必要になる駐車場の有無について確認する必要があります。

ピックアップ

まずはエリア内で運用できそうな公園をピックアップします。富山・金沢それぞれ20箇所ほどずつありますので、Excelか何かにリストアップしておきます。

駐車場の有無

市街地の公園には駐車場がないことが多いです。いざ車で訪問したところ駐車場がなくて運用できない、では話になりませんので、事前に確認が必要です。各公園のウェブサイトやGoogleマップ、ストリートビューなどで確認します。

なお、公園敷地外にある近隣の駐車場を利用して、公園でポータブル運用することも考えられます。しかし駐車や移動による時間のロスを考えると、今回は極力避けざるを得ません。

営業時間

市街地にある一般的な公園は基本的に24時間オープンで出入り自由ですが、山中にある公園や施設が併設されている公園、著名な観光地などは夜間は閉鎖されることが多いです。

山間部

リスク管理として、山間部にある公園は夜間には訪問したくないですね。マムシやクマに遭遇するのは勘弁願いたいものです。

整理

ピックアップした公園のうち、以下のものについては懸念要素があります。

富山:

  • JP-2062 県庁前公園: 駐車場がない

  • JP-1380 富岩運河環水公園: 平面駐車場は09:00-21:45

  • JP-1382 太閤山ランド: 駐車場が有料, 09:00-17:00

  • JP-2058 頼成の森公園: 09:00-17:00 (施設のみ?), 山間部

  • JP-2056 自然博物園: 09:00-17:00 (施設のみ?), 山間部

  • JP-2057 野鳥の森公園: 駐車場アクセス不可, 山間部

金沢

  • JP-2081 五郎島公園: 駐車場がない

  • JP-2080 みなと公園: 駐車場がない

  • JP-1402 鞍月セントラルパーク: 駐車場がない

  • JP-1393 金沢城公園: 駐車場がない

  • JP-1400 兼六園: 駐車場がない

  • JP-1401 石川四高記念公園: 駐車場がない

  • JP-1399 本多の森公園: 駐車場がない

  • JP-1394 奥卯辰山健民公園: 08:00-17:00 (施設のみ?), 山間部

  • JP-2008 夕日寺健民自然園: 09:00-17:00, 夜間駐車禁止, 山間部

ただし、金沢の先頭の3つは自転車で移動できる距離、続く4つは徒歩で移動できる距離ではあります。


移動ルートの検討

これらの状況を考慮に入れた上で、実際に運用する公園と移動ルートを検討します。

富山と金沢、どちらが先か

まず大きく、「富山→金沢」か「金沢→富山」の二択です。基本的にはどちらでも大きくは変わりません。

しかし、トラブルでアクティベートできない公園が発生した場合のリカバリを考慮すると、自転車や徒歩で回れる公園をバックアップにできる金沢を後半にした方がよさそうです。これらの公園を飛ばして富山を後半にした場合、リカバリできない可能性があります。

また、富山の山側にある公園は営業時間が限られているので、閉館時間に間に合わないとアウトです。これらの要素を加味すると、やはり「富山→金沢」となります。

モービル運用は赤、ポータブル運用は青

富山のルート

営業時間が限られている公園を優先して、山側のJP-2058 頼成の森公園から反時計周りに巡ることになるかと思います。富山新港に密集している公園を巡り終えたら、高速道で金沢に向かいます。

金沢のルート

富山からの高速道を下りてすぐのJP-1392 北部公園から、半時計周りにぐるっと駐車場のある公園を巡るのが無難かと思います。これらを巡り終えたら、落ち穂拾い的にシェアサイクルと徒歩で残りの公園を巡ります。

タイムスケジュール

予定通りに運用できる訳がないことは百も承知ですが、予定を立てて実績と比較し、遅れが発生していないかどうか、リカバリが必要か、リカバリは可能か、などを頭の中だけでなく資料に落とし込んで見える化できるよう準備しておきます。

捕らぬ狸の皮算用 タイムスケジュール

運用の検討

バンド

都心なら交信相手が豊富なV/UHF, 特に70cmで決まりではないでしょうか。一方のこちらは地方都市。となると全国と繋がれるHFの40mしか選択肢にないように思います。

心配なのがコンディションと深夜帯です。ここのところ太陽活動が活発で、コロナ放出やらデリンジャー現象やら地磁気嵐やらで日中のハイバンドがまったく使えない日があったりします。

40mの深夜の飛びも大きな懸念点です。最悪のケースに備えて、V/UHFに出られるハンディ機も持参した方がよいかも分かりません。

モード

FT8一択です。私のスキルでは他の選択肢はありません。

運用方針

大変申し訳ないのですが、各公園で10QSOが成立してアクティベートに成功した場合は、その時点でQRTして次の運用地へ移動します。30公園ありますので、その次の運用地で改めて応答して頂ければ幸いです。

なるべく忘れずpota.appとTwitter (X)でスポッティングするようにしますが、更新し忘れやQRT漏れがあった場合はご容赦下さい。

ソフトウェアの設定

WSJT-Xはオートシーケンスを有効にし、CQ: Firstを選択してあります。マルチ応答のできるMSHVを使えば単一スロットでも効率的にQSOできると思うのですが、未導入のため、チマチマと1コールずつ応答します。

また、脳ミソの疲労を最小限に抑えるため、交信相手のピックアップはWSJT-Xに任せます。レスポンスが返ってこない場合など、限られた場合のみマニュアルでオペレーションします。

今回運用予定の富山全域と石川の加賀地方は、すべてPM86に含まれます。時短のため、WSJT-XとRUMlogNGの設定はこの値を設定したままにし、移動する毎に6桁に修正することは行いません (あまり褒められた運用ではないと思います)。


機材の検討

トランシーバー

移動運用なのでKX2一択、と言いたいところですが、今回はモービル運用とポータブル運用の両方に対応する必要があります。前者にKX3, 後者にKX2という具合に使い分けることが考えられます。

KX3は助手席に備え付けておき、KX2をバッグに入れて持ち運んでポータブル運用するイメージです。しかし、順調に行けばモービル運用後にポータブル運用にスイッチするだけですので、KX3だけでよさそうです。

しかし、万が一KX3にトラブルが発生した時のバックアップの意味も含めて、KX2も持って行くことにします。

アンテナ

モービル運用時はいつものHF40CL, マグネット基板, マグネットアースシート2枚のいつものHF運用セットです。これまで特にトラブルになったことはありません。

問題は、車から下りた後のポータブル運用時です。HF40CLを三脚に立てるならそれようの金具やカウンターポイズが必要になります。そこで、三脚は手元にあったSIRUIのもの、取り付け金具はダイヤモンドのTRS3, カウンターポイズはCQオームの5m 5本ものを用意し、事前調査を行いました。

HF40CLにカウンターポイズを接続して調整

結果、カウンターポイズを放射状に3本展開すればSWR 1.2程度に下げられることを確認できました。モービル用にfcを7.074MHzに調整した状態のHF40CLが、fcは7.050MHzあたりまで下がり、ATUと組み合わせれば7.041MHzでも問題なく運用できそうです。

5mのカウンターポイズを3本、放射状に展開

なお、この内容は再現性を保証するものではありませんので、悪しからずご了承下さい。

また、HF40CLが故障した時のために、ハンディホイップのRHM8Bも持って行きます。

マグネット基台

これまでのモービル運用では、各公園での運用後に毎回基台とマグネットアースシートを車内に仕舞っていました。しかし出し入れの回数が多くなると、塵も積もれば山となるとばかりに運用時間を圧迫する可能性があります。

そこで今回は、基台類はルーフに設置したまま移動したいと思います。1公園あたり1分程度の時短にしかなりませんが、1分x2回x30公園で、結果的には1時間弱の時短 = 運用時間増になりそうです。

懸念点は移動中にケーブルが擦れてルーフ等に傷が入る可能性が高いことです。予め養生テープか何かでルーフを保護した上にケーブルを這わせるようにすればよいかと考えています。

電源/バッテリー

トランシーバーの内蔵バッテリーでは容量が足りないことは明らかなので、何らかの外部電源が必要です。今回はモービル運用時はJackery 1000 Plus、ポータブル運用時は手持ちのモバイル電源 (20,000mAhと26,800mAhの2台) を利用する予定です。

また、念には念を入れて、予備としてJackery 240 Newも持って行きます。


準備

機材一式をまとめて、忘れものがないように準備します。

前日入りの宿

当日の未明に神戸を出発してもよいのですが、富山までおよそ4〜5時間掛かります。移動即運用では24時間戦える自信がありませんので、前日入りすることにしました。生憎と砺波近辺のビジネスホテルは埋まっていたので、高岡に宿を取りました。土曜の仕事を済ませて一度帰宅し、18:30頃に出発する予定です。

宿泊先としてネカフェやカプセルホテル、あるいは車中泊も一応視野に入れていたのですが、チェックイン時間が遅くなること、他人の目を気にせずしっかり休みたい、という点を優先してビジネスホテルにしました。

着替え等

前日入りで1泊、運用中にもう1泊で、計2泊することになります。この季節はまだまだ暑いですので、ちゃんと着替えを用意して、よき社会人としてアマチュア無線に取り組みたいものです。

その他、タオルや歯ブラシ、髭剃り等の最低限の衛生用品も忘れずに。

日焼け止め

最近の車のウィンドウはUVカットガラスなのであまり気にしなくてよいとは思いますが、それでも終日太陽光に晒されることになりますので、普段のPOTA運用時と同じように日焼け止めを持って行きます。

POTAうちわ

暑い車中で運用するために必携です。


計画実行

この計画を実行に移しました;


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