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JPRのパレットは重い?

JPR広報部の那須です。2024年問題を背景にパレットの標準化議論が大きく進展しました。その議論は、縦横高さのサイズが中心。一口にパレットと言ってもサイズだけでなく、重さも様々なものがあります。実は、トラックドライバーの皆さんから、「JPRのパレットは重い」という声をいただくことがあるのですが…、というわけで今回はパレットの重さのお話です。

一般的なパレットの重さは?

市販されている汎用タイプのパレットは、積載面がメッシュ状になっているものが多いようです。重さは15kg~20㎏程度、軽量のもので10kg弱~といったところでしょうか(パレットには様々な種類がありあくまでも目安ですが)。

積載面がメッシュ状のパレット

JPRのPT-11型の重さは?

これに対してJPRの主力機種であるPT-11型の重量は最新のスペックで約19㎏です。積載面はメッシュ構造ではなく、フラットになっています。

PT-11型(1,100×1,100×144mm)

JPRはどうして重いパレットを採用しているのか?

それは、多くの企業が様々な環境で使用するレンタルパレットには強度が求められるからです。
繰り返し長く使用するレンタルパレットにとって破損は厄介な問題です。
一般的にパレットの破損が起きる主な理由は、フォークリフトの爪との衝突です。レンタルパレットには、繰り返し、長く使用できるようにするため厳しい状況に耐える構造が求められます。
また、レンタルパレットは企業の様々な自動化設備(マテハン機器)にも対応する必要があります。例えば、多くの企業が採用している立体自動倉庫はパレットを左右端部2点で支持する構造であることが多く、メッシュタイプの汎用パレットでは、荷重に耐えられないことがあります。レンタルパレットはこうした様々な利用シーンを考慮して設計されています。

立体自動倉庫などの設備ではパレットの左右両端の2点で支持するため強度が必要

重さと強度は比例する

パレットの重さと強度は概ね比例の関係にあります。強度のあるパレットは内部に複雑な構造を持ち、素材となるプラスチックを多く使用するので、重くなるのです。メッシュ状の汎用パレットは軽量ですが、JPRのPT-11型に比較して破損しやすく、またフラットな面の上で使用されることを前提としているなど、同じパレットでも性能が違います。
多様な企業が使用するレンタルパレットは、多様な現場に対応する必要があるため、相対的に重いパレットになるのです。

重いパレットは環境に負荷をかけている?

資源としてのプラスチック素材や製造エネルギーなどのことを考えると、パレットは軽量であることに越したことはありません。しかし、破損がおきれば新しいパレットを補充しなければなりませんし、様々なマテハン機器に対応できなければ、企業で共有することができず、社会全体で大量のパレットが必要になってしまいます。1枚当たりの環境負荷だけでなく、運用を含めた俯瞰的な比較も必要です。
一定の強度を持つパレットを共有して長く大切に使うことが、環境負荷を低減することにつながります。

軽量化の取り組み

JPRでは、PT-11型のスペックの更新を続けています。破損が起きやすい部分を強化しつつ、構造などを見直すことで強度を維持しながら、軽量化を進めています。PT-11型は初期型の投入から約20年を経過していますが、重量は1枚あたり、約25㎏から、約19㎏へと軽量化されています。

一貫パレチゼーション

PT-11型による一貫パレチゼーション

JPRは、同じパレットをレンタル方式で共有して、リレーして使う「一貫パレチゼーション」の普及に取り組んでいます。このため、JPRのパレットは高強度=重いということになるわけです。「重い」という評価はネガティブではありますが、一貫パレチゼーションが進むと、物流のつなぎ目での手荷役作業は減っていきます。そうすれば、ドライバーが荷物とパレットを手で運び、重いと感じる場面そのものが減っていくはずです。