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物流データをデジタル化して活用するには

こんにちは。JPR広報部那須です。
JPRは本日(2022/12/22)納品伝票電子化・共有システム「epalDD Plus」(イーパルディーディープラス)が、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のスマート物流サービスが定めた物流情報標準メッセージとの連携が可能となったことについて、プレスリリースを行いました。

納品伝票電子化・共有システム epalDD Plus の汎用性が向上
~SIP スマート物流サービス 物流標準メッセージとの連携が可能に~
https://www.jpr.co.jp/release/2022/release000789.html

いま、物流業界ではデジタルトランスフォーメーションが進もうとしていて、その前提となるデータフォーマットの標準化議論が活発になっています。
「DXにおける標準化とは?」
「JPRのプレスリリースがなぜ標準化を強調しているのか?」
JPRの今回のプレスリリースで取り上げた「納品伝票」の電子化を例にリリースを補足するような内容をお伝えしていきたいと思います。

▼そもそもなぜ、納品伝票の電子化なのか?
現代の物流は、個々の企業ごとに高度にシステム化されていています。しかし、企業と企業のつなぎ目では、デジタル化されていない情報のやり取りが残っています。その典型例が納品伝票で、いまも多種多様な様式の紙の伝票によって情報のやり取りが行われています。もし、納品伝票の情報をデジタル化できたなら、きっと業務が効率化する!これが話の出発点です。

▼データフォーマットの標準化とは
多くの企業は、多数のお得意先(もしくは仕入先)と取引をしています。納品伝票のデータをデジタルでやり取りしようとするとき、お得意先ごとに異なるデータフォーマットを指定されたらどうなるでしょうか。お得意先ごとに、指定のフォーマットに変換して(あるいは変換のためのマスタなどを用意して)送信しなければなりません。元々、生産性が上がると期待していた取り組みなはずなのに、これではデジタル化の効果と手間が打ち消し合ってしまいます。そこで、データフォーマットの標準化が必要になってきます。
具体的なイメージでみていきましょう。納品伝票には日付、発着地の住所や企業名、商品名や個数などが書いてあります。これをふまえてデジタル化する際に必要な項目を検討します。
例えば、「出荷日」という項目が必要だとしましょう。次は表現方法を決めます。例えば、YYYYMMDDという表現になります。他にも、その情報が新規のデータなのか、訂正なのか、削除なのか、などシステム上必要な情報を付加する必要があります。実際の例ではありませんが、このようなデータになります。

データのイメージ

これらの項目や表現の決まりがそろっていないと、得意先ごとに、あるいは得意先が使っているアプリケーションごとに、データを変換したり、変換するためのしくみを構築しなければなりません。これが、データフォーマットの標準化が議論される背景です。

▼epalDD Plusの標準フォーマットに対する考え方
epalDD Plusで使用するデータフォーマットは、独自の方式ではなく、標準的なものを選択すべきだとJPRでは考え、デジタルロジスティクス推進協議会(事務局:JPR)が検討し、日本加工食品卸協会様に承認された標準フォーマット(以下、DLフォーマット)を採用しています。
そして、今回加工食品や日用品業界の標準であるDLフォーマットが、業界の垣根を超えた標準フォーマット(SIPスマート物流サービスが定めた物流情報標準メッセージ)と互換性を確保したことで、結果的にepalDD Plusもより多くのサービスとの接続が可能になった、というわけです。これも標準に準拠していたからこそ、得られた成果と言えます。
このように、JPRはepalDD Plusのリリースまでに、標準化議論を行う複数の団体、組織と連携してきました。これからも連携をしていきます。ですので、もしお取引先がepalDD Plus以外のアプリケーションを採用したとしても、そのアプリケーションが標準データフォーマットに対応していれば、両者でデータのやり取りをすることができます。

▼なぜレンタル会社がデータフォーマットの標準化を語るのか?
JPRは創業以来、企業間でパレットの領域で「標準化」を強く意識してきました。パレットが標準化できていない状況は、データフォーマットがバラバラになってしまう状況とよく似ています。

パレットが取引先と標準化されていないと、納品時に積み替えを強いられることにつながります。これは、データフォーマットが標準化されていないと、データの変換をしなければならないことと同じ構造です。
かつて、レンタルパレットの仕組みを導入くださったお客さまの中には、従来使用していた自社パレットのサイズから標準パレット(11型)に変更した例がいくつもあります。
そのようなお客さまにとって、標準パレットの仕様が優れていたとは限りません。むしろ、サイズ変更に伴い、倉庫やラインなどへの設備投資が発生していたケースが大半です。お客さまには、単なるパレットではなく、一貫パレチゼーションを可能にするしくみとしてJPRを選んでいただいてきました。
もちろん、過去の多くのご提案の中には、標準パレットへの変更が叶わなかったケースもたくさん存在します。そのようなお客さまには、JPRは「融通がきかない」という印象を与えてしまったかもしれません。それでも、標準化によるメリットを創り、そこに新たな企業に参加いただくことによって、さらに利便性が高まる、そういう取り組みを続けてきました。
JPRはこれからも標準化を意識して、お客さまの課題解決に取り組んでいきたいと考えています。

参考:
SIPスマート物流 物流標準メッセージ
https://www.pari.go.jp/sip/htdocs/doc/standard/standard message layout v1.0.pdf

一般社団法人日本加工食品卸協会「納品伝票電子化標準メッセージに関する検討について」
http://nsk.c.ooco.jp/pdf/20220111_1.pdf

デジタルロジスティクス推進協議会、納品伝票電子化に向け 標準データフォーマット、運用手順を公開
https://kyodonewsprwire.jp/release/202201166131