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転職してよかった話。大企業から小さなチームへ。

新年度がはじまる。出会いや別れ、異動や退職、新生活の挨拶を耳にするようになってきた。
自分も、4年前に新卒で勤めた会社から転職をした。当時まだ20代中盤、これからの人生について悩みながらも決断したけれども、その決断は結果的によかったし、今はとっても充実している。
誰かの参考になるかはわからないが、僕の転職体験談と、思うことについて書きたい。


新卒から2年ちょうどで転職

建築系の大学院を修了後、UR都市機構に建築職で入社した。
公共と民間のあいだや、都市計画の発注者としての立場に興味があり、就職先として選んだ。URでは、団地活用・再生を担当した。住戸リノベーションのようなスモールスケールと、建替や集約といった団地再生事業というビックスケールを行き来していた。
それは非常におもしろかったし、最初に配属された部署で、団地のアウトライン、課題や未来がダイナミックに見え、やりがいもあった。

しかし一方でもやもやを抱えることも多かった。入社して1年ちょっとくらいで、転職を考え始めた。転職を考えるにあたって考えたことは2つ。

1つは、組織の大きさ。
URは全職員で3,000人超の大きな組織で、それはそれで社会的影響力もあってやいのだが、自分には、より現場的なフィールドで社会からの反応を近くで受けられる環境がよいのだろう、という気がした。企業としての“正しさ”と、自分としての“正しさ”がズレていくような感覚があった。

もう1つは、自尊。
自分はこんなことやっているんだ!と、業界関係なく、誰かに自慢したり、相談したり、月並みだけど、誇れる仕事をするっていうのは大事だと思った。自分のやっていることを、自信を持ってプレゼンすること。それがなかなかできず、自分に対しても自信やおもしろみを感じなくなってしまった。自尊感情や自己肯定感は、生きるエネルギーなんだ。自分がおもしろがりながら、こうしたらどうだ、どうしよう、とピュアに悩んだり試行錯誤できることが幸せだなと思うし、その嗅覚がする方へ進むべきだと感じた。

そんな中、「公共R不動産」というチームで人材募集があり、これだ!と手を挙げ応募した。求める人材は、「まじめ、素直、明るい」。専門性も求められる業種でありながら、とてもよい採用基準だと思った。そして運よく拾ってもらうことができた。当時、4~5人で動いていたチームへの転職。かなりダイナミックな転換だ。
次の異動人事が発表される2日前、直属の上司や人事には多大な迷惑をおかけしたが、超スピードで退職の手続きをすすめた・・


カルチャーショックの連続

個性を尊重する

転職後は、働き方やチームの多様性に衝撃を受けることの連続だった。

最初の採用面接はカフェだったのだが、仕事終わりにスーツでいったら、面接するメンバーの2人はすでにビールを一杯空けていた(笑)
まぁまぁいいから、と自分も勧められ飲んだ状態で面接することになったのだが、それがいい意味でカルチャーショックだった。自分も素で話せたし、自分の能力を見られているということだけではなく、キャラクターや考え方、本質を知ろうとしてくれている空気感があった。経歴や年齢ではなく、人の個性をみて対等に会話してくれた。
人との接し方が、仕事仲間としてではなく同じ船に乗る「同志」として受け入れる構えのような気がした。

小さな組織の機動力

新しい環境では未知の仕事の連続だった。自治体案件のコンサルディング、メディアの運営や取材、ライティング、イベントの企画・運営、マニアックなリサーチ研究、事業企画、総務・経理、などなど。
専門的なスキルというより、もはや総合格闘技。あの手この手で、目の前に立ちはだかる壁を超えていく。でもそのチャレンジをチームみんなで乗り越えていく感じが心地よかった。社会にダイレクトにつながって発信している感じがあったし、小さな組織の機動力なのだと思った。ぐんぐん進むスピード感と軽やかさ。

メンバーの多様性

メンバーはほとんどが専任ではない、いわゆるマルチワーカーだった。フリーランスとして個人能力を十分にもったプロが、同じ志をもって公共R不動産という船にのり、チームだからこそもてる影響力や社会へのメッセージを発信し続けているような組織だった。それだけではないが、組織の大きさによってこうも環境が変わるのかと衝撃だった。その分、会社としてのルールや安全性は薄まり、自己責任の範疇は広がった気がする。
その働き方の柔軟性に衝撃を受けたし、一方で合理性を感じた。公共R不動産の母体となっているOpenAという設計事務所においても、複業は歓迎されているし、一つの仕事に囚われるだけではなく複数の仕事をもつことは、あらゆる視点で物事を考えられるようになるし、人の関係性も格段に広がる。固定化したクローズドな意識から、いろんな方向にオープンネスになる感覚があった。

業務内容よりもビジョン。自分らしくいられる環境で働く

自分らしく働くということを第一に。環境によって人は変化する。だから、自分らしさを受け止めてくれる環境に身を置くこと。

転職する中でこれが大事だったと痛感した。

前職時代の自分は気持ちもクローズドになっていて、常に霧がかかっているような感覚だった。仕事に対する向き合い方だけでなく、性格や思考もかなり変わった。環境が人をつくるのだと思った。違和感を抱えた環境に居続けたら、自分を見失ってしまう。

最近の若い世代は、どんな業務をするかということよりも、ビジョンに共感するということで仕事を選ぶ傾向にあるらしい。たしかにそうだと思った。
ビジョンに共感して、それに向かって没頭できるかどうか。そこがブレなければなんでも吸収できるし、多少嫌なことでもチャレンジできる。スキルは後回しでもよさそうだ。

どんな働き方をしたいか、なににモチベーションが湧くのか、自分の感性や感覚を知ることに尽きると思う。どうせなら、会社に貢献して、それが社会につながる、そんな実感がもてるフィールドで働きたい。個の考え方や性格を尊重してくれる環境で働きたい。

自分らしくいられる状態を知り、個性を大切にすることを忘れなければ、どこにいってもなんとかなるし、最後は健康でやっていけさえいればよいのだ。


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