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性暴力防止のための行動綱領(DGK 韓国映画監督組合)

Japanese Film Project

▼はじめに

このページでは、韓国映画監督組合(DGK)が公表している「性暴力防止のための行動綱領(こうどうこうりょう)」をDGKの許可を得て翻訳しています。

昨今、日本でも性加害の問題が取り上げられてますが、その対策防止策の参考にしていただけますと幸いです。

▼中・支・申 行動綱領

“中止(Stop)、支持(Support)、申告(Report)”の原則

韓国映画監督組合員がセクシュアル・ハラスメントを認知、目撃した場合、すぐにその行為を中止させ、被害者や告発者の味方となって発言・行動し、申告する責任がある。
ここでの‘申告’とは、制作部署の担当者を通じて韓国映画・ジェンダー平等センターや警察などの公的機関と連携し、公正な事件対処手続きに入れるよう、正式に事案化することを意味する。

▼セクシュアル・ハラスメントのない映画制作環境を作るために 

韓国映画監督組合は、すべての映画人は言葉や接触による性的嫌がらせ、性的暴行を含む性暴力もしくは望まない性的興味にさらされること(以下‘セクシュアル・ハラスメント’に統一)のない環境で働く権利があることを信じてやまない。これは、全ての映画人は人間の尊厳ならびに身体的、精神的な安全が保障された環境で働く権利があることの言い換えでもある。我々はこのような目標を達成するため、映画界の他の主体と共に協力していく。

DGKの性暴力予防行動綱領は、「組合員と同僚の多くが日常的に直面する人権侵害的な労働文化に向き合い、映画界の内部から映画界に適した基準を作らなければならない」という我々の決意を集約したものである。

韓国映画監督組合は、映画現場の文化に特別な影響力を行使する監督の集合体として、その集団的責任を認識すると共にその責任に見合った活動を続け、組合員は基礎行動綱領の“中止せよ、支持せよ、申告せよ”をはじめとする以下の記述内容を熟知し、実行する。

1)映画現場での‘セクシュアル・ハラスメント’は、次のような行為を含む

  • 雇用関係もしくは業務上の利害がある関係において、優越的地位にある者が性的な要求や好意・アプローチの受け入れを条件に、業務上の利益・不利益を決定する行為

  • 性差別的、暴力的な言葉もしくは行為が日常的に許容される雰囲気をつくるような行為

  • セクシュアル・ハラスメントに関して、被害事実の申告や告発を行なった者に対し、業務上の不利益を与える、私的な報復を行うなどの行為

2)組合は‘セクシュアル・ハラスメント’のない環境づくりのため、以下の活動を行う

  • ‘セクシュアル・ハラスメント’が起こった場合、制作部署から申告を受けて、正式に適切な措置を取ることができる常設の申告システムを樹立し、映画界全体にそのスキームを円滑に適用できるよう、積極的に団体間の話し合いに乗り出し、協約の形で明文化することを目標とする

  • プロジェクト終了後に制作会社が解散し、申告システム自体がなくなるケースに備えて、業界全体を包括する申告システムを樹立するよう要求し、業界各所と協力してそのような申告システムの開発を支援する

  • そのようなシステムができるまでは、組合員が組合に連絡し、弁護士と共に事後対応の手順を準備できるように支援する

3)組合員は‘セクシュアル・ハラスメント’のない環境づくりのため、以下の原則に従う。

  • 組合員は、セクシュアル・ハラスメントに加担しないこと

  • 組合員は、自らの行為に対して相手が拒否の意思を示した場合はすぐにその行為を中断し、その行為がセクシュアル・ハラスメントであるかどうかを行為者自身で判断しないこと

  • 業務関係者の間には公私の境界を引き、これを尊重すると共に合意に基づいたコミュニケーションに徹することを勧奨する

  • 組合員がセクシュアル・ハラスメント行為に加担したと申告され、対処手続きが始まった場合でも、同じ原則に従って公正に扱われることを要求する

  • 組合員がセクシュアル・ハラスメントの被害者、目撃者もしくは加害者として関係し、申告への対処が始まった場合は、組合を通じて組合の弁護士と相談することを勧奨する

4)組合員が従わなければならず、同時に他者から保障されるべき具体的な行動は、以下の内容を含む

A. 小規模の会議・会合における安全な環境要件

  • 安全な場所を提供する。例として、居住目的も含まれる空間では会議・会合を行わないこと

  • カジュアルな服装を理由に、下着の露出または下着の露出強要などを行わないこと

B. オーディションにおける安全な環境要件

  • 撮影が可視化されている企画の、特定の配役に関わるキャスティングのために開かれる集まりに限り、オーディションという用語を使用すること

  • 事前に企画名と配役名を告知する。性的な内容や身体の露出、暴力的な場面がある配役の場合、その部分に関わる内容は事前に告知すること

  • オーディションにおいて、身体がよりしっかりと見えるようにすることを目的に、参加者に脱衣を求めないこと

  • 事前の告知がない場合、決められた配役以外に性的な内容、求愛する内容を含むアドリブ演技を現場で要求しないこと

  • オーディションの結果は正式な手法をもって公表し、それ以降はSNS、個人の電話などによる私的連絡を行わないこと

C. 危険を伴う撮影における安全な環境要件

  • 暴力、セックス、性的接触、露出を伴う場面を設定する際、監督と俳優は同等の立場で参加すること

  • 上記のような場面を撮影する際、現場に携わる全ての参加者は、撮影状況と内容について明確な合意に達した上で作業を開始すること

  • セックス、性的な接触、身体露出のある場面の撮影素材は、最小限の制作関係者のみが確認し、公の場では再生しないこと

D. 制作全般において守るべき、業務上の関係者間の安全な関係

  • 望まない接触、キス、マッサージ、ボディタッチ、ハグなどを行ったり要求したりしないこと

  • オン/オフラインでの会話、個人的なSNSメッセージ、SNSグループなどにおいて、特定人物の身体的特徴、身なり、ジェンダーまたはセクシュアリティに関する不要な発言や一般化、ジョーク、からかい、評価を行わないこと

  • モニターもしくは撮影素材の中に見える特定人物に対して、作品の内容を離れての身体、身なり、ジェンダーまたはセクシュアリティに関する不要な発言や一般化、ジョーク、からかい、評価を行わないこと

  • オフラインの現場、オンラインのコミュニティー、個人間のSNSメッセージ、SNSグループなどでは、作品の内容を離れての性的な資料や文章を記載しないこと

  • 作品内の性的・暴力的・威嚇的な不快表現を、リハーサル外・撮影現場外での会話においては使用しないこと

  • 作品の内容とは直接的な関係のない個人の性的経験を披露したり、人に公開を強要したりしないこと

E. 飲み会、団体での会食において守るべき業務関係者間の安全な関係

  • 飲み会や団体での会食への参加を強要しないこと

  • 飲み会で酌をさせたり、第3者の恋愛関係を取り持とうとしたり、飲み会後に個人的な付き合いを強要しないこと

  • 以上の行動綱領は、韓国映画監督組合員であれば、当然のこととして守らなければならず、組合員が関係する紛争が発生した際、以下の機関に連絡し、公式の手順を踏むものとする

<各機関 連絡先>

  1. 韓国映画監督組合 事務局
    電話番号 : 02-6080-4422
    E-mail : dgk2013@hanmail.net / dgk.office@hanmail.net

  2. 韓国映画性平等センター「ドゥンドゥン」
    電話 : 1855-0511(内線2番) / 事務室 : 02-730-1087
    E-mail : with@solido.kr
    ホームページ : http://solido.kr/environment/report/ho

  3. 国家人権委員会
    電話 : 1331
    ホームページ : www.humanrights.go.kr

  4. 各地域の警察署

(翻訳監修:大塚 大輔)

※本プロジェクトは、トヨタ財団 2021年度研究助成プログラム「日本映画業界におけるジェンダーギャップ・労働環境の実態調査」(代表:歌川達人)の助成を受けて実施されています。
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JFPは、日本映画業界の「ジェンダーギャップ・労働環境・若手人材不足」を検証し、課題解決するために「調査および提言」を行う非営利型の一般社団法人です。 https://jfproject.org/