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インバウンドが盛り上がらない本質と意外と簡単な解決策

要約

探検隊メンバーの1人がオンラインセミナーに呼ばれて登壇しました。セミナーはインバウンド系の企業が主催したもので、そこで彼女が思ったのは「日本の地方自治体は自分の特徴を分かっていないのではないか」ということでした。コロナ前はインバウンドで湧いた日本ですが、一段落した後にどのような景色が見られるのでしょうか。探検隊ならではの示唆をお伝えできればと思います。

セミナーで出た質問や意見

要約でも書いた通りの意見が出たそうです。自分たちの特徴が何であるのか分からないというものです。他にも、中国人の観光客から日本の風景について気に入ってもらえなかったことがあった、というものもあったそうです。ゲストスピーカーは中国人として、中国人旅行客に焦点をあてたインバウンドコンテンツの発信方法について割と手法よりの内容を話したのですが、彼女の実感としても自治体が自分たちの特徴が分かっていない中で発信するケースが少なくないとのことでした。

参加した探検隊メンバーの考え

日本の風景について気に入ってもらえなかったのは確かに事実でしょう。中国の風景と日本の風景とを同じものとして考えることはできません。また当メンバーの考えとして、日本の観光地が欧米人を意識したものになっている、ということも関係しているかもしれません。しかし、本質はそこにあるのでしょうか。

中国人だけでなく欧米人に対しても十分とはいえない日本の観光業

彼女の意見を一歩引いた立場から見ると本質はもっと奥深いところにあるように思えます。仮に中国と日本の風景が異なっていたとしても、果たして中国人のインバウンド旅行客は日本に来て中国と同じような風景を見たいでしょうか。私たち日本人が海外に旅行することを考えれば否であることは自明でしょう。また、欧米人向けを意識し過ぎということについても、日本で欧米のような長期滞在型のリゾートがほぼ皆無であることを考えると的を得ているとも思いえません。

本当に良いものは当事者からしか伝えられない

セミナーの参加者はどういう人たちだったのでしょうか。彼女の話では地方自治体の関係者が大勢を占めていたそうです。これが日本の観光産業、インバウンド業界を盛り上げられないことの大きな理由であると他のメンバーは考えました。なぜなら、地方自治体の人々は概して体験の当事者ではないからです。地方自治体の人々はそこに住む生活者から成ります。それは普通の人々であり、海外に積極的に旅行したり、何かの趣味に打ち込んで日本全国でそれを追求するような体験の中心にいる人々ではありません。

メンバーの1人はトレイルランニングを趣味にしていますが、コロナで多くの大会が中止になる中で、多くはありませんが開催される大会もありました。地方自治体が主催する大会の多くが中止され、プロトレイルランナーが主催する大会は開催されました。体験の当事者は参加者の気持ちをよく分かっており、かつ自分自身がプロであることから体験提供のあり方とリスクのヘッジについて良く分かっています。

非日常を伝えるためには日常を逸脱する必要があるため、どこかでリスクを取らなければなりません。普段の風景をどのように切り取るのか、どう提供するのか、について常識を打ち破らなければなりません。そのためには、最前線の当事者がリードする必要があるのです。

インバウンド業界に決定的に欠けているもの

では当事者とは誰なのでしょうか。それは地方において価値を創り出し提供している主体、すなわち地方の企業です。それも東京の支店ではなく、代々続いている地元企業です。その地で生活をしながら、価値=体験を生み出すことをリードしてきた人々です。もう三代目に代替わりしているかもしれない彼・彼女たちがセミナーに参加していないこと、インバウンドをリードする企業がそのような企業、人々をターゲットにできていないことこそが課題なのです。地方自治体はあくまでも彼・彼女たちを側面から支援する立場です。表に出てきてもあまり意味がありません。

今回はもっと厳しいことを言わせていただきます。インバウンド業界の人々自体も体験を生み出す当事者で構成されていないのです。要するに「遊んでいない」のです。思いっきり打ち込んで遊んだことがない人々が、その他の人々に「遊び」の本質を伝えることはできません。成功している例は探せば見つかります。星野リゾートやスノーピーク、モンベルなどは参考になるのではないでしょうか。

示唆は簡単なことです。日本人よ、もっと遊べ!です。お金がないから遊べない、ではないのです。日本ほど生活安全が確保されている国はありません。多少無理をしても飢え死ぬことはありません。先にお金を使って、思いっきり楽しみ、その後で回収していけば良いのです。さあ、思いっきり楽しんでいきましょう。

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