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他科やコメディカルとの関係はどうして大事なの?

病院総合医として必要な能力とは何でしょう?

日本プライマリ・ケア連合学会の病院総合医委員会が提唱する「病院総合医が修得すべき6つの中核的能力」があります。
①内科を中心とした幅広い初期診療能力(1次2次救急を含む)
②病棟を管理運営する能力
③他科やコメディカルとの関係を調整する能力
④病院医療の質を改善する能力
⑤診療の現場において初期・後期研修医を教育する能力
⑥診療に根ざした研究に携わる能力

その中の1つに、「③他科やコメディカルとの関係を調整する能力」があります。

他科やコメディカルとの関係が良くなると、どんなメリットがあるの?


他科やコメディカルとの関係は、いわゆる多職種連携と言い換えることができます。

多職種連携を行うと、入院率の減少、入院期間の短縮効果、救急外来受診の頻度減少、それらによる入院費用の減少などが示されており、まず、患者さんにとって、メリットがあります。実際に患者満足度もあがります。

また、職場の関係性が良くなり、医療の質の向上やコスト減少にもつながり、医療機関にとってもメリットがあります。そして、診断エラーも減ることが示されています。

それぞれの強みを活かそう

他科の専門医はもちろんその領域に精通しています。コメディカルにも、それぞれの強みがあります。看護師は患者さんに一番近い存在です。患者さんは、医師には言えないものの、看護師には包み隠さず話してくれる場合があります。薬剤師は、薬剤の副作用・相互作用などに関して、医師よりも知識・経験が豊富です。臨床検査技師や放射線技師は、検査や画像に関して鋭い視点を持っています。
このような強みを持つコメディカルとの良好な関係性を築くことが出来れば、患者さんにとってメリットが大きいことや、診断エラーが減る理由も納得できます。


病院総合医の出番!

このように他科やコメディカルとの関係を良くする、いわゆる多職種連携は、「病院の医療の質を改善する能力(病院総合医が修得すべき6つの中核的能力の④)」も必要である総合診療医が得意とする領域ではないでしょうか?

多職種連携が、患者全体を診る、病院全体をみる、地域全体をみる、総合診療医の得意分野として広まっていくように、これからも活動していきたいと思っています。


<参考文献>
・日本プライマリ・ケア連合学会 病院総合医委員会HPより https://pc-hospitalist.jimdo.com/修得すべき中核的能力/
・Teamwork as an essential component of high-reliability organizations. Health Services Research. 2006;41(4p2):1576–1598.
・CRICO. Analysis of Diagnosis-Related Medical Malpractice Claims. Washington, DC: 2014. [August 4, 2014].
・Reducing diagnostic errors through effective communication: Harnessing the power of information technology. Journal of General Internal Medicine. 2008;23(4):489–494.
・The effectiveness of health care teams in the National Health Service. Birmingham, UK: University of Aston in Birmingham; 2000.
・Improved Outcomes Associated With Interprofessional Collaborative Practice. Ann Fam Med. 2019 Aug 12;17(Suppl 1)
・Connecting People With Multimorbidity to Interprofessional Teams Using Telemedicine. Ann Fam Med. 2019 Aug 12;17
・Organizational factors associated with high performance in quality and safety in academic medical centers. Academic Medicine. 2007;82(12):1178–1186.
・Diagnostic performance by medical students working individually or in teams. JAMA. 2015;313(3):303–304.
・Optimizing personalized bone marrow testing using an evidence-based, interdisciplinary team approach. American Journal of Clinical Pathology. 2013;140(5):643–650.


文責:國友耕太郎 国立病院機構熊本医療センター総合診療科


※当記事の内容は、所属する学会や組織としての意見ではなく投稿者個人の意見です。


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