見出し画像

社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会新年会に伺いました

知的障害特別支援学校の設置に反対運動があった時代をこえて

知的障害のある子の親は、どんなに障害があっても子どもに普通教育を受けさせる義務を負いますが、昔は通わせたいと思っても通える学校がなかった時代があります。盲学校とろう学校は大正時代には法令で各道府県に設置義務がありましたが、病弱・肢体不自由、そして知的障害のある子たちの学校の設置義務が定められたのは1979年。それまでには、知的障害のある子の3人の親がはじめた親の会による「障害児に学籍を獲得する運動」や陳情・請願を全国で行っています。学校だけでなく、現在の就労継続支援事業所につながる「授産所」や「職業訓練所」も親が作ってきました。

現在の「児童発達支援事業所」のなかには、その頃に親の会運営の幼児グループとして始まったものもあります。療育手帳、交通機関の障害者割引、手当、青年教室など、今は「障害がある」と申請すると受け取れるサービス1つ1つはこうした親の会の地道な活動があります。

制度もサービスも整った現在ですが、どう育てたらいいの?どう関わったらいいの?という親の戸惑いは、昔も今も変わりません。医療も教育も福祉も専門家ではない親ができることは、こうしたさまざまな分野の人がつながって、私たちの子供たちに関わってくださることで、本人が自分の好きなことが好きなようにできる、なにげない日々を送る準備をしていくことなのかなと思ったりします。

東京都手をつなぐ育成会新年会には、都議会議員、行政(都・市区)の担当者、自閉症・ダウン症など疾患ごとの全国組織の代表者、都立特別支援学校の校長先生などたくさんの方々がご来賓としていらっしゃっていました。どの道府県でも、こうしたさまざまなつながりがあると思いますが、実際に顔を合わせて話をする機会があることで、いま感じていること、取り組んでいることを聞くことができます。

PTAという団体の強みと弱み

親は基本的には専門家ではありません。子供のことを思うあまり、ほかのことが客観的にみえなくなることもあります。でも子供に家庭以外の居場所があれば、親の価値観以外のところで育つ機会ができ、そうしたつながりのなかでいろんな顔を見せながら、知的障害のある子供たちが卒後も自分なりに生きていく土台ができます。

PTAはそうしたつながりを作れるきっかけを作れる場としての強みがありますが、逆に言うと、素人集団にありがちの「思い込み」で動いてしまう弱みもあります。ハンセン病に対して偏見があった頃はPTAが受け入れに反対した歴史もあったり、PTAが外国籍の親にPTA活動について説明せず(やらなくていいというやさしさに見えることもあります)結果的に排除していたりということも起こります。

改めて感じた、対面で話しつながる機会の大切さ

保護者が、自分や自分の子に「今は関係ないや」「うちの子はできないから」という「思い込み」で、PTA活動やイベントに参加しないこともあるのではないでしょうか。学校に通っている間につながっておけば、小さい頃はこんなふうだったよね、とお子さんのことを共有できる仲間も増えますし、大きくなって対応が難しくなったり、問題行動が起こった時にも、つながりがあって「その子のふだん」を知っているほうがずっとずっと支援者も関わりやすいのです。

PTAだけでなく、地域のさまざまな親の会、習い事、スポーツ団体、ラジオ体操の会、地域の学校の避難訓練など、つながる機会はあると思います。ご自分の仕事が忙しい、という方も、少しだけやりくりして、親子で参加するところから始めてみませんか。「すみません」だけでなく、「ちょっと手伝ってほしいです」「こういう子なんです、ご理解ください」と伝えることも、あきらめないでほしいと願っています。


全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会 2023年度活動内容、および知的障害に関する情報の発信用noteです。