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絵描き屋は、幼児の恰好の餌食


まだコロナが流行るちょっと前、こんな事がありました。
知り合いが務める会社に、素材作成屋としてヘルプに行ったんです。

ドアを開けると、会社というよりは、託児所のような甲高い笑い声が。
そこには、何らかの事情があってか、まだ就学前の小さなお子さんが職場にいらっしゃいました。
どうやら、事務の女性のお子さんらしく、社長の知り合い(?)で訳ありとのこと。
特に子供にもその女性にも興味は無いので、詳しいお話は聞き出しませんでした。

そしてこの坊っちゃんは、なかなかにワンパクな男の子で、キャッキャと事務所中を走り回ったり、他の従業員さんにクイズを出したり・・・
とにかくオフィスが自由空間になる始末。

集中力が強いられるシステム関連のエンジニアの方は、話しかけられないようにヘッドホンをして、無視を決め込んでおり、非常に迷惑をしているというのを眉間で物語っていました。

そんな中で、謎の板をPCにつないでイラスト素材を作り始めた僕。
そんなの、当然のことながら、幼児の標的になりますよね。
わかってますわかってます。

「ヂヴァニャン描いてー!」
「あははーヘタクソー!」
「や”だぁぼぐに”も”書がぜでぇぇぇぇー!」

僕の膝に乗って、足をバタつかせながら、怪獣っぷりを発揮
その間も、母親は子供を放置。
暇なのか、たまにスマホをパタパタといじっていたのを覚えています。

そんなこんなで、仕事が全く進まないまま、託児だけされて夕方7時。
母親は帰り支度をしていました。
僕はヘルプ要員なので、指定された素材を作り上げないと帰れません。
知り合いも「スマン、アットホームな職場なんだ。」と、苦笑い。

求人雑誌に「アットホームな職場」と書かれてる場所は、公私の区別が無く、大体地獄とは聞いているけれど、まさか保育士役をやらされるとは思わなんだ。

母親は僕の机の所に歩いて来ました。さすがにお礼かお詫びでも言われるのかと思いきや・・
子供の扱い上手ですね!明日も来るんですか?またこの子を~~
という話をぶった切り、「や、明日からは完全在宅で作業します。仕事にならんですし。」とピシャリ一言。

なんとなくふてくされた風の母親は「お疲れ様でした!」と事務所を後にしました。
これ、僕が悪い??


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