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英語の「現在進行形~ing」に見る「目標達成術」

 私は大学で英語学を専門的に学びました。「言語習得」は、よく「それ自体が目的になってはダメだ。言語はコミュニケーション手段の一つである」などと言われます。実際、大学時代も「英語をどう使うか?が大切だ、プンプン!!」と、教授たちから口酸っぱく言われてきました。

 しかし、私は「英語」そのものが大好きです。つまり、国や地域における英語の方言や発音の違い、「inとat、toとfor」の感覚的な違いーーなどなど、言語そのものの性格を探求することが好きだったんです。なので私は「言語学」という分野を学びました。
 そんな私が最近、英語の文章を見つめていて、いや、ある種"愛でて"いて気づいた事がありました。

 というわけで、今日のテーマは、

「英語の『現在進行形ing』に見る目標達成術」

です。何じゃそりゃと思われた方もおられるでしょう。中学英語で挫折したという人にも、できるだけ分かりやすくお話したいと思いますね。

 今日のお話のヒントを言えば、言葉(英語)が持つ構造と、私たちが物事を成し遂げていく姿勢は、めちゃくちゃ似ているということです。

???

 では、お話します。


中学英語の未来形「~するつもりだ」

 さて、物事の達成や夢を叶える事って、当たり前ですが「今」急には起きてきません。例えば、私が今、「俺は首相になってやる!」とか「体重10キロ落としてやる!」と決意しても、その夢や目標の難易度にもよりますが、それが叶うとすれば「未来」です。

 それで、思ったんです。英語の「未来を表す表現」の構造って、夢や目標を叶えようと頑張っている人たちの姿に通ずるなぁーーと。もっと言えば、夢を叶える人と叶えない人の差異も教えてくれるんです。

 本題に入る前に、英語が苦手な方もおられることを鑑みて、中学英語の「未来を表す表現」について簡単におさらいしたいと思います。

 中学英語では、未来や予定を表す表現について教科書などでは「~するつもりだ」と表記されています。私の中学時代や塾講師時代もそうでした。そして、だいたい次のように習ったんです。

未来時制 ~するつもりだ(~する予定だ)
 ①will +動詞の原型 
例)I will visit Tokyo tomorrow. 私は明日東京を訪れるつもりです。
②be going to +動詞の原型 
例)I am going to visit Tokyo tomorrow.私は明日東京を訪れる予定です。

 こんな感じです。
 ちなみに、この2つは厳密には同じ意味ではないのですが、中学英語では次のような書き換え問題にもなったりします(笑)

【問題】二つの文章が同じ意味になるように適切な言葉を補いなさい。
 I am going to visit Tokyo tomorrow. = I (           ) visit Tokyo tomorrow.

                                                                                                正解= will

 さて、この二つの未来表現は厳密には同じ意味ではないと言いましたが、ある有名な文法書では、willのことを「未来のことは、本質的に未定であり、不確実なものである(中略)要するにこれからのことを言う『未来を示す記号』」とした上で、be going toについては「will を用いるときより、『以前からそうする(なる)ように決まっている』というニュアンスが強い」と記してあります。

 なので、未来に起こってくる可能性としては、


低 will < be going to 高


ということになります。

 さて、普通の中学校ですと、ここらへんでええかってなりますが、実は英語では「未来の予定」を表す大切な表現がまだあるんです。文法書では、その表現を、

確定的な未来・予定を表す

といった言葉を使って言い表しています。


 やっと、本題に来ました。それで、その「確定的な未来・予定を表す」のが、実は、

現在進行形「~ing」

なんです!


成功したいなら「~ing」!

「え、現在進行形って『今、◯◯しているところです』を表すヤツちゃうん?!なんで未来になんの?」と思われた方もおられると思います。

 そうです。あの「◯◯しているところです、ナウ!」って表現です。

 例えば、I am writing a letter now.(私は今手紙を書いています)みたいなヤツです。実は「現在進行形(be動詞+~ing)」は、「be going to」よりも「はっきり決まっている予定だ」というニュアンスを伝えられるんです。

 上記で扱った例文を使えば「I am visiting Tokyo tomorrow」というと、私が明日東京へ訪問する確率が最も高い、いや、もう決まっているんだ、っていう未来のニュアンスになるというのです。

 さて、なんで現在進行形なのに「確定的な未来・予定」になるのかなぁと自分なりに考えてみました。そしたら、英語の文章の単語の並び方(統語論って言います)を見ると、「さすが、英語って合理的だなぁ」と感心してしまいます。

 なんとか分かりやすく説明する努力をします。例文は同じものを使いますね。

 仮に、A(動く人=主語)、B(動く行為=動詞)とします。

◯「be going to 動詞」の場合 (I am going to visit Tokyo tomorrow.)

 A is going to B

AはBという行為(動詞)へ向けてゴーイング!している。つまり、現時点では、まだBという行為(動詞)は実行されていない。 例文で言えば、visit(訪問する)という行為へ向けて、「I(私)」の思いはgoingだけど、現時点では、ただその行為へ向かっているだけに終わっている。


◯「現在進行形」の場合  (I am visiting Tokyo tomorrow.)

 A is B+ing

=AはBという行為(動詞)をすでに進行中(ing)ナウ! つまり、未来がすでに起こりつつある。例文で言えば、「I(私)」がすでに「visiting」だぜ!
って心身が動いているわけです。だから、東京へ訪問するという予定がより確実化しているわけです。

 違いが分かりましたでしょうか?

 よく映画や海外ドラマで、部屋にいる子供に対して、母親がキッチンから「ジョン、夕食よ!来なさい!」って声を掛けるシーンが見受けられます。すると子供が、次のように叫ぶシーンを見たことがないでしょうか?

I'm coming! (いま、行くよぉ~!)

  夕食前になると、私もホームステイ先でよくこの言葉を叫んでいました。だいたい私はこの言葉を叫んだ時点で、椅子から腰を浮かせて、キッチンへ向けて歩き出しています。つまり、意思決定した時点で、すでに対象へ向かって動いて(ing)いるわけです
 つまり、上記の文章も「キッチンへ行く」という未来を、現在進行形によって、今から起こる「確定的な未来・予定」にしているわけです。というか、実際、動いているので、未来=現在でもある(笑)
 

 さぁこれで何が言いたいのか。では、最後に「現在進行形」に見る成功術をお伝えします。


まとめ「考えながら、動く(ing)」

 言葉は長い年月、人間の精神的文化的な要素が混ざり合って、いまの形になっています。これからも永久に形を変えていくでしょう。
 つまり、言葉=「私たち」です。

 言葉には、必ず意味がある。言葉には、私たちのあるべき「生き方」が存在しています。例えば、漢字。「優」という漢字は、「人(亻)」が、ちゃんと「憂」いている人に寄り添っている形で作られています。これが「優しい」の真の意味ではないでしょうか。さらに言えば、米国人の合理的で「YES・NO」精神が強いという国民性の傾向を見れば、なぜ彼らが英語をしゃべっているかが頷ける部分があります。

 では、英語の「未来を表す現在進行形」は何を教えてくれるか?
 それは、

 何か達成したい目標や叶えたい夢があるのならば、「will 動詞」や「be going to 動詞」のように「~(動詞を)するつもりである(~予定である)」というのはいいけれど、動詞として動くか否か分からない曖昧な予定ではダメということ。
 つまり、「動詞(=ダイエットする、読書1ヶ月10冊!、フルマラソンに出る!等)」を「予定」とするのではなく、「現在進行形=確定的な未来・予定」として、予定にした時点で、すでに「
ing」していることが大切だということです。

 例えば、英語を勉強するという目標を思いついたなら、

I will study English ではなく、I'm studying English!にすることです。

 何か目標や夢があるのなら、「そうしたい」と思った時に、そこへ向けて「ing!」です。思い付いたら、考えながら、動く(ing)ことです。そうすれば、結果的に、今動いている事(ing)が、自然と、同時に「確定的な未来や予定」になります。つまり、叶うのです。

 中学英語の「~するつもりだ」から脱却して、お互いに夢や目標が「確定的な未来」の姿になるよう、ing!動いていきたいものですね。(終わり)

※本記事は英語の文法を、「目標達成術」を説くための一つの話題として取り上げました。文法を解説することが、目的ではないことをご理解&ご容赦ください。



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