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男の本性

一緒に住み始めた当初、私はひどく反抗的な態度をとった。

母に裏切られたという気持ちが強かったからだ。

何かの拍子に母に
「母親失格だ!」
と言った。

母は泣いていたが、男が隣で慰めながら
「じゃあお前は子供失格だ!」
と言っていた。

意味が分からなかった。

全てこの男のせいなのに、と。




半年も経たず、男が本性を現す。


学校で、親の前で九九を暗記して言う、という宿題を出された。

何度かつまづいたため、やり直しをさせられるがそこで悪知恵が働く。

答えを書いた紙を持ち、隠しながらそれを読んだ。

母と男はテレビを見ながら聞いていたので
バレないと思ったのだ。

しかし、あまりにスラスラ私が九九を言うので、不審に思われ、バレてしまった。

男が立ち上がる。

瞬間、大きな手が私の頬をぶつ。

あまりの衝撃に周りの音が聞こえなくなり、キーーーーンという音だけが響いた。



「お前等が悪い事したら俺はこうするからな」

「次はこんなんで済むと思うなよ。ビビってしょんべんチビるくらいやるでな。」


私は泣きながら九九を覚えた。



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