ダイキン工業 ~空気に価値を生み出す世界シェア1位の空調メーカー~
概略
ダイキン工業は大阪府に本社を置く空調機・化学製品メーカーです。
世界5大陸42か国に拠点を持ち、約170か国に事業展開をしています。
海外売上高比率は約7割で空調事業の売上高は世界1位、フッ素化学製品についても世界2位のシェアを誇っています。
また、全従業員の約8割が国外で働いているグローバル企業です。
ダイキン工業の主要事業は空調事業で売上の9割を占めています。
ビジネスモデル
ダイキン工業の成長を支えているのは海外事業です。
アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどそれぞれの地域でバランスよく売上を計上しています。
躍進の要因
近年は中国やインドでもシェアを大きく伸ばしているダイキン工業ですが、その躍進を支えているのは海外拠点での現地人材の活用や現地のニーズへの対応、AIなどの先端技術の活用を積極的に行ってきたということです。
まず中国市場では現地の若手社員たちが中国人リーダーの下で市場開拓を進めています。
やる気や能力のある現地社員に重要なポストを与え、日本人社員はサポート役に徹することで急成長を遂げています。
ダイキン工業の高い技術力も売上の拡大に貢献しています。
例えばエアコン修理のプロセスにAIを活用することです。
エンジニアがエアコン修理に向かう際に持参する部品の選定をAIが行うことで1回の訪問で修理を完了させることが可能になります。
さらにダイキン工業は現地のニーズを吸い上げ、そのニーズに応える製品を開発してきました。
世界統一の製品を売るのではなく、現地の気候やニーズに対応した製品を海外拠点が独自に開発することで世界で受け入れられてきました。
例えば、停電が頻発するインドでは、停電時に稼働する自家発電機の高電圧に耐えられるエアコンを開発しました。
海外拠点に独自の開発権限を与えることで負担が減った日本の開発拠点では「ベースモデル」となる機種の開発やAIやIoTの専門家となるべく若手社員の技術教育に力を注いでいます。
未開拓市場への挑戦
アフリカは天然資源が豊富で2050年までに人口が25億人になると推計されており、地球に残る最後の巨大市場ということでラストフロンティアとも呼ばれています。
ダイキン工業はこれまで開発途上国に積極的に進出しており、アフリカでも独自に市場開拓を進めてきました。
そしてダイキン工業のアフリカ大陸進出を「エアコンのサブスク」が大きく後押しするのではないかと言われています。
これまでアフリカでは中国や韓国の安価なメーカーのエアコンが主流でした。
しかし、安価ゆえに電気代が高すぎるということと壊れても修理費用が捻出できないため使用されていないという現実がありました。
そこでダイキン工業は「エアコンのサブスク」を武器にアフリカの市場開拓を進めようとしています。
サブスクの内容ですが、初期費用は取付工事代金と保証料のみでエアコン本体の代金はかかりません。
そのため購入の場合と比べて費用は10分の1で済み、エアコン導入のハードルが大きく下がります。
また、省エネ性能が高いダイキン工業のエアコンであれば電気代を約半分にでき、故障した際の修理にも対応できます。
まだ始まったばかりのサービスですがいずれは全世界での展開も視野に入れています。
ユーザーの初期費用を抑えられるサブスクであれば、より低所得層にもエアコンを使ってもらえることになり、シェアを拡大できるため今後も注力していくことが予想されます。
各種指標
売上高・営業利益
ここからはダイキンの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
売上は2020年に微減していましたが、2021年に増加に転じています。
長期的に見ると右上がりをしており、成長している企業だと考えられます。
また、営業利益率は10%前後と優秀な数字です。
製造業で10%を超えれば優良企業と言える一つの目安になるのでダイキン工業は儲かるビジネスを展開していることになります。
世界各地のニーズに合わせた製品を開発し販売することで各地で競争力を持つダイキン工業は今後も売上を伸ばすことが考えられます。
EPS(1株利益)
続いてEPS(1株利益)です。
EPSは1株当たりいくら儲けているかを確認するための指標でこの数字が成長しているほど稼ぐ力を伸ばしていると判断できます。
ダイキンのEPSは毎年順調に増加しています。
これは海外での成功や国内市場においてもしっかりと事業基盤を持っているからだといえるでしょう。
今後はアフリカなど未開拓市場に進出することでさらにEPSを伸ばしていくことが考えられますね。
自己資本比率
次は自己資本比率です。
自己資本比率は企業の財務健全性を確認するための指標でこの数字が高いほど安全と言えます。
ダイキンの自己資本比率は50%を超えており問題ない数字と言えます。
また、手元キャッシュも事業継続に問題ないレベルで抱えていますので懸念点はないと思います。
配当・配当性向
最後は配当・配当性向です。
ダイキンの配当性向は累進配当になっています。
コロナ禍においても減配することなく、2022年には増配を行っているなど事業が好調なことが伺えます。
また、配当性向も30%程度と理想的な数字でまだまだ増配余力があることがわかります。
そのため、今後も長期的に配当を増やしていくのではないでしょうか。
今後の展望とまとめ
以上のようにダイキン工業は世界のニーズに沿った製品を高品質・高い技術で開発し適切に販売している企業と言えるでしょう。
現在は開発途上国を中心に都市化が進んでおり今後も空調の需要は大きくなるはずです。
また、先進国でもインフラ設備の改修や環境に配慮した商品の需要は高まっており、省エネ性能に優れたエアコンの需要は高いです。
実際にエアコン需要は2020年から2050年の30年間で3倍に増加するといわれています。
そのため、世界シェア1位を誇るダイキン工業は今後も堅調に売上を伸ばしていくと考えられます。
さらにダイキン工業は空気に新しい価値を生み出すべく奮闘しています。
温度・湿度以外にも二酸化炭素や酸素、気圧、気流をコントロールすることで空気で新たな価値を作ろうというわけです。
集中力を上げる空気や運動効率を高める空気、アレルギーになりにくい空気など空気をコントロールすることで、生活を豊かにできることはまだまだありそうです。
世界で空調を広めるだけでなく空気に価値を作り出す事業を行うダイキン工業。
今後も様々な課題に対して空気で答えを出してくれるでしょう。
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