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ビヨンドミート ~代替肉市場のトップランナー~

概略

ビヨンドミートはアメリカのカリフォルニア州に本社を置く食品テクノロジー企業です。

植物由来の人工肉、すなわち代替肉の製造と開発を行っています。

代替肉とはその名の通り豚肉や牛肉、鶏肉といった動物の肉を使わず、植物など別の素材で代替したものです。

代替肉は急速に市場が拡大しており、それに伴ってビヨンドミートは売上を伸ばしています。

ビジネスモデル

代替肉の製造

代替肉は菜食主義者の拡大や環境面への配慮から急速に市場が拡大しています。

代替肉は牛の筋肉の細胞を培養して人工的に合成する方法や植物由来の原料で食肉の食感を実現するなどの方法によって作られています。

その中でビヨンドミートは植物由来のタンパク質をもとに代替肉を製造・提供しています。

その方法は非常に科学的で、肉のすべての構成要素を分子レベルで洗い出し、その構成要素について他の植物性の素材と置き換えるという仕組みで作っています。

これにより、例えばソーセージについては元のソーセージと分子レベルでは遜色のないレベルまで代替することが可能です。
これこそがビヨンドミートの特徴であり強みです。

代替肉の肝心の味ですが、これは人によって好みが分かれるようです。

特に肉肉しさをどう表現するのかは課題であり、ビヨンドミートのライバルであるインポッシブル・フード社では血の滴るような肉肉しさを表現するためにヘムという鉄の分子から構成される物質を大豆から取り出し、これを代替肉に混ぜています。

販売チャネル

ビヨンドミートは大きく2つの販売チャネルで代替肉の展開をしています。

1つ目はウォルマートなどの小売店経由での販売、2つ目はマクドナルドやKFCといったレストランへの提供です。

主にアメリカ、カナダ、ヨーロッパで販売されています。

ビヨンドミートのターゲットは菜食主義者やビーガンだけではありません。

一般の消費者にも購入してもらいたいためビーガンやベジタリアンといった言葉は使わず、ビーガンの売り場に自社製品を置かないように店側に要請しています。

あくまでビヨンドミートのターゲットは健康リスクや動物の取り扱い、伝統的な畜産がもたらす環境破壊への懸念から肉の消費を減らそうとしている多数派の消費者であり、そのために製品の見た目や味、調理方法を一般的な牛ひき肉のバーガーに似せているのです。

ただ、ビヨンドミートには課題があります。

それが大量生産技術の確立です。

例えばチャーハンや餃子などの冷凍食品はレシピが確立されているので人手をかけずに大量生産が可能です。

しかし、代替肉はレシピが確立されているものではなく、研究開発によって材料を変更しているため大量生産が難しいのです。

今後は大量生産技術の確立がビヨンドミートが成長できるか否かのカギになるでしょう。

各種指標

ここからはビヨンドミートの売上高の推移を見ていきたいと思います。

売上高は長期的に見ると増加傾向にあり、成長している企業だといえるでしょう。

これはマクドナルドなどのファストフードチェーンと提携したことが功を奏し、海外での売上が倍増したことが理由として挙げられます。

一方で営業利益は毎年赤字になっています。

これには理由があります。ビヨンドミートはまだまだ成長企業なので生産拠点の拡大や商品開発への再投資を行っていることが主な理由です。

市場の拡大に伴って規模を拡大している企業ですので今後も営業利益に関しては赤字が続くかもしれませんが、売上高は伸びていくと予想しています。

今後の展望とまとめ

以上のようにビヨンドミートは代替肉という新たな市場を生み出し、従来の肉という概念を変えた企業と言えるでしょう。

代替肉は研究開発費が非常にかかるため、ビヨンドミートの売上に占める研究開発費の割合が高くなっていますが、コロナ禍で業績が振るわない中でもその割合を増やしています。

これは、コロナ以降は代替肉の需要が高まると確信しているからこその行動と言えると思います。

また、ビヨンドミートは自己資本比率が高いため研究開発費にかけられる資金に余裕があることも伺えます。

代替肉市場は今後2025年には6700億、30年には1兆8700億に上ると言われており非常に成長が見込まれる市場です。

https://mdb-biz.jmar.co.jp/column/43

そうした中でトップランナーともいえるビヨンドミートは今後も業績を伸ばしていくのではないでしょうか。

代替肉という誰でも食べられる食物を科学の力で創り出すビヨンドミート。

肉の選択肢として牛肉、豚肉、鶏肉、代替肉となる日も近いかもしれません。

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