心の中に生きる

母と離れて暮らして8年。
今でもよく電話をする。

先日の電話で、母が言った。

「この間は母の日だったし、明日はママの命日だから、お供えにカーネーションを買ってきたんだ。ちょっと量が多かったから、残りを部屋にも生けてみた。どう?」

ビデオ通話に切り替えて画面に映ったカーネーションは、華やかなピンク色。

「、、、でも、亡くなった人には白いカーネーションじゃないと。」

咄嗟に言葉が出た。

すると、母から優しい口調で返事があった。

「白は嫌なの。ママには白じゃないの。私の心の中で、今も生きているの。」

マナーやルールを気にして咄嗟に出た、ただの一般的常識。

母は、そんな事よりももっと大切なことを知っている。

「考え方も服装も、ハイカラな人だった」
祖母を知る人から聞いた事がある。

今日は祖母の命日。
私の家にお仏壇はないけど、
私も祖母にお花を買ってきた。

会った事の無い祖母に想いを馳せて
大輪の、華やかなピンク色の芍薬を選んだ。


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