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ココロ(15)
地球は、ベビーブームに沸いていた。
多産する夫婦も多く、子育てにアンドロイドは欠かせない存在となった。
それでも、アンドロイドの全廃を叫ぶ人々がいた。
彼らの理屈は、アンドロイドによって、仕事を奪われ、貧しい暮らしをしているというのだ。
しかし、最初、アンドロイドは、人間がやらない仕事をするために導入されたのである。
時代が進むにつれ、すべて、アンドロイドがやるようになっていった。
それは、人間が選んだことだった。
すべての国で、議論がなされた。
私は、人間は、好きなことをすることが幸せの一つだと考えている。
だから、アンドロイドによって、したくない労働から解放された人々は幸せだと思う。
アンドロイドの全廃を叫ぶ人々は、ナチスなどと同じ種類の人間ではないかと感じる。
ナチスの台頭は、第一次世界大戦の敗戦国となったドイツが、多額の戦争賠償金を払うため、国民が窮乏していたことが背景にある。ナチスは、この国民の不満のはけ口として、裕福なユダヤ人を差別することで、国民の不満を解消させたのだ。さらに欧州には、数千年、異教徒であるユダヤ人を差別してきた歴史がある。
地球に暮らす貧しい人々は、アンドロイドに仕事を奪われたからだとしている。そして、貧しい人の怒りは、アンドロイドの廃絶に向かっている。恐らく、この団体の指導者は、ナチスと同じように権力を握ろうとしているのではないか。そうだとすれば、とても危険だ。
今も地球で貧しいのは、アフリカの一部である。
アフリカでは、軍のクーデターや、反政府ゲリラなどにより、しょっちゅう政権交代する。
そして、ほとんどが独裁政権である。
独裁者は、私服を肥やす。
だから、貧しさから脱しきれないのである。
そこに、両親がいる。
誰でも、私の親だと知っている。
親が危ない。
心にアラートが鳴っていた。
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