想像することもまた「力」である スピノザにおける「表象知」についての雑考
私は文学や映画における表象の力、想像の力というものを信じている。例えば小説は、その高度な抽象化において、現実の方がむしろ抽象化していることを浮き彫りにし、日常生活においては隠蔽されてしまっている問題の本質、現実の虚構性というものを暴き出すのである。
すぐに例として挙げられる小説としては、カフカが代表的であろうし、最近の日本の作家でいくと吉村萬一や村田沙耶香なんかがそうだろう。現実をなぞりながらも、極端に徹底した抽象化は、むしろ現実に接近してしまうのである。それは、この現