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ソーシャルワーカー21の経験⭐︎精神科病院の地域移行支援

皆さんこんばんは♪

いつもソーシャルワーカー21の記事をご覧くださり、誠にありがとうございます!!

本日は昔経験したケースの記事です。

以前の記事で、前職の病院について書きましたが、それから1年後の話になります。

今回の記事の概要です。

10年前に精神科病院では『地域移行支援事業』が流行っていました。

長期入院している患者さんの退院支援を進めて、患者さんを地域で生活させましょうといった取り組みです。

当時の行政は精神科病院の病床数削減を目指していました。

すべての病院が地域移行支援を進めることで、病床数削減ができると考えていましたが、そんなに甘くはいかなかったです。

当時『地域移行支援事業』を行いましたが、その何年か前に同様の動きがあったこと、ソーシャルワーカー21が勤務していた病院は数年前にグループホームを開設しており、退院できる患者さんが残っていなかった状況でした。

そのため病院全体で「退院なんて無理だよ」という流れがありました。

ほとんどのスタッフが『地域移行支援事業』に反対する状況ですが、行政からはゴリ押しされる感じです。

そんなときに『地域移行支援事業』を任せられるのが、私たち医療ソーシャルワーカーです。

精神科病院は困った(都合悪い)時に医療ソーシャルワーカーに振られる傾向があります。笑

そうなると行政と病院スタッフの板挟みにあって苦しい思いをします。

ソーシャルワーカー21が入職3年目に地域移行支援事業の担当をさせていただきました。

当時3年目でよくわからず受けてしまいましたが、大変でしたねー。笑

これもいい経験をしたということですか💦

『地域移行支援事業』というのはどのように行ったのか?

簡単にまとめてしまうと、4月から5月にかけて対象の患者さんを選ぶ。

対象になることを本人、家族に説明して了解を得る。

その後行政に「こういった患者さんの地域移行支援事業をやります」と説明し、行政から了解を得てから進めていくことになります。

その後は毎月行政を加えたカンファレンスと、3ヶ月に1回他の病院と合同でカンファレンスを行う感じです(もちろん行政も参加)。

それを4月から3月までの1年間行います。

1年以内に10年以上入院している方が退院できるか?

さすがに難しかったです…

患者さんも退院希望していない中だったので…

この『地域移行支援事業』で大変だったのは、最初に患者さん、ご家族を説得することが大変でした。

そして患者さんが希望しない中での開始になるため、病院の中でも医師、看護師、リハビリから大顰蹙。

「本人が希望していないのにかわいそうだ!」
「この患者さんには無理だ!」
「やる意味がない!」
「誰が責任を取るんだ!」

批判しかないですね。笑

本人が希望していないのにはおっしゃる通り!しかし最初から無理だと決めつけるのはどうなのかなと思いました。

可能性をすべて否定する専門職は専門職じゃない!と言いたかったですね。

そんな状況で『地域移行支援事業』を病院のチームで動いていくなんて不可能です。

患者さんの説得と同時にスタッフの説得まで付いてくるという難しい状況です…

気を取り直して、今回対象になった2人の患者さんを紹介します。個人情報保護のため、簡単な情報だけにします。

Aさん
60代、女性、統合失調症。精神科病院に10年以上入院。20、30代で就労経験あり。整形外科の疾患があり、歩行安定せず。不安が強く、退院には消極的。障害年金受給。弟が連絡先。

Bさん
60代、男性、統合失調症。精神科病院に30年近く入院。就労経験ほとんどなし。退院の意欲なし。歩行自立。生活保護受給。兄弟が連絡先。

どちらの方も退院の意欲がない…。

精神科病院に長期入院されている方がよく言っていたのは、食事が3食出て、寝るところも確保されている、入院費用が安くて、タバコやおやつ代が月3万円くらい使える。

退院するとアパート代、光熱費、日用品購入など、出費が多くなります。

確かに退院したくない気持ちもわかります。

こんな状況で『地域移行支援事業』なんてできるのでしょうか?

結論から話をすると、Aさんは1年半後くらいにグループホーム入所、Bさんはソーシャルワーカー21が退職するまで入院を続けていました。

ちなみに同じ圏域の精神科の病院は4箇所ありましたが、1年で退院した方はおろか、2年間でもいない状況でした。

ソーシャルワーカー21の病院はよくやれた方だと思います😅

これだけ見ていくと『地域移行支援事業』は失敗!!と言われますが、そんなことはなかったと思います。

AさんとBさんそれぞれどんな支援を行ったか書いていき、一定の成果があったことを伝えたいです。

どちらの方も各病棟から退院できそうな方ということで名前が上がりましたが、病棟スタッフもそこまで真剣に考えたわけではなく、消去法で選んだ感じです。

退院したい気持ちがある患者さんを選んでもよかったのかもしれません💦

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