宗教や信仰についての雑記 #178
◯リップサービス
先日、久しぶりに「リップサービス」という言葉を聞きました。
「リップサービス」とは、ご存知の通り「口先だけの調子のいい言葉」や「形式的なだけで誠意のない言葉や態度」などを意味します。
「リップサービス」は、宗教的な文脈においては、形式的なだけの信仰や、実際に行動を伴わない信仰告白を指す言葉として使われるそうです。
具体的には、
・儀礼や形式だけを行い、真摯な信仰心を持っていない
・神や教えを信じていると口では言うが、日常生活に反映されていない
・周囲の人から信仰していると思われるように振る舞う
・困難な状況を乗り越えるために、一時的に神にすがる
といったことを指すようです。
なんとなく、身につまされる思いがします。
しかし、「サービス」と言う言葉は本来「奉仕する」という意味ですから、それを踏まえてポジティブに考えると「リップサービス」とは、仏教の言う無財の七施の内の「言辞施(ごんじせ)」(優しい言葉で人と接すること)にあたるのではないかとも思えます。
尚ちなみに、無財の七施にはその他に、眼施(がんせ)、和顔施(わがんせ)、身施(しんせ)、心施(しんせ)、床座施(しょうざせ)、房舎施(ぼうじゃせ)があります。
布施とは大乗仏教の重要な修行の一つです。そして無財の七施は裕福でなくても行えるものです。
ネット空間の中に罵詈雑言が溢れている今の世の中では、まずその言辞施から始めるのが無財の七施の端緒になのではないかと、そんなことを考えました。
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