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宗教や信仰についての雑記 #25

◯遺伝子疾患 その1

今回は前回の続きですが、希少疾患の約80%を占めると言われる遺伝子疾患について、進化という観点から考えたことを書いてみたいと思います。

遺伝子疾患の原因となる変異は、複製時のエラーや、放射線や化学物質によってDNAが傷つけられることによって発生します。
しかし多くの生物はDNA修復機構を持っていて、様々なDNAの損傷を修復することができます。
それでもなお、遺伝子疾患が発生することをどう捉えればいいのでしょう。

本来は完全に修復すべきところを、実際には完璧には修復できずに失敗したもの、という捉え方が、従来の優生思想のベースにあるように思います。
一方進化という観点から捉えると、DNA修復の不完全さが生命の生存に有利であったため、その形質が今まで残ったと考えることもできます。

DNAが完全に修復されていれば、変異は一切発生せず、生命が誕生してから約40億年経った今でも、地球上には原始的な単細胞生物しか生存していなかったか、あるいは巨大隕石の衝突や全球凍結などの環境の激変によって全滅していたかもしれません。

DNA修復が不完全であったが故に生命の多様性が生まれ、それが進化の原動力となり、その結果、今ここに我々人間が存在していると考えることもできます。
そうであるならば、遺伝的な障害や疾患とは、我々が存在することの代償なのだと考えることもできます。

少々長くなりそうなので、続きは次回にします。

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