小説|腐った祝祭 第ニ章 30
庭に咲いた白バラは三つだけだった。
それをピンクのリボンで花束にして、サトルは病院の廊下を歩いていた。
一つの病室のドアをノックする。
返事があったので中へ入った。
「こんにちは。はじめまして」
サトルは行儀のよいお辞儀をする。
「スザンナさんですね」
「はい。どなた?」
「サトルといいます。ご存知ありませんか?」
老婆は鼻眼鏡を手に持っていた本と一緒にテーブルに置き、そして「ああ」と、声を出した。
「ナオミちゃんの?」
「はい」
「まあ、まあ。どうぞ。お座りなさ