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〈小説〉腐った祝祭

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お話がとても長いので、一節ずつをここにまとめてみようと思います。 よろしくお願いします。
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2023年10月の記事一覧

小説|腐った祝祭 第一章 22

 国からの返事は、芳しいものではなかった。  海外旅行に出た娘が、その土地で出会った男と…

mitsuki
8か月前
4

小説|腐った祝祭 第一章 23

 12月に入ると、お忍びで皇太子が大使館を訪ねてきた。  街には雪が10センチから20センチほ…

mitsuki
8か月前
1

小説|腐った祝祭 第一章 24

「外務大臣?」  ナオミは後ろにいるサトルを、顔を斜めに上げて見つめた。  夜空に月は出て…

mitsuki
8か月前
1

小説|腐った祝祭 第一章 25

 朝からナオミは緊張していた。  生まれて初めてオペラを見に行くのだから、それも仕方のな…

mitsuki
8か月前
2

小説|腐った祝祭 第一章 26

 外務大臣の外遊に付き合うのは非常に退屈だった。  空港にルルの警備兵と警察と、外務省の…

mitsuki
8か月前
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小説|腐った祝祭 第一章 27

 朝食の席は本館の広間に用意された。  大臣一家とその取り巻きも同じ長テーブルの席に付い…

mitsuki
8か月前
2

小説|腐った祝祭 第一章 28

 葬儀から帰ってきたのは、夜の九時頃だった。 「お疲れ様でございます」  迎えてくれたクラウルに、玄関でネクタイを緩めながら言う。 「しばらく屋敷にいたから遅くなった。すまない。君も忙しかったろう」  ネクタイと上着を女中に預けて、ひとまず執務室に入った。 「国葬は二月の初めにあるらしい」 「二月でございますか」 「一月は祝賀ムードが残ってるし、催し物も多いからね。ベラが望んだんだ」 「さようですか」  書類を読んだり書き込んだりしているうちに女中がコーヒーを運んできてくれた