小説|腐った祝祭 第一章 28
葬儀から帰ってきたのは、夜の九時頃だった。
「お疲れ様でございます」
迎えてくれたクラウルに、玄関でネクタイを緩めながら言う。
「しばらく屋敷にいたから遅くなった。すまない。君も忙しかったろう」
ネクタイと上着を女中に預けて、ひとまず執務室に入った。
「国葬は二月の初めにあるらしい」
「二月でございますか」
「一月は祝賀ムードが残ってるし、催し物も多いからね。ベラが望んだんだ」
「さようですか」
書類を読んだり書き込んだりしているうちに女中がコーヒーを運んできてくれた