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深圳日本男児刺殺事件 —元帰国子女の雑記—

満洲事変の発端となった柳条湖事件から93年、中国深圳で日中ハーフの男児が刺された後死亡した。


中国ではないにしろ、ヨーロッパで外国人として育った元帰国子女として、現地校にも日本時学校にも通い、地元で反日デモがあった時期を過ごした人間として、今回考えたことをぽろぽろ書いておこうと思う。


こういう事件って、どこの国でも往々にして起こるものではある。ただ9/18(国恥日)の中国となれば意味合いは変わってくると思う。とても意図的で、今風の言葉で言えば「ヘイトクライム」以外の何者でもない。被害に遭った少年、彼のご遺族には追悼の意を表する。

にしても明らかに「ヘイトクライム」なのに「世界のどこにでもある事件と変わらない」「個別の事案」としてくるのは怒りたくなる。違うんだから。日本人と中国人という間柄でなければ、あの日に刺されることなんてなかったはずだ。少年は日中ハーフだったということを考えると尚更気分が悪い。日中の友好の鍵になる可能性のあるルーツを持っていたのだから。いや、日中対立を深めたい人にとっては彼のような存在は邪魔以外の何者でもないのかもしれない。どっちにしろ酷い話だ。

外務省が提供する海外安全情報でも中国の渡航危険レベルは(新疆・チベットを除いて)レベル0であり、渡航を控えるよう呼びかけはされていない。これに怒りを表す人もいるが、個人的には難しいところだと思う。

前提として、中国は中国で国内が安定していないと中国政府だけではなく日本も困ることに(おそらく)なる。確かに日本から反日教育や反日感情を煽る「記念日」はほどほど(できれば撤廃)してもらうことは国家間の平等性、対等性を保つためには必須だと思う。しかし中国政府がその不幸に舵を切った時、領事館や大使館に石やペンキを投げつける過激な「愛国者」たちが中国政府に向かって同じような、あるいはそれ以上のことをやる可能性は高くて、そんなのは中国政府が絶対御免だろう。その時はきっと大量の「難民」が日本含む外国に押し寄せてきて、「反中国式社会主義」の名の下に受け入れざるを得なくなるんだろう。

そこで日本が危険レベルを上げたりするという、いわゆる、「反中」政策に出たところで、中国との関係というか、利害関係が日本という国家や日本人にとって有利に働くとは思えない。中国は政府の意向で全てが決まる国であって、日本政府が中国を危険な国と認定すれば、中国政府は中国政府で反日感情を利用し日本を貶める方向に動くことは想像に容易い。国民(人民という言い方もできる)を躍動し、日本の政府機関だけでなく在中日本人に危害を加えることを、今以上に問題視しなくなるだろうし、社会的にもそういう雰囲気が強くなるだろう。日本製品は不買し破壊、日本の海産物は危険なため輸入停止、領空侵犯の回数は増え、日本のソフトコンテンツは規制することですでに溢れかえるパチモンの製造が捗り、中国はより力をつけていく。

ところで中国という国の政治的崩壊は独裁政権であることもあってどことなく歓迎されているというか、期待されている雰囲気があるのだが、本気で崩壊した時「いいこと」だらけとは思えない。これはあくまでも個人的な勘で、強い根拠があるわけではない。

「隣国」との付き合いは難しい。特に日本は「対話」が難しい隣国に囲まれている。「対話」が通用しないなら、大昔の感覚で言えば、「暴力」に訴えるしかないのかもしれないが、それを始めること、そこに巻き込まれることが得にならない国際社会になってきた(100%そうとは言い切れないがそういう流れや雰囲気はあると思う)。
悲しいかな、現状維持が最も安定的であると感じる。
しっかり問題を片付けるべきという意見もわかるし、尊重するが、タイミングを図らないと逆に厄介なことになりそうだ。

#国際 #中国 #深圳 #反日教育  

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