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アメリカ医療機関に訪問したお話①〜米国疾病予防管理センター(CDC)〜

こんにちは!

さて、今回はとっても貴重な体験をしたお話です。


幸運なことに、感染症対策の司令塔とも言われる「米国疾病予防管理センター(CDC)」に現地訪問させていただきました!

真相は分かりませんが現地のご担当者曰く、国外(アメリカ以外)から民間企業の人間が訪問することは初めてだそうな。。

こんなに貴重な経験をさせていただいたご縁に本当に感謝しています。

普段から僕がお伝えしているコンサル内容はまさに「CDCガイドラインが中核」と言えるほど参考にさせてもらっています。

多分この先二度とないチャンス。買い物をするのがやっとの英語力でも話せるよう事前に英語の質問集とか作ってみたり、毎日YouTubeの英会話聞いてみたり、などなど自分なりに付け焼き刃の勉強をしてきました。が、本番では通訳の方がしっかり説明していただいたので僕でもしっかりとその内容を把握することができました。

余計な話はさておき、受講したレクチャー内容を早くお伝えしたいので本題に入りますね。



CDCの体制と役割

まずCDCの体制はこのようになっています。

本部:ジョージア州アトランタ

支部:ワシントンD.C.、コラロド州、ペンシルベニア州、他世界約60カ国

創設:1946年

職種:感染専門医、薬剤師、感染症対策看護師、臨床検査技師、臨床工学士、滅菌技師、生化学者、遺伝子学者、病理学者、法医学者、疫学者、統計学者、官僚、他

ちなみに今回僕たちのチームが訪問したのは「ワシントンD.C.支部」です。


主な役割としては、

・疫病に対する様々なデータの統計、検査、分析等によりエビデンスとしての情報発信

・国内外における人々の健康と安全の保護を主導する立場にある連邦機関であり、米国保健福祉省の下部機関

・疾病の予防と管理に関する活動、環境衛生に関する活動、さらに健康増進および教育活動

感染防止対策や健康増進を目的とした各種活動の開発と実施を行っており、24時間365日体制で対応しているそうです。

COVID-19のパンデミックでは、流行当初より複数の臨床検査の開発や州および地方の公衆衛生研究所のサポートによって検査の能力の向上を行い、そこで得たデータにより世界的にもCOVID-19の対応を先導したことは報道でも広く知られているかと思います。



次のパンデミックに向けて

COVID-19に匹敵するような世界的パンデミック再来は今後も懸念しているとのこと。しかしながら現時点でCDCからアメリカ国内や他国への指導権限は持っていません。(あくまでガイドラインの意)

よって検査データの情報共有や公共保健プログラム、各ガイドラインをいかにアナウンスしていくのかが重要となり、そのために現在60か国にあるカントリーオフィス(支部)との連携強化を今後も強化していくことが課題としていました。


また、2020年以降のパンデミックにおいて日本の「3密対策」や「政府と保健所の連携」は感染防止対策におけるモデルケースとして参考にしていたそうです。この事は個人的にとても嬉しかったです。やはり日本の衛生管理は世界的にも注目されていたんですね。


ちなみに先日の報道にもありましたが、バイデン大統領は日米首脳会談後の共同記者会見で、年内にも「CDCの日本事務所」を新設して今後のパンデミックに対して日米の連携を深めていくと表明していました。


これらの取り組みが今後日本でも感染防止対策がより発展することに期待したいです。



医療環境への感染防止対策

さて、ここからは僕からの質問に対して回答いただいた内容になります。やはり医療環境を専門にするコンサルタントとしては「環境面の感染防止対策」をCDCがどう捉えているのか、が非常に気になる領域でした。


まず結論から言うと、医療環境における感染防止対策で最も重要なことは「検査:評価:教育のサイクルを回すこと」だそうです。

病原体は当然目に見えないので、どこまでキレイにすればいいのかは環境衛生上とても難しい問題です。

だからこそ環境表面の汚染レベルを定期的に検査⇒それを専門的に評価⇒スタッフへの教育に繋げることが基本であり、これを繰り返すことが最重要であるということでした。

ちなみに帰国後、実際に環境表面の検査を想定しましたが、外来や病棟など大部分の一般清潔区域では浮遊細菌測定器やフードスタンプ培地など比較的費用のかかる検査でなく、ATP検査や紫外線照射確認による普段見えない汚れの確認でも、日常的な衛生管理においては十分な評価と改善指導へ繋がるのではと言うのが個人的な意見です。
※この件については感染管理認定看護師の方や検査を専門とする企業様と現在検証中です。


それと、医療施設では清浄度区域毎の作業方法や使用する環境薬剤をしっかりと分析することも同様に重要だとされていました。
病院の中でもウイルスや細菌の生息状況は場所によって当然大きく異なります。しかし僕の知る限りでは区域毎の清掃や消毒をトレーニングされたスタッフはまだまだ少ないです。この部分についても今後の課題として広く情報共有しながら取り組みたいと感じます。


まとめ

CDC訪問の概要、いかがでしたでしょうか?諸々の不足などでご理解しにくいようでしたら申し訳ありません。。

まだまだ細かくお伝えしたいことは沢山あるのですが、僕自身も内容をもう一度しっかり分析しながら今後に反映させていければと思います。


一見理想論にも感じる内容もあったかもしれませんが、間違いなく医療施設の感染防止対策に求められることでもあると思います。

ただし、これ実現させていくための経費や管理体制も含めて大きな改善が必要になることも事実です。これからの仕事の課題にしてまた奮闘していきます!


今回レクチャーを先導していただいた現地ご担当者の方々(氏名は伏せます)と同行チームの皆さんに改めて感謝します。


次回はアメリカの病院が行う環境サービス(清掃・消毒業務)のあり方について更新する予定ですので興味のある方はぜひご覧ください。


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