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エーデルワイスの魔法書店

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魔法書店の店主、エーデルワイスと店のお客さんたちのお話。初めて書いた物語です。
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#物語

エーデルワイスの魔法書店 春 〈自分の直感を信じて〉第一章

エーデルワイスの魔法書店 春 〈自分の直感を信じて〉第一章

第一章 エーデルワイスの魔法書店へようこそ

 暖かい春の日に、一人の青年は森で道に迷っていました。しばらく歩くと少しひらけた場所に出ました。そこには小屋がありました。彼は、中に入れてもらおうとドアの前に立ち、ノックしようとしました。しかし、彼は手を止めました。彼の目には“ エーデルワイスの魔法書店 ”とかかれた看板がうつっていました。ばかばかしい。魔法なんて、あるわけないのに。と彼は思いました。

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エーデルワイスの魔法書店 春〈自分の直感を信じて〉第二章

エーデルワイスの魔法書店 春〈自分の直感を信じて〉第二章

第2章 本の選び方

 大きな本棚と大量の本に囲まれ、青年は呆然としていました。あの後、少女は自分の紹介とこの店の説明をしてくれました。少女、エーデルワイスはこの店の店主なのだそうです。他に人の気配はしないので、店には彼女1人のようです。
「この中から、1冊だけ選んでくださいね。」
と、エーデルワイスは言いました。何を言っているのだ。そう青年は思いました。本は何百冊、いえ何千冊とあります。この中か

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エーデルワイスの魔法書店 春〈自分の直感を信じて〉第三章

エーデルワイスの魔法書店 春〈自分の直感を信じて〉第三章

第三章 対価

青年は、急いでエーデルワイスの元へ本を持っていきました。エーデルワイスはまた本を読んでいましたが、今度はすぐに青年に気づき、椅子を降りました。彼女は本を受け取り、数ページめくって青年に返しました。彼が驚き、
「お金は...?」
と言いかけると、エーデルワイスは微笑み、
「この店ではお金をいただいていません。代わりに、お客様の魔力を分けてもらっています。」
と言いました。青年はまた驚

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エーデルワイスの魔法書店 夏〈ラテン語の魔法書〉 第一章

第一章 貴族と付き人

 ある夏の日の昼下がり。新しく魔法書を入荷し、私は上機嫌で店内の掃除をしていました。しかし…
「やぁ!エディ久しいねぇ!新しく本を仕入れたと聞いたが、あるかね?見せておくれよ!」
「げ…サイラム。」
また、と言うか、やっぱり来た。この男。彼の名はサイラム。そこらの貴族の息子で一応、魔法使い。新しい本が入ると必ずその日に来て、うるさくして帰っていく。前にそれで人間のお客様が逃

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エーデルワイスの魔法書店 夏〈ラテン語の魔法書〉第二章

第二章 魔法書の取り寄せ先

「そういえば…何故サイラムはラテン語の勉強をしてるのですか?今は使われていないでしょう?」
私が聞くと、カイトさんはおどろいたように目をぱちぱちさせて答えた。
「イタリアで見つかった魔法書は、ほとんどがラテン語で書かれているからです。魔法店主の間では有名だと聞いていたのでご存知かと…。その本も読めるようでしたので。」
「私はお母さんに教えてもらいました。しかし…イタリ

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