眠ろうか・・・。
ねえ
眠れそう?
ん?
眠れない?
一緒だね。耳を澄ましてごらん。
昔 聴いたうたが聴こえない?。
そうね
もう 聴かなくなってた
うただね
あのね
音楽といえば 思い出すお話があるんだ
かばのかばひこっていう絵本だった。
作者:渡辺茂男
絵:梶山俊夫
出版社:瑞木書房
そのかばはね
駅で 電車に乗るひとを
押す押し屋なの。
アパートの四畳半に住んでて
家電に囲まれて寝てるの。
でもね
朝は「エリーゼのために」で目をさますんだよ
出勤途中は ドヴォルザークの「新世界より」か、
「ユモレスク」を 聴くの。
なかなか 紳士じゃない?
古典派と自分で言ってる。
そうね
ボランティアなんてことば まだ流行らない頃のことよ
登り坂のリヤカー、キャベツをいっぱい乗せてるおばちゃんを
見たら 押しちゃう。
だって
満員電車の押し屋だもん、彼。
でもね
朝から 宝くじ買う人を押して将棋倒しなんてしないよ。。ほんま。。
彼はさあ
自分の仕事に忠実。
ほら
いくら 押しても
はみ出しちゃうひとって
いるでしょ?
抱きかかえて 引っぺがすのも仕事。
なんかね
哀愁感じるよ。
でも それは
からっとしたさわやかなね。。
帰ったら、「運命」を聴こうかな
なんて
しゃれてない?
ねえ
眠れそう?
過ぎた日のことは おしまい。
そうねえ
ショパンのノクターンでも聴いて眠ろうか
星たちも眠ってる
眠ろうよ
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