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東欧、クリスマス、列車を待つ
今日から5日間の東欧の旅が始まる。今はイギリスのガトウィック空港で飛行機の搭乗待ちをしているところだ。始まって早々、いやむしろ始まる前から大変だった。まず、出発当日の電車がストライキの影響で無くなった。最終的に本数が減っただけで、空港に着くことはできたけど、危うく初日に全てが破綻するとこだった。第2の関門もすぐに来た。元々、イギリスからミラノに行ってその日中に乗り換えてからブダペストに行く予定だったが、最初の飛行機の遅延によって乗り換えの飛行機に間に合わなくなった。旅行会社に問い合わせて、いろいろ調べた結果、ミラノで1泊して次の日にブダペストへ出発することになった。フライトの変更や空港近くのホテルの予約、返金の手続きなど色々大変だった。もしかしたら宿泊代を旅行会社が保証してくれるかもしれないと思って、問い合わせたところ、後日連絡するとのことだった。とりあえず今は、ブダペストに無事に着くことを目標に飛行機を待っている。
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今ミラノのホテルにいる。時刻はもう25時を過ぎたとこ。元々16時出発だったのが、18時になり19時になり20時になり、結局出発したのは21時前だった。LCCだからまあそんな期待するものではないけど、次旅行するときはできるだけ乗り継ぎは避けた方が良い。
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ホテルには朝食ビュッフェが付いていた。付けたつもりはなかったがデフォで付いているんだろう。昨日の夜はイギリスの空港で食べたから、まだイタリアでは何も食べていない。よく考えれば今自分はあのイタリアにいる訳だから何も食べずに帰るのはもったいない。ホリデイインだったしそんなに豪華なビュッフェというわけではなかったが、どれもめっちゃ美味しかった。イギリスはやっぱりそこまで食に恵まれてないなと実感した。ターミナルを間違えて空港内を走るというアクシデントもあったが、とにかくブダペスト行きの飛行機に乗れた。
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ブダペストの観光は全て歩きで回った。まずブダ地区のブダ城と漁夫の砦周辺を巡った。川を挟んで反対側に国会議事堂や教会が見えてすごく景色がいい。その後は、ブダペスト中央広場に行った。お土産目当てで訪れたが実際はかなり地元民向けらしく、野菜やお肉などが売られていた。しかも凄く安い。パプリカなんて1個10円もしない。ハンガリーのパプリカか有名らしく、たしかに訳がわからないほどのパプリカが売られている。パプリカパウダーなるものがあってそれを買った。帰ったらパスタに使おう。
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夕飯はComme Chez Soi というレストランで食べた。日本人に人気の店らしく、自分たちが日本人とわかると日本語で挨拶してきた。予約してあったのですぐに座れたが、結構な人数が入店を断られていた。注文したのはこの店の1番人気、フォアグラのりんごソテー。フォアグラは多分はじめて食べたけど、変な感じもしなかったし、普通に美味しかった。りんごと相性いいのもなんとなくわかる。会計も日本円でできるらしかったが、大人しくカードで払った。
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ブダペストは全体的に少し悲壮感が漂う場所だった。もちろん全てがそうと言うわけではないけど、何か雑踏としているというかそういった印象を受けた。共産主義とか社会主義の匂いがすると言ってもいいかもしれない。スタジアムとか観光地がやたら綺麗に整備されていて、他の街並みは開発が行き届いてないのがまさにそれだった。国として大事なものにはお金をかけるけど、それは国民全体に還元されないといった感じ。ただそういった面があるだけで、全部が全部そうだというわけではない。人はみんな優しかったように思う。経済的に安定して凄くもっと良い国になって欲しい。
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ブダペストからプラハは寝台列車で移動する予定だった。しかし、乗り込む段階で、連結されるはずだったプラハ行きの車両は故障かなんかで運行しないと判明した。途中まで同じ列車で行きそこで違う列車に乗り換えればプラハに行けるということで、とりあえずその指示に従った。ただ、乗り換えの駅に着くのが23時で、列車が来るのが0時過ぎ。電車がない可能性もあり、その場合はその駅で朝を待たなければならない。同じような境遇の人が何人かいて仲良くなった。1人はユーチューバーをしていて旅動画を投稿しているらしい。少しだけ動画に出演した。今回はほんとにアクシデントだらけだけど、これはこれで楽しい。
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チェコのBreclav という駅に着いた。他の人が駅員に説明してくれたところ、明日の4時までは列車にいていいらしい。そして朝5時発のプラハ行きの電車に乗れと。しかし朝4時まで列車にいていいという保証はなく、セキュリティが来て降りろと言われるかもしれないと。結果として、予定通りにことが進んだが、常に不確定要素があったため凄く疲れた。寝台列車はいつか再チャレンジしたい。
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朝9時くらいにプラハに着いた。すぐにでも宿に行って寝たかったが、チェックインが14時からだったため、それまでの間である程度観光することにした。プラハはブダペストよりも街に活気があって、おとぎ話の国みたいな印象だった。特に旧市街広場あたりは迷路のように入り組んでいて非日常感を増していたし、クリスマスマーケットも子供がいっぱいいて、ほんとに絵本の中の世界だった。ただ問題だったのは昨日の寝台列車のせいで全く疲れが取れておらず、頭が全然回らない。一応、レストランで地元の料理みたいなものを食べたけど、早くベッドで寝たいとしか頭しなかった。14時にチェックインして、17時まで寝た。
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昼寝をして元気を回復した後は、旧市街広場近くのホスポダで夕食。ホスポダとはチェコの居酒屋のこと。だからプラハにも無数にあってどこに行こうか迷ったが、旧市街広場近くにあったお店がなんとなく目に入って気になったから、そこにした。野菜のスープとローストポークの塊、そしてビールを頼んだ。どれも凄く美味しい。お店の人も雰囲気が良く、昨日までの悲惨な旅路が嘘だったかのように、幸せなディナーだった。
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プラハからウィーンに行くのにも列車を使った。元々Breclav で3分しか乗り換え時間がなく、それを心配していたが、現実はそれほど甘くなかった。列車が出発して2時間くらいしたところでエンジン故障によって列車が止まった。不思議なことに、これを認識した時にそれほど驚いたりしなかった。昨日の夜行列車のこともあるし、列車が止まるくらいじゃ何も驚かないくらいには旅のアクシデントに慣れたらしい。結局、違う列車に乗り換えてウィーンに到着することができた。
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ウィーンはかなり都会的。雰囲気としてはアムステルダムに似てる気もするけど、もっと厳かで重厚な建物が多い。地下鉄の表示もわかりやすくて簡単にホテルに着いた。荷物を置いて、夕飯を食べに出た。シュニッツェルというウィーン風トンカツとスペアリブを食べた。どちらも少し塩気が強くて、とても美味しいかった。イギリスに戻りたくない。ビールも飲みやすかった。
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夕飯の後はトラムで少し移動して、カールス教会前のクリスマスマーケットに行った。今までのクリスマスマーケットの中でも1番大きかったと思う。みんなホットワイン片手に談笑していてとても良い雰囲気だった。自分たちはこの後予定があったので、ワインは飲まず、お店を見て回った。どのお店もセンスのいいものばかり置いていて、見ているだけでとても楽しかった。マグカップとアンモナイト型の置物を買った。
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ウィーン学友協会でオーケストラを見た。まず会場に入る前に上着と荷物を預ける。会場は満席で、すごくフォーマルな格好をした人も結構いたし、Tシャツ一枚で明らかに観光客っぽい人もいた。開演30分くらい前に着いたけど、みんなまだ着席しておらず、手前で立食パーティーみたいなのをやっている。ほぼ時間通りに演奏が始まった。オーケストラのチューイングが始まると一気に空気が変わる。座席が2列目で演奏者の圧が直に伝わってくる。近くだから聞こえる楽器の微かな振動まで聞こえた。ソロパートの時は普通に上手だなぁくらいの気分だけど、全員で演奏しているときの空気は言葉にできないようなものだった。1曲が終わって、かなりの人数が動き始めたからもう終わりかと思って帰ろうとしたけど間違いだった。危ない。2曲目はフルオーケストラでより迫力があった。終わると拍手があって、指揮者が舞台を去る。少し経つと戻ってきてまた拍手。という流れを4回くらいやった後に完全に終演した。
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まず感想として、怖かった。圧倒的すぎた。体育館くらいの大きさのホールが、演奏によっていろんな空間に変わってしまう。会場からでた時の感想は、「生きて帰ってこれた」だった。いろんなものを経験してしまうと新しいものを見てもあまり新鮮さを感じなかったり、予想通りだなと感じてしまうことが多い。でも今回のオーケストラでは、自分には理解できない世界を垣間見て、感動したというよりも恐怖を与えられた。次にウィーンに来た時もまた何か聞きに来たい。
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オーケストラを聞いた後はブダペストのスーパーで買ったワインをホテルで飲んだ。トカイワインはハンガリーで造られる甘口ワインで、世界3大貴腐ワインの1つ。確かに普通のワインよりも甘口で酸も強い。かなり癖があるからブルーチーズとか癖のあるやつと飲んだら良いかもしれない。自分たちは同じくスーパーで買ったサラミと一緒に飲んだ。疲れてたのもあって飲んだらすぐに眠くなって寝た。
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若干2日酔いで迎えた最終日はとても順調に観光できた。朝食で食べたウインナーはさすがにすごく美味しかった。ドイツ系なだけあって食にはハズレがない。シェーンブルン宮殿は質素なベルサイユ宮殿といった感じだった。作りや配置は似ているけど、どこか質素な感じがあった。シェーンブルン宮殿はマリーアントワネットが幼少期を過ごした場所で、ある意味、この前訪れたベルサイユ宮殿と対になる存在だと思う。後年、マリーアントワネットが宮殿生活に嫌気がさして、ベルサイユ宮殿のプチトリアノンのような質素な生活を望んだ背景には、幼少期を過ごしたオーストリア、あるいはシェーンブルン宮殿を懐かしんだのかもしれない。そう考えると自分が今ここにいるのがすごく面白く感じた。
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宮殿前には庭があって、一応1番奥の丘の上まで行ってみた。登ってる途中でオーストリア人と仲良くなって一緒にカフェにでも行こうと言われたけど、まだ回りたいところがあったから断った。今思えば旅の思い出にもなるし、行けばよかったなと思う。今更しょうがない。宮殿から15分くらい歩いたところに植物園があって、建物が好きそうな感じだったから行ってみた。中身は新木場にある植物園と同じだったけど、それがウィーンにあるってだけでなにか特別感があった。
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最後の晩餐はまたシュニッツェルを食べた。オーストリア人に教えてもらったオススメの場所で少し高くはあったが、最後の食事には最適の場所だったと思う。昨日食べたシュニッツェルと違って、肉はかなり薄くまで伸ばされ、衣も細かく、お上品な料理に仕上がっていた。しかし、この大きなシュニッツェル2枚はさすがに多かった。隣に座っていた女性2人組はスロベニア人で少しだけ会話した。東欧旅行をしていると伝えると、次はスロベニアにもおいでと言われた。機会があれば是非行ってみよう。
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ウィーンからイギリスまでの飛行機は遅れずに運航したが、空港から家までの電車がストライキでやっておらず、結局3時間も空港でバスを待ってから帰った。ほんとに最後の最後までトラブル続きの旅だった。もうこんな旅は正直したくない。でも東欧自体はとても良い場所だった。東欧の国と行っても全く違って、ハンガリーははロシアやオスマン帝国的な要素が強かったし、オーストリアは都会的だったしむしろ西欧に近く、日本人的な要素もあった。チェコはこの2つの中間くらい。自分の中での東欧の解像度が高くなった。しかし今回では1つの国に約1日しか滞在してないわけだから、見てない部分がほとんどかもしれない。次に来る時はもっと日程に余裕を持って、1つの場所をもっと深掘りしたい。
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