東京ヴェルディ戦 (Away)

 劇的な結末。それだけに、ジュビロサポであれば落胆するのは当たり前である。F・マリノス戦に続く現地観戦。決勝点がジュビロゴールに吸い込まれた瞬間はショックで真っ白になったし、飛田給駅へ戻る道中も敗戦の事実に堪えた。
 だがそれでも、特に悲観することでもないと思うし、内容的には手応えを感じ取れる部分もあった。同じ昇格組ということで否応なくライバル意識を持ってしまうものだし、さらに東京ヴェルディ相手にはリーグ戦で久しく負けていないということで、ことさら失望が強まったのかもしれない。しかし、ヴェルディは久しぶりのJ1にあってもかなりの引き分けを残している"負けにくい"チーム。もとよりたやすく勝点を稼げる相手ではなかったし、運に恵まれないことも多かった。失点シーンはどれもアクシデンタルな要素が含まれていた。負け惜しみではなく。それらすべて加味して、負けをストレートに受け入れるしかない、のではないか。

 こういった取りこぼしに直面すると、結構、Jリーグの選手からは精神論に寄ったコメントが聞かれることが多い。練習中からちょっと甘さが見られた、とか、試合の入りがフワッとしている、そんなんじゃダメなんだ、とか。別チームのことをとやかく言う意図は一切ないのだが、前節我がジュビロと相まみえたF・マリノスの選手たちからも、試合後結構厳しめな言葉が並んでいた。

 気持ちはわかるが、そういうメンタル一色の反省の弁(と、恐らくは自チームに対しての鼓舞の意味もあろう)には、どこか余裕の無さ、もっと言えば未成熟さを感じてしまう。コメントを発した選手個々にではなく、Jリーグ全体に対して、だ。
 欧州のトップチームも、ポイントを落としたらもちろん悔しいだろうし、反省し、気持ちを引き締めるはず。だが案外、ストレートに反省します!反省すべし!的なコメントよりも、割りとあっさりとした、むしろ相手を讃える方向のコメントの方が多いように思う。そこには、長いリーグ戦、格下相手にポイントを落とすこともあり得るとの懐の深さ、経験値を感じさせる。毎シーズン、こういうこともたまにはあるもんだ、的な。そして、最終的な順位が目標に達していればいいのだという戦略性、決して近視眼にならない落ち着き。そこに歴史を感じるのだ。

 あるいは、ストイックで真面目一徹なコメントは、サポーターの厳しい視線が背景にあるのかもしれない。真面目に応援しているんだから、負けた場合は真面目に反省しろ、というような。だがちょっと待て。サッカーは人生かもしれないが、興行でもある。必ず勝つ興行は興行ではないのだ。試合中はプロフェッショナルに勝利を追い求めるのは大前提として、試合後のコメントには自責や反省だけでなく、もうちょっとウィットや洒落があってもいいと思う。何せ、その時点で試合は終わっているのだから。次の試合までのウィークデイをカラッと前向きに過ごそうという気にさせてもらってもよいのではないか。

 さて、試合後のコメントはさておき、テクニカルな部分はプロフェッショナルとして突き詰めてもらわないといけない、内々に。前半あれだけ支配したにもかかわらず、得点できなかったのは両サイドハーフの打開力欠如が最大の理由、と思う。もう今に始まった話ではないが。今の状態ならフィットしつつあるブルーノ・ジョゼを右の先発で使い、バランサーとして左に松本を配するのが最適解かもしれない。中盤の支配がなかなか得点に結びつかない現状を次節どう打破するか、注目したい。
 

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