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読書日記2024年6月3日〜7月15日

映画館で『ルックバック』を見てきました。京本の部屋から4コママンガがスルッと出てきたところ、現実の世界と二人が出会わなかったもうひとつの世界がつながった瞬間はゾクッとしました。


池波正太郎『鬼平犯科帳3』

昔、父親の本棚にあった『鬼平犯科帳』の文庫本を何冊か読んだ記憶があります。久しぶりに読んでみたくてブックオフにいったら第3巻のみおいてあったので買ってきました。短編が時系列順に並んでいるのですが、途中から読んでも問題なく面白いです。井砂の善八が盗みに入った証に大便をしてくるシーンが記憶に残りました。この種の話は聞いたことがあったのですが、はたして鬼平が元なのかなにかしらの史実があるのかはわかりません。

松岡圭祐『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』

ホームズが『最後に事件』で一回死亡したことになり、『空き家の冒険』で再登場するあいだに日本に来ていたという設定です。本屋で平置きになっていて、帯に「全米ベストセラー」とありました。眉唾だなと思いながらも購入して読んでみました。ワトソンがいないとホームズの毒舌も切れ味が悪いですね。ホームズが日本にいたという、「もしかして・・・」と絶対に思わない設定は逆に物語を楽しむことに集中させてくれます。

ガブリエル・ガルシア・マルケス『エレンディラ』

『百年の孤独』が文庫化されたことが話題になっているガブリエル・ガルシア・マルケス。私の小さな本棚にも彼の本が1冊ありました。民話風の語り口で圧倒的に悲しい話なのに、どこかユーモラスな独特な短編集でした。どの話もすこしホラー風味なのですが、南米の昔話はこんな感じなのでしょうか。

ジャック・ロンドン『ザ・ロード アメリカ放浪記』

すばらしい短編を書いているジャック・ロンドン。実話とありますが、どこまでがそうなのでしょうか。ジャック・ロンドンはこのエッセイ的なものを書きながら、ホラ話の達人の能力を最大限に発揮している自分にほくそ笑んでいたかもしれません。

アガサ・クリスティ『牧師館の殺人』

「あのひとは村いちばんの意地悪ネコよ」グリゼルダはいった。「村で起こったことはなんでもちゃんと知っている、そしてそこから最悪の推論を導き出すの」

創元推理文庫『牧師館の殺人』P17

こんなばあさんが近くに住んでいたら、こころ落ち着くことはないかもしれない。ミス・マープルが主人公の小説は『パディントン発4時50分』と『ポケットにライ麦を』を読んだことがあります。

その2作品を読んだときにはミス・マープルにはどこか威厳のようなものが備わってると感じていたのですが、やはり最初の事件ということもあってそのへんのところは印象が薄い感じがします。少しずつ容疑者が増えていき、だれもが自分は犯人ではないと主張する。人間の欲望は果てしなく、そして隠すことができないんだなと感じさせてくれます。



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