和裁のきほん①/和裁とは?洋裁との違い6つ
今回からはものぐさの考える【和裁】についてお伝えしていきたいと思います。
▷▶︎このnoteを読むと分かること🍀
・和裁とは何か?
・和裁の特徴と良さ
・和裁と洋裁の違い6つ
◯和裁とは?
【和裁】とは和服裁縫の略で、日本の民俗衣装である着物や浴衣などの和服の仕立てを行うことを言い、またその技術を呼ぶこともあります。
※対義語として洋服裁縫を略したのが【洋裁】
昭和初期頃までは【和裁】と略されるよりも、「お針仕事」、「裁縫」「仕立て」という言葉で一括りに浸透していたと考えられ、ミシンの活躍と洋服の普及に伴って洋裁と区別する為にこの言葉が使用されてきました。
どちらも同じ衣服縫製ではありますが、和裁ならではの道具を使い独特の技術があるのも特徴です。
◯和裁の特徴
・①【全て手縫い】
和裁は「仕立て直し」を行うことを前提とした手縫い縫製です。
縫製に便利なミシンが普及したにも関わらず手縫いに拘る理由は、ミシンの丈夫すぎる縫い目は必然的に布を傷つけるため、「仕立て直し」がほぼ不可能になってしまう為です。
手縫いでは針が生地を傷つけることなく差し込まれていくので、素材の負担を軽減する事ができます⭕️
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手縫いとミシンの詳しい違いはこちらから↓↓
・②【型紙を使わない】
洋裁ではパターンと呼ばれる型紙に合わせて、布を「曲線裁ち」をして各パーツを切り分けていきます。
和裁は「反物」と呼ばれる布から作り出され、布目を通してハサミを入れる「直線裁ちを行うため、型紙は必要ありません。
・③【解くことを前提としている】
和裁は「仕立て直し」を前提として縫製を行います。
汚れや傷のある着物であっても、解いて「洗い張り」を施すことで再度生まれ変わる事ができ、傷汚れの部位は別の部位と入れ替える「繰り回し」という知恵を使って仕立て直しが行われます。
着物から羽織、座布団や小物類に至るまでありとあらゆる物に仕立て直すことが可能ですから、長期に亘って活用を可能にする和裁の知恵は、現代に求められている貴重な循環と言えるでしょう。
生まれ変わりの貴重な技術を育み続けている悉皆屋さん(洗い張りも行う)も、絶やしてはならない職業の一つです。
・④【縫い代は裁ち切らない】
和服の再加工を可能にするべく縫い代は裁ち切らずに中に縫い込んで仕立てます。
和裁最大のメリットとも言え、この事で子供や孫世代にまで実用的に引き継いでいくことが可能になります⭕️
必要部品を各パーツの形に合わせて切り落とす洋裁と違い、和裁は耳であっても中に縫い込みます。(洋裁の販売用の製品に耳が含まれていることは殆どありません)
耳を残しおくことで裁ち目ホツレも少なくなるのです
耳についての詳しい説明はこちらから↓↓
・⑤【縫い目は極力隠す】
着用した際に見えない縫い目であっても、可能な限り隠して仕立てるのが、上仕立てと呼ばれる和裁の技術。
・⑥【和裁独特の道具を使う】
和裁には独特の道具がいくつかあります。
図の中で洋裁と大きく違うものは以下の三点です。
・コテ窯、コテ(洋裁ではヘラにあたる)
・かけ針、くけ台
・尺物差し/鯨尺(洋裁ではメートル尺)
中でもコテ窯/コテは和裁独特の必需品の道具です。
◯まとめ
【和裁】とは和服製作の略で、洋裁と区別して使われるようになった言葉
◎和裁と洋裁の大きな違い一覧
🍓解くことを前提としている…再加工可能の仕組みで、和服は解いて繋げると反物の状態に戻すことができます
🍓型紙は使わない…反物を直線裁ちするので型紙が要らない
🍓全てが手縫い…仕立て直しを行うには手縫いはデメリットが少ない
🍓縫い代は裁ち切らない…切り落とさない縫い代は後々の寸法変更等に役立つ
🍓縫い目は隠す…着た時に見えない位置であっても縫い糸が面に出ない様に仕立てられている
🍓和裁独特の道具…総手縫いならではの道具がある
以上、簡単に和裁①【和裁とは】としてまとめてみました。最後までお読みくださいまして誠に有難う御座いました。
和裁の必要性・手縫いとミシンの違いはこちら↓↓
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