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羽織丈を比較する / L Lサイズ女性

こんにちは、ものぐさ和裁師です^^

🍀今回は4枚の羽織をLLサイズの女性に羽織っていただき、前面・背面・側面の3種の比較写真を用い【羽織丈の違い】をご紹介しています。※羽織丈=羽織の身丈のこと
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🍀こんな方にオススメするnoteです⭕️

・羽織と着物のバランスを客観的に見たい方
・LLサイズと近い体格の方
・羽織にお悩みの方


◯ご着用者の身体情報

・身長    158㎝
・ヒップ 102㎝
・バスト   98㎝

前回に引き続き身幅L Lサイズのふっくら女性「いろはさん」にご協力をお願いしました。

https:www.jwca.or.jp/qa/size/
婦人服サイズ表示の豆知識
全日本婦人子供服工業組合連合会 (jwca.or.jp)

サイズ基準は上記HPよりL Lサイズと定めさせていただきました。

その他、前提設定も↑前回noteと同様です。


◯用意した羽織

今回用意した4枚の内、3枚の羽織丈は
【いろはさんの身長158㎝を基準】に寸法を当てがい仕立てたものです。

こちらの4枚をいろはさんにご着用いただきます。


◯羽織丈を比較

・正面図

①7分丈      ②6分丈       ③7.5分丈      ④7分丈

4つを同時に比べてみた図です。どれも比較的需要の多い「長羽織」と呼ばれる範囲内の身丈となっています。


・背面図

①7分丈      ②6分丈       ③7.5分丈      ④7分丈

🍓「長羽織」とは裾がおよそ膝〜下になる丈の羽織を指して呼ばれる言葉です。

丈を決める時、前面のみで選んでしまいがちですが、背面の様子も重視したいところ。
袖から続く菱形シルエットの滑らかさも萌えポイントの一つ(๑˃̵ᴗ˂̵)♡♡


・側面図

①7分丈      ②6分丈       ③7.5分丈      ④7分丈

この4枚の内一番いろはさんを素敵に魅せているのはどの羽織でしょうか?もちろん正解はありません⭕️

リアルと写真とでは、受け取った印象が若干異なるので、ものぐさの匙加減で一番を決めるとすれば…


◯身幅L Lサイズ/いろはさんを最も素敵に魅せていた羽織

・7分丈  絽もみじ

この目で3種4枚の羽織を見比べて、最も見心地の良かったものは④7分丈 絽もみじでした。
思わずいろはさんにキュンキュンしてしまいました♡


◯羽織丈で変わる印象

・7分丈 グレー

①7分丈 グレー

①7分丈グレーは、ロング丈で細見え効果があったのですが、リアルで見ると若干ですが長めで重たい印象になるのです。素材が無地に近いのでそれを強調する形にもなっています。
肌寒い季節であれば重たくても丁度良い身丈になるでしょう⭕️

と言うわけで「④の7分丈 もみじ」が、ものぐさにとって丁度良い丈だったわけです(*´꒳`*)

⚠️無加工ですが写真とリアルの印象が違うことってよく有りますよね(^_^;)


・6分丈 朱黒

②6分丈 朱黒

②6分丈 朱黒も、④7分丈 絽もみじに劣らない魅力を放っていました。

4枚の中では最も短い羽織丈ですが、はんなり上品枠をギリギリ飛び出さない丈感で、よく使うメイン羽織には選択したいと感じさせます。
特に後ろからみた様子が粋で、これぞ日本の美!!と1人驚嘆したものです。


・7.5分丈 ピンク

③7.5分丈 ピンク

そして最も無し❌に近いのではないかと思われる③7.5分丈 ピンクですが、注意してよく見たいのは丈感ではなく「仕立て」具合です。

全体が下重心になり、モタついた印象。羽織の「羽」のような軽い響きを損なってしまった原因は「仕立て」にあり、シルエットの整った仕立てが出来れば身丈が長くても品を損なわないのではないかと考えています。
この辺りはもう少し詳しく後日改めて写真と共にnoteを書こうと思いますので少々お待ちくださいませ^^

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⚠️通常仕立て屋はお客様の理想に叶う着姿の保証を行っておりません。お好みの着姿の理想をしっかりとお持ちの方は和裁士へ直接の相談・依頼されることをオススメします^^


◯羽織の丈感が与える印象/総論

①7分丈      ②7.5分丈       ③6分丈      ④7分丈

羽織の身丈は
・膝より短くなると軽快で活発な印象を与え
・膝よりも長くなると気品を演出ことができます。

つまり長さによって他者へ与える印象が変わるということ。

和服の際の歩幅は羽織の裾が大きく翻らない程度だと考えています。ロング丈になればなるほど小幅を保つ必要があるため、品を感じやすくなりますね。

背面の様子では羽織丈と共に、シルエットや色柄の影響の大きさを感じます。

③7.5分丈ピンクの説明時にも書きましたが、シルエットを決めるのは仕立て具合です。
特に羽織は最も仕立てが難しいとされる和服の一つと数えられています。
最も外側に羽織り、他者へ与えるイメージの影響の大きい羽織だからこそ、イメージを膨らませて素材・仕立を慎重に選ばれたらと思います。


◯理想のシルエットの運命は仕立て屋に託されている


動きやすいもの、品よく羽織れるもの、コンプレックスを強調しないシルエットの羽織。皆さんはどんな着姿の理想をお持ちですか?

実を言うとものぐさは、自分の体型や見た目のコンプレックスから着物を着ることへの不安が大きい時期が長くありました。
自分が着物を着て楽しむなんて夢のまた夢だったわけです(ーー;)

今現在、自ら進んで着物・羽織を楽しむようになれたのは、ひとえに和裁のお陰なのです。

——もっと綺麗に着たい!
もっとお客様の魅力を引き出せる仕立てがしたい!

この思いを持ってお客様の理想に届くよう仕立ての腕の向上に取り組んでいます。

前回からの続き文句となりますが、今回いろはさんに協力を仰いだのは、仕立てを工夫すればどんな体型の方でも美しく着物を纏うことができるのではないか?と考える部分があるためです。

【理想のシルエットの運命は仕立て屋に託されています。】

今回はものぐさなりに良い。と感じた羽織を一枚選びましたが、ご覧の皆様自らの視点で良いと思える羽織丈を是非選択してみてください。そして自らの着姿の気になるポイントやお悩み、納得している箇所などを書き出してみて、理想の着姿を補えるポイントを仕立て屋と考えるのも面白いかもしれませんね(*^_^*)!

以上、長くなってしまいましたが、本noteのまとめとさせていただきます。

最後に改めて貴重な時間を割いて協力してくださったいろはさんに感謝申し上げます♡

ものぐさ和裁師でした🪡


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