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九頭竜神

雨は、日没後に激しさを増した。
街灯のない土手の細道は何も見えない。
雨中、土砂を搔く音がする。目を凝らすと、男が三人、足元まで水が来た土手を掘っている。堤防を切ろうというのか。
男が懐中から九頭竜権現のお札を出し、天に掲げた。
突風が吹き、お札が飛んだ。
男の悲鳴が聞こえた。

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