長瀬水樹夫(ながせ みきお)

怪奇小説、風俗小説や評論を書きたいと思っています。

長瀬水樹夫(ながせ みきお)

怪奇小説、風俗小説や評論を書きたいと思っています。

最近の記事

秋ブナ

自分のフィールドでは尺ブナに少し届かない。 とはいえ、20cmのフナはなかなか引き味が強い。

    • 北越雪譜

      北国の山中を流れる渓には、魔物が棲む。 戦で領地を追われた侍が岩に取り付き、山を越える。 追手の声は、最早聞こえない。断崖の上からこの渓を覗き、侍は、初めて怖気づいた。魂を吸い込む深い渓。 不図見上げれば大蟒蛇。叫ぶ間もなく、岩魚が飛び、蟒蛇を銜え渓へ消えた。 命からがら山を越えた侍は、まもなく出家した。

      • 九頭竜神

        雨は、日没後に激しさを増した。 街灯のない土手の細道は何も見えない。 雨中、土砂を搔く音がする。目を凝らすと、男が三人、足元まで水が来た土手を掘っている。堤防を切ろうというのか。 男が懐中から九頭竜権現のお札を出し、天に掲げた。 突風が吹き、お札が飛んだ。 男の悲鳴が聞こえた。

        • 思い出

          われのほかに誰も無し。空に朧月。