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BARで起こった粋な出来事 チップ編〜バーテンダーししょーの小咄 

コロナ禍が続き3年ほど経ち、ようやく一つの出口が見えた頃、3年ぶりに来たお客様。

えー!?まだボトルとってあったのか!?

そして¥2000のお会計に一万円札を置いていく。

チップは¥8000だ。

普段この業界でチップはそう珍しいことではないが、お釣りの中の小銭の分を置いていくくらいがほとんどだ。

私も今回は少し驚いたが、その方の隣で飲んでいた会社の新人君もビックリしているのが一目でわかった。彼にはまだ理解できないところがあるとは思うが、店が伝えたいサービスとそのお客様の気持ちがシンクロしたとでも言うべきであろうか。

1度ボトルを入れて全く来ないお客様もいるので、ボトルキープの期限は6ヶ月に設定しているが、だいたい一年はとっておく。

そして勘でしかないが、必ずくるであろうと予測される縁を感じたお客様のものは今回のように2〜3年はとっておくことがある。

これは全くの勘である、根拠はない。あるとしたら『経験からくる勘から縁を感じた』とでもいおうか。

皆様も10年以上続けていれば、そういう勘が身に付くかもしれない、保証はないが。

そういう独特の感性や相互理解が、店側にも客側にも生まれると、粋が生まれるのかもしれない。

そして、粋が生まれるところに、またさらにそれが続いていく。逆に言えば、無粋な客ばかり集まれば、そういう客しか来なくなる。

以前の記事で書いたが、類友である。良い客がいれば同じような客が集まるように、悪い客を放置しておけば、同じような客が群がってくる。不粋な振る舞いをするような客にはハッキリ伝えていくことが大事である。もちろんネットに書いてはダメだ。その場で必ずいう。そのお客様が来なくなったとしても、それを見て守られたと思うお客様は必ずまた来てくれる。

ただ、悪い事ははっきり伝えないと伝わらないのだが、不思議なのがいいこと、格好いいこと、そういうものはそれを見るだけで伝わっていく気がする。

以前ホテルバーテンダーをしていたというお客様に聞いたことがあったが、バブルの頃はチップだけで生活費が出たと言う。

粋なお客様が増えればそんなこともあるかもしれない。とはいえ、それに期待していては困る。まずは自分たちが粋でなければいけない。

とりあえず、まずは自分でかっこいいと思うことをやってみようではないか!

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